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NEC、2014年度上期決算は減収だが、「現行事業は好調で3%増」だと強調
(2014/10/31 00:00)
日本電気株式会社(NEC)は30日、2014年度(2015年3月期)上期の連結決算を発表した。
売上高は前年同期比4.2%減の1兆3248億円、営業利益はほぼ横ばいで前年同期の4億円から211億円増の215億円、経常損益は312億円改善し167億円の黒字、当期純損益は前年同期から386億円改善し125億円の黒字。フリーキャッシュフローは815億円改善してマイナス134億円となった。
売上高は前年同期比で4.2%減となったものの、「これはビッグローブ売却、携帯電話事業の非連結化によるもの。現在の注力事業ベースでは、パブリック事業が大幅に増収で約3%の増収。営業利益については携帯電話端末事業の赤字が解消し、パブリック、システムプラットフォームで採算が改善したことから、大幅に改善し、前年比211億円増となる4億円となった」と代表取締役 執行役員社長の遠藤信博氏自ら強調した。
中間期の業績は好調であるものの通期見通しについては、「やや不確定要素もある」として上方修正は行わず、当初計画通り売上高3兆円、営業利益1200億円のままとした。
セグメント別では、パブリック分野は官公庁、公共向けを中心に堅調に推移して増収となり売上高は前年同期比13.6%増の3445億円、営業利益は前年同期から73億円増の219億円となった。「IT関連サービスは横ばいとなったが、社会インフラ事業が好調となり、当初計画から150億円上振れする結果となった」(遠藤社長)。
エンタープライズは、売上高は流通、サービス業向けが減少し、前年同期比2.6%減の1267億円、営業利益は費用効率化などにより改善し前年同期から15億円増となる23億円。「計画比では製造業向け売上高が30億円下振れするなど、マイナスとなっている」(遠藤社長)。
テレコムキャリアは、売上高はモバイルバックホールやTOMSを中心に海外事業が拡大したものの、国内の売り上げが減少したことから前年同期比0.5%減の3325億円、営業利益はSDN関連の投資費用増加などにより前年同期から28億円減の166億円となった。
システムプラットフォームは、売上高は企業ネットワークの減少などにより前年同期比1.5%減の3454億円、営業利益は売上減となったものの、採算性の向上と費用効率化により前年同期から69億円増となる87億円となった。
その他は、売上高は前年同期比33.6%減の1758億円。NECビッグローブ、NECモバイリングの非連結化、携帯電話の出荷台数減により減収となった。営業損益については、事業の非連結化の影響はあるものの、携帯電話端末事業の損益改善が寄与し、前年同期から91億円増のマイナス27億円で。「ほぼ計画通り」となった。
通期業績見通しについては、「現状は好調であるものの、不確定要素もある。上方修正は行わず、当初計画の営業利益1200億円の確実な達成を目指す」として当初通り、売上高3兆円、営業利益1200億円、経常利益900億円、当期純利益350億円のままとする。
中期計画は着実な成果、課題は収益改善に向けた取り組み強化
遠藤社長は2015中期経営計画の進ちょく状況についてもふれた。
この半年の成果としては、「注力領域である新たな成長ドライバーの育成としてTOMS/SDN、ビッグデータ、クラウド、セーフティなどに投資を行い、収益はこれからだが前進している。グローバル成長基盤の確立については、エネルギー事業の海外基盤確立、大型案件受注獲得など、着実な成果が出てきている。安定的な財務基盤の確立についても、NECフィールディング完全子会社化が完了し、サービス提供体制の強化を実現し、草の根活動ではあるもののフリーキャッシュフローの改善への取り組みも着実に進んでいる」と説明した。
一方課題としては、成長戦略の具体化と加速、収益改善に向けた取り組みの強化をあげ、「次の中期経営計画策定に向けた検討も社内では行っている」とした。
注力事業であるSDNについては、テレコムキャリア向け、企業・官公庁およびデータセンター向けという2つの取り組みが進められている。
「テレコムキャリア向けは、国内外のキャリアがSDNに高い関心を示している。すでに約20件の案件を提案しており、実証実験が進んでいるものものある。代表例がNTTドコモとのマルチベンダー実証における、他ベンダーとの連係動作確認作業。それ以外にもテレフォニカ社とのvCPEプロジェクトは進行しており、展示会で共同デモを展示するといった活動を行い、ネットクラッカー社のTOMS技術の融合も進めている。企業向けには、約200システムの実績ができて、さらに拡大する傾向にある」。
パブリック/エンタープライズの取り組みとしては、社会インフラ領域で実証実験、事例を拡大している。ビッグデータ関連では中国電力 島根原子力発電所へ、大規模プラント故障予兆監視システムを納入。「他社からも参考になるという声をもらうなど、好評を得ている」。クラウド関連はクラウド基盤サービスNEC Cloud IaaSの提供を開始、セーフティ関連では「サイバーセキュリティ・ファクトリー」の本格稼働などが実現した。
エネルギー関連では、米国に「NEC Energy Solutions,Inc.」を設立し、事業を開始。スマートエネルギー事業の海外基盤確立を進めている。
それ以外にもグローバル事業としてテレコムキャリア領域で、海底ケーブルでの大型案件、ザンビアでザムテル社からのマイクロ無線バックボーン/アクセスの受注を実現し、さらに新たな領域としてスマートシティ関連、漏水監視サービス、宇宙関連、交通・物流関連、マネージドサービス、顔認証関連などの事業を全世界でスタートした。
遠藤社長は中期経営計画に対して、「NECのこれまでの事業はほとんどOne to Oneの個別に開発した製品を納入するスタイルだった。しかし、グローバルにビジネスをするためにはプラットフォームを作り上げ、そこから各国に向けたカスタマイズをするというOne to Manyのプロセス確立する企業文化の再構築が必要。プラットフォームの最大化がどれだけできるのかを、事業プロセスとして取り入れたい」と体質改善を行いながら、中期経営計画を進めていく意向をアピールした。