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EMCジャパン、オープンソース戦略の取り組みについて説明

「第3のプラットフォーム」にシフトし新たな価値提供へ

 EMCジャパン株式会社は21日、「EMCのオープンソース戦略」に関するラウンドテーブルを開催した。ラウンドテーブルでは、OpenStack Foundationのボードメンバーで、米EMCコーポレーションのエマージングテクノロジー事業部 技術戦略担当バイスプレジデントを務めるランディ・バイアス氏が来日し、オープンソースを取り巻く市場環境やEMCのオープンソースに対する取り組みを語った。

米EMC エマージングテクノロジー事業部 技術戦略担当バイスプレジデントのランディ・バイアス氏

 まず、バイアス氏は、EMCがオープンソース戦略に取り組む背景について、「現在、ITプラットフォームの市場は、モバイル、クラウド、ビッグデータ、ソーシャルといった『第3のプラットフォーム』が急成長している。『第3のプラットフォーム』へのシフトが進むことで、市場規模は飛躍的に拡大することが見込まれている。しかし、これにともない、従来型の企業はビジネスモデルの変革が求められることになる。当社は現在、『第2のプラットフォーム』を中心にビジネス展開しているが、『第3のプラットフォーム』の市場が確立する前にビジネスをシフトさせるべく、オープンソース戦略に力を注いでいる」と説明する。

 「第3のプラットフォーム」の市場におけるEMCのビジネスチャンスに関しては、「『第3のプラットフォーム』の市場をリードしていくためには、従来のインフラ系のバイヤーではなく、業務システムの運用管理者やアプリケーション開発者といった新たなバイヤーにアプローチしていく必要がある。そして、そのカギとなるのが、ソフトウェア・ディファインドや、パブリッククラウド、オープンソースソフトウェアであると考えている。当社では、これらをドライバーとして、『第3のプラットフォーム』の市場において新しい価値を提供していく」としている。

 「今後、『第3のプラットフォーム』へのシフトで求められることは、DevOpsやクラウドアーキテクチャの採用による開発スピードの向上に加え、オープンソースの採用による障害リスクの軽減やコントロールの維持が挙げられる。特にオープンソースを活用することで、ベンダーに頼ることなく、自社でアプリケーションの機能追加やコード修正、障害対応を行うことが可能になる」と、「第3のプラットフォーム」におけるオープンソースの重要性を指摘。

 「一方で、オープンソースは一つひとつのパーツを組み合わせて開発していく必要があるが、現在、オープンソースに関する専門的なスキルをもっている企業は少ないのが実情だ。さらに、パーツが増えることでシステムが複雑化し、信頼性が低下するという課題もある。そこで、オープンソースをベースにして、開発から製品化までをワンストップでカバーできるベンダーに注目が集まっている」と、オープンソースが抱える課題についても言及した。

 EMCのオープンソース戦略についてバイアス氏は、「オープンソースは、今後のITシステムの基盤となるものであり、オープンソースにおいてもターンキーソリューションが必要になると考えている。そのため、当社では、『Project CoprHD』や『EMC ScaleIO』などオープンソースによる自社製品の開発だけでなく、他社のオープンソースプロジェクトの支援やオープンソースに対するコントリビューションも積極的に行っている。こうした取り組みは、従来までの当社の企業文化を変えるものであり、EMCが『第3のプラットフォーム』の市場へとシフトしていく意味で重要な戦略になる」と述べている。そして、「世界No.1のストレージベンダーである強みを生かし、当社のもつストレージの能力をオープンソースにも提供することで、ベンダーロックインからの解放をサポートしていく」との方針を示した。

唐沢 正和