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NEC、2014年度第1四半期連結決算は最終赤字101億円、計画よりは上振れ
携帯電話端末事業は改善、ビジネスPCも好調
(2014/7/31 00:00)
日本電気株式会社(以下、NEC)は30日、2014年度第1四半期(2014年4~6月)の連結業績を発表した。
それによると、売上高は前年同期比1.6%減の5987億円、営業損失は前年同期から147億円改善したものの70億円の赤字、経常損失は前年同期から182億円改善したが99億円の赤字。当期純損益も前年同期からは113億円改善したが、101億円の赤字となった。
NECの川島勇取締役執行役員兼CFOは、「パブリック事業やシステムプラットフォーム事業が増収となったほか、携帯電話端末事業の改善影響がある。売上高は想定通りだが、利益は計画値に比べて50億円の上振れになっている。減収増益であるが、現在、注力する事業ベースでの売上高は約3%の増収になっている」と総括した。
ビジネスPCや携帯電話端末事業は好調
セグメント別の業績は、パブリックの売上高が前年同期比15.7%増の1464億円、営業利益は前年同期から13億円増の16億円と増収増益。官公向け、公共向けが堅調に推移しており、「ITサービスが横ばいとなり、社会インフラ事業が20%の増収になった。計画比に対しては、売上高、営業利益ともに想定通り」とした。
エンタープライズは、売上高が前年同期比7.4%減の544億円、営業損失は前年同期から6億円増となったものの18億円の赤字。製造業向けが減少したのが要因だ。
「製造業向け案件で、第2四半期以降に持ち越したものがあり、売上高で計画に対して50億円の下振れとなっている。営業損失については想定通り」と述べた。
テレコムキャリアの売上高は前年同期比2.0%減の1510億円、営業利益は前年同期より13億円減の43億円。国内事業のほか、海洋システムが減少したことが影響した。「海洋事業においても、第2四半期以降への持ち越し案件があり、売上高では50億円程度の下振れがある。SDNには継続的に投資を行っている」と語った。
システムプラットフォームの売上高は前年同期比5.9%増の1669億円、営業利益は前年同期より91億円増となり、25億円の黒字に転換。サーバーやビジネスPCなどのハードウェアの販売増加が寄与。売り上げ増やIT投資環境の改善に伴う採算性の向上により増益になったという。「売上高では計画値に対して100億円の上振れ、営業利益では50億円の上振れとなっている。ビジネスPCは第1四半期も前年同期比3割増となり、好調である。NECフィールディングの損益改善も寄与している」。
ビジネスPCの好調ぶりは、4月以降もWindows XP需要が継続していることが要因。「4月のサポート終了に間に合わなかった企業が導入している。6月にはビジネスPCの出荷台数は減少しはじめており、上期では前年並み、通期ではマイナスになると想定している」と語った。
その他部門の売上高は前年同期比44.1%減の800億円、営業損失は前年同期から50億円改善したものの89億円の赤字となった。携帯電話の出荷台数の減少や、携帯電話販売事業のNECモバイリングおよび、インターネットサービス事業のNECビッグローブの非連結化が影響している。
「携帯電話事業は数億円の黒字化となった。これは想定通り。これまではスマホに関する開発投資がかかっていたが、スマホ開発から撤退したことで、いままでのノウハウだけで製品開発ができるようになった。身軽なオペレーション体制が整った」という。
通期見通しは変更なし
通期見通しは、年度初めに公表した数値には変更はない。
売上高は前年比1.4%減の3兆円、営業利益は同13.0%増の1200億円、経常利益は同30.1%増の900億円、当期純利益は同3.7%増の350億円としている。
また、セグメント別の業績見通しにも変更がない。
川島CFOは、「中期経営計画の2年目として、さらに社会ソリューション事業に取り組む。上期は売上高では数%の減収見通しだが、営業利益では第1四半期の50億円の上振れ分を維持し、100億円の黒字を見込む。通期においては、現在、注力する事業ベースの売上高では約4%の増収を見込み、営業利益では1200億円、最終利益は350億円を確実に達成し、さらなる上積みを目指したい」と語った。
セグメント別の通期見通しは、パブリックの売上高が前年比8.3%増の8000億円、営業利益は144億円増の730億円。消防無線やマイナンバー制度などによる官公向け、公共向けの販売増加に加えて、原価低減、不採算案件の減少を織り込む。「上期については、売上高では1けた台後半の伸びを見込み、営業利益では50億円の改善を計画している」という。
エンタープライズの売上高は前年比1.0%増の2750億円、営業利益は25億円増の90億円の見通し。製造業での堅調な売り上げを見込んでいる。「上期は、通期同様にプラス成長を見込む。営業利益は前年並み」としている。
テレヒムキャリアは、売上高が前年比6.1%増の7700億円、営業利益は57億円増の660億円の見通し。国内は横ばいと予測するものの、海外ではTOMSやSDN、モバイルバックホールを中心に増収を計画。「上期の売上高は1けた台半ばの成長を計画。営業利益は前年並み」とした。
システムプラットフォームの売上高は前年比0.7%減の7750億円、営業利益は43億円増の350億円。サーバーやソフトウェアなどのIT需要は継続するものの、ビジネスPCの減少により、全体では減収になる。営業利益はNECフィールディングの統合効果やサーバー、ソフトウェアの売り上げ増により増益を見込んでいる。「上期は売上高、営業利益ともに前年並みと予測。だが、第1四半期の上振れ分をなんとか残したい」と述べた。
その他分野では、売上高が前年比27.7%減の3800億円、営業利益が前年から24億円増の10億円と黒字転換を計画。NECビッグローブの株式売却に伴う非連結化などにより減収を見込むが、携帯電話事業やエネルギー事業の改善などにより増益を見込む。「上期は売上高で約3割の減収。だが、営業利益では携帯電話事業の損益改善もあり、100億円の改善を目指す」という。