日本オラクル、フラッシュメモリの活用で20倍の高速化を達成したデータベースマシン「Exadata X3」


Oracle Exadata X3 Database In-Memory Machine

 日本オラクル株式会社は29日、データベースシステム向けエンジニアードシステムの新製品「Oracle Exadata X3 Database In-Memory Machine」(以下、Exadata X3)の国内提供を同日より開始すると発表した。“In-Memory”の名前の通り、DRAMやフラッシュメモリを効率的に利用することにより、性能を大幅に向上させているという。ハードウェアの最小構成価格は2230万円(税別)から。

 Exadataは、日本オラクルのソフトウェア、ハードウェアを組み合わせて最適化しているエンジニアド・システム(Engineered System)の1ラインアップ。日本オラクル 代表執行役社長の遠藤隆雄氏は「部品ごとに買ってきてユーザー側が組み立てるのではなく、メーカー提供の純正部品を最適な形で組み合わせてお届けできるのがメリット。当社はソフトウェアがベースの会社であるので、その価値をフルに活用いただけるようにハードウェアを最適化しているのが特徴だ」と、その特徴をアピールする。

 また、米Oracle データベースサーバー技術担当 シニア・バイスプレジデントのアンドリュー・メンデルソン氏は、「従来のやり方ではSI作業などが必要になるため数カ月以上の時間が必要だったのに対し、すべてのシステムを数週間以内に導入できる点も価値がある。お客さまでは、本業に集中したいというニーズがあるが、当社にお任せいただければエンジニアリングの作業の負担から解放される」と話すように、各企業がそれぞれの本業に集中できるようになる点も、大きなメリットだろう。

 加えて障害時にも、「エンジニアド・システムであれば同じ構成のハードウェア、ソフトウェアを使っているのですぐに対応が取れるし、あるお客さまでバグが発見されてもすぐに検知し、解消できる」(メンデルソン氏)というように、信頼性の面でも従来のシステムより優れているという。


日本オラクル 代表執行役社長の遠藤隆雄氏米Oracle データベースサーバー技術担当 シニア・バイスプレジデントのアンドリュー・メンデルソン氏エンジニアド・システムならではの価値

 Exadataは、こうした特徴を持つ最初のエンジニアド・システムとして提供されてから、今回のExadata X3で4代目を数えているが、その売りは、前述したようにDWH(データウェアハウス)からOLTP処理まで、すべてのデータベースのワークロードを高速化できる“データベースマシン”である点だ。

 日本オラクル 専務執行役員 製品事業統括の三澤智光氏は「ExadataというとDWHアプライアンスと同じようなもの、という紹介を見かけることがあるが、これは大きな誤り。OLTPや日本でニーズの高い更新系のバッチ処理も高速化できる、世の中で唯一のマシンである」と述べ、その価値を強調する。


Exadataの特徴日本オラクル 専務執行役員 製品事業統括の三澤智光氏

 新製品のExadata X3ではさらに、最大で26TBものメモリ(4TBのDRAM+22TBのフラッシュメモリ)を搭載し、その高速性能に磨きかけているのが特徴。さらに、データ圧縮技術「Hybrid Columnar Compression」を活用することによって、物理容量の10倍にあたる、最大260TBのデータをメモリ内に格納できるようにした。これにより、前世代「Exadata X2」の20倍となる、1秒あたりで最大150万フラッシュ読み込み、最大100万フラッシュ書き込みを実現している。

 加えて、すべてのアクティブデータをDRAMおよびフラッシュメモリに移動させ、それほどアクティブではないデータを低コストのHDDに保管する「マス・メモリ階層」を採用しているのも大きな特徴とのこと。

 メンデルソン氏は「ペタバイトクラスのDWHなどでは、すべてのデータベースをインメモリにすると高くつくので、階層化を導入した。もっともアクセスのあるデータをDRAMに、その次にアクセスのあるデータをフラッシュメモリに格納するが、こうした作業はアプリケーションに対して透過的に行われるので、データベース管理者(DBA)による追加の管理も不要だ」と述べ、採用理由と効果を説明した。

 なお、こうした機能向上は、フラッシュメモリをキャッシュとして利用するためのソフトウェア「Smart Flash Cache」の機能強化によって実現されており、Exadata X2にも適用可能とのこと。その場合は、性能を従来の10倍(Exadata X3の半分)程度にまで向上できるとしている。


Exadata X3での機能向上マス・メモリ階層を採用

 Exadata X3のラインアップは、搭載サーバーなどハードウェアの違いにより、フルラック構成対応の「Exadata X3-8」と、フルラック、ハーフラック、クォータラック、1/8ラック構成が可能な「Exadata X3-2」が用意された。

 両モデルともにマルチラック構成に対応できるが、Exadata X3-2の方が細かな単位で導入できるため、比較的小規模の構成に向く。特に今回から1/8ラックでの導入が可能になっているので、従来よりも小規模の環境についても導入が可能になったほか、ニーズの高かった開発・検証環境向けの製品としても活用していくとのこと。

 このほかファーストラインサポートについては、日本オラクル自身による保守に加えて、NECと富士通による保守に対応したことで、「サポートに対する要求の厳しい日本のお客さまも、満足いただける体制を提供できる」(三澤氏)とした。


1/8ラックでの導入に対応した
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