ニュース

4.9GHz広域無線LANを基盤とした「防災情報システム」、沖縄・豊見城市が構築

 株式会社理経は27日、沖縄県豊見城市役所に、4.9GHz広域無線LANを基盤とする「防災情報システム」を納入したと発表した。

 豊見城市は沖縄本島南部に位置し、那覇空港および県郡那覇市に隣接する人口6万人あまりの都市で、交通アクセスに優れた地域特性と顕著な人口増加で、近年着実な都市成長を遂げている。都市基盤の整備を進める中で、防災・減災を重要視し東日本大震災の教訓を踏まえ、2012年度から豊見城市防災情報通信設備の整備を開始。その基盤として理経が設計したシステムを採用した。

 「防災情報システム」では、4.9GHz広域無線LANを基盤とした市内をカバーする自営ネットワークを構築。これまで同市では、デジタル防災行政無線および広報車による防災・行政情報の発信を行ってきたが、今回のシステムでは通信手段を強化し、公共施設、小・中学校、幼稚園、保育園などの放送拠点を拡充。映像による災害情報の取得、Jアラートからの災害情報や市発信の避難指示を、防災無線や携帯電話のメールなどへ一斉配信できるようにした。さらに電話やWeb、メールから防災情報を聞き直せるようにし、公衆網に依存しない災害に強いシステムを構築したという。

 防災行政無線の補完として、既設の公民館や自治会集会所、小・中学校、幼稚園、保育園にある屋外スピーカー、さらに新設された屋外スピーカー計104カ所にIP音声告知システムが接続され、これらの拠点との通信に広域無線LANが使われる。

 IP音声告知システムにより放送された内容は電話応答システムとWeb上に保存され、指定番号への電話や登録者に送られてくるメール上のリンクをクリックして、その音声を再生し放送内容を聞き直すことが可能となる。

 このほか、市内沿岸部7カ所に監視カメラを設置し、広域無線LANで市役所の総務課と消防本部に接続された「沿岸部監視カメラシステム」、電波の強い方向に自動で方向調整する広域無線LANアンテナ子局を搭載した「指揮広報車」、道の駅・豊崎に設置された「Wi-Fiホットスポット」、災害時に避難所となる公民館、自治会集会所、小・中学校、幼稚園と市役所・消防本部を接続する「IP電話システム」、Jアラート情報が発表されると、無線や避難所館内への音声放送、事前登録者へのメール告知、緊急速報メールを発信する「Jアラート自動連携」などの仕組みが盛り込まれた。

 理経は今回の導入実績を生かし、各自治体の地域の特徴を十分に考慮した防災情報システムの提案・構築を進める方針。

川島 弘之