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ITインフラを統合管理する「HP OneView」発売、データセンター自働化を促進

データセンター運用管理の革新に向けた取り組み

 日本HPは20日、次世代ITインフラ実現を目指す「HP Coverged Infrastructure」戦略を推進する統合管理ソフト「HP OneView」を発表した。サーバー・ストレージ・ネットワーク・ファシリティなどのITインフラ全体を単一のプラットフォームで管理する製品で、データセンターレベルの自働化を促進する。

 「Systems Insight Manager」「Insight Control」「VCEM」といったサーバー管理ツールを統合した管理ツール。サーバーだけでなく、ストレージやネットワーク、果てはファシリティコンポーネントまで「HP OneView」1つで統合管理できるよう設計されている。

 仮想化やクラウドが普及しても、あらゆるシステムはハードウェアの管理からは逃れられない。しかもサーバーだけでなく、ストレージもネットワークも、近年無視できない新しいレイヤとしての仮想化やファシリティにも最適な管理が必要となる。これらを別々の管理ツールで管理しているのが現状で、仮想化やクラウドによって複雑さが増した分、運用管理はより複雑になったという指摘もある。「HP OneView」はこうした課題に対する、HPの「ハードウェアベンダーとしての解」となる。

 「HP OneView」では「分かりやすさ、使い勝手」を重視したと、HPサーバー製品統括本部 プロダクトマーケティング本部 エンタープライズサーバー製品部長の中井大士氏。「HTML5による実装で、普段見ているWebサイトのような、手軽な操作感を実現した。モバイルデバイスからのアクセスも可能」と語る。

 現状「HP OneView」で監視・管理できるのは「HP BladeSystem」「HP ProLiant G8/G7」のみだが、順次HP製ストレージ・ネットワークにも対応し、iLO4のインテリジェント機能をラックやPDUにも搭載することで、ファシリティコンポーネントも統合管理できるようにする予定。

ハードウェアインフラ全体のライフサイクル管理を提供
普段見ているWebサイトのような、手軽な操作感を実現
DashbordやSmart Searchで必要な情報に素早くアクセス、Map Viewで構成管理も
ファシリティ関連情報も統合、可視化

 機能は「Dashboard(状態認識)」「Smart Search(情報収集)」「Map View(構成管理)」「Templates(設定)」「Activity Feed(監視)」など。SNMP trap登録の自動化など設定が簡素化されており「すぐに監視できる」(中井氏)ほか、サーバーに内蔵されたiLO4チップの監視・管理機能を利用するため、監視はエージェントレスで行われる。

 必要な情報には「Smart Search」で素早くアクセス可能。障害時はアラートで即座に通知してくれる。システムの位置付けをマップ形式で表示する「Map View」では、設置ロケーションや接続先ネットワークなどの依存関係や、構成変更による影響範囲も簡単に特定できる。

 また、業界標準のインターフェイスを採り入れ、各種ソフト――特に「vCenter」のような仮想化管理ツールとの連携も実現。vCenter上から直接ハードウェア情報を管理できる。REST APIもサポートし、外部プログラムからの制御/連携も可能だ。

VMware vCenter Serverとの連携

 デプロイを容易にする「Templates」機能も特徴的。システム設定内容をテンプレートとして定義することで、人に依存しない作業の均一化を可能とし、高速かつミスのないシステム配備を実現する。「HP BladeSystem」を例に取ると、サーバー、インターコネクト、エンクロージャの設定をテンプレート化できるため、同じグループ内のエンクロージャに適用すれば、一貫性の取れた「エンクロージャ一括設定」が可能となる。

ブレードエンクロージャも一括設定
ダッシュボード画面
サーバープロファイル画面
インターコネクト管理画面
マップビュー画面

 デプロイの簡素化について、HP社内テストによると、VMware ESXクラスタの構築(640サーバーと60プロファイル)に要する時間で、従来型ツールでは170分、HP OneViewでは75分とおよそ1/2に短縮できたという。また、先行利用顧客の検証では、コールセンターシステムを12拠点へ導入する作業を、従来の66日から1日に短縮できたという結果も紹介された。

12拠点へのデプロイをたった1日で
宮本義敬氏

 HPは、データセンターの自働化を「Project Voyager」として進めている。HPサーバー製品統括本部 プロダクトマーケティング本部長の宮本義敬氏は「あらゆる作業の自働化を目指すもの。ハードウェアの深いレベルまで自働化することは、ハードウェアベンダにしかできないことで責務とも言える。今回、自働化を進めるHP OneViewを発表したが、2014年にはクラウドOSのリリースも予定。クラウドレベルでの自働化を目指す」とコメントした。

 なお、OneViewのような運用管理ツールはHPソフトウェア事業統括が以前より取り組んできた分野だが、「OneViewのようにハードウェアの部品レベルで運用管理するためには、ハードウェア製造部門が適任。HPソフトウェアの製品とは今後連携していく方針」(宮本氏)とした。

 HP OneView単体価格は14万3850円。ProLiant DLサーバーやBladeSystem C7000エンクロージャ用CTOバンドルライセンスも提供。価格はそれぞれ9万2400円、184万5900円。

川島 弘之