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キヤノンITS、スウェーデンClavisterの次世代UTM製品を販売開始

軽量動作を活かして今後はIoT分野にも展開

 キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)は6日、スウェーデンのClavisterと販売代理店契約を締結し、Clavisterの次世代ファイアウォール(UTM)などのセキュリティソリューションを販売していくと発表した。製品展開の第一弾としては、デスクトップ型UTM「Clavister E80」を11月上旬から販売。また、小型機器にも組み込める動作の軽さや高可用性といったClavisterの特徴を活かし、IoTなど組み込み機器に向けた展開も行っていくとしている。

Clavisterのジム・カールソン氏(左)とキヤノンITSの近藤伸也氏(右)
Clavister E80

 6日にスウェーデン大使館で行われた発表会では、スウェーデン駐日大使のマグヌス・ローバック氏が冒頭に挨拶を行い、「日本とスウェーデンは主に科学技術の分野で連携しており、前日にノーベル医学生理学賞に大村智氏が選ばれたというタイミングで今回の発表ができることを嬉しく思う」とコメント。「インターネット上のセキュリティはとても重要な問題だが、そこに対処する頭脳がある。Clavisterはまさにその頭脳を持つ会社であり、キヤノンも同様。この2社がパートナーを組むということで、非常に期待できる」と語った。

スウェーデン駐日大使のマグヌス・ローバック氏

 キヤノンITSセキュリティソリューション事業部事業部長の近藤伸也氏は、キヤノンITSのネットワークセキュリティ事業について紹介。キヤノンITSでは約20年前からセキュリティに取り組んでおり、自社開発製品のほか、海外製品の日本市場に合わせたローカライズや、国内製品に知見に基づく付加価値を付けて提供を行っていると説明。Dell SonicWALLやFortigateなどのUTMの累計出荷台数は11万台を超え、現在も高い伸び率となっているとした。

キヤノンITSの近藤伸也氏

 こうした中で、取り扱うUTMとしてClavisterを加える理由については、「動作の軽さ」「堅牢さ」「高可用性」の3点を特徴として説明。ClavisterのUTMは、独自開発のファームウェアのイメージサイズがわずか11MBと小さく、CPUやメモリを効率良く利用し、軽快な動作を実現しているとした。

 また、Linuxやオープンソースソフトウェアを使用しておらず、それらの脆弱性の影響を受けず、頻繁にセキュリティメンテナンスを行うことなく安全性が保たれると説明。セキュリティ検査システムと独立して死活監視システムが動作し、セキュリティ監視システムが停止しても自動的に再起動することで高い可用性を実現しているとした。

Clavister製品の特徴

 こうしたClavisterの特徴から、アプライアンス製品としてのUTMの販売だけでなく、仮想環境に向けた製品やOEM提供、さらにはIoTなどの組み込み製品に向けた展開などを、今後は国内で行っていくと説明。特に、IoT時代ではすべてのモノ、センサーにも何かしらのセキュリティ対策が必要になり、Clavisterはそのコアになれる製品だと考えていると語った。

今後のClavisterビジネス方針

 アプライアンス製品の第一弾として販売するUTM「Clavister E80」は、150人以下の規模向けの小型製品で、参考価格は21万円(税別。ライセンス1年付属)。同時接続数は25万、ファイアウォールパフォーマンスは2Gbps、IPsec VPNパフォーマンスは500Mbps。キヤノンITSでは、同製品の販売目標を2020年までに25億円としている。

Clavister E80仕様

 ClavisterのCEOを務めるジム・カールソン氏は、Clavisterの製品は「バックドアがない」ことが特徴で、たとえば米国のNSAや中国などの機関などからも覗かれることはないと説明。独自開発のソフトウェアによるパフォーマンスには特に自信があり、60Gbpsのスループットを2コアのインテルCPUで実現するなど、非常に効率の良い製品だとした。

 また、Clavisterの製品は、多数の企業のほかスウェーデンの通信キャリアや国防組織などにも採用されるなど、豊富な実績を備えているとアピール。キヤノンITSとの連携により日本市場に展開するとともに、OEM提供やIoTなど組み込み分野での展開、アジア市場への展開に期待していると語った。

Clavister CEOのジム・カールソン氏

三柳 英樹