リコージャパン、4500人の営業担当者にiPadを配備~クラウドを活用した営業プロセスの変革に取り組む

佐藤社長が2012年度事業方針を発表


リコージャパン 代表取締役社長執行役員の佐藤邦彦氏

 リコージャパン株式会社は11日、2012年度の同社事業戦略について発表した。

 リコージャパン 代表取締役社長執行役員の佐藤邦彦氏は、「2012年度は、成長に向けて、商品軸+顧客軸での価値提供を強化する」とし、「7×3の領域での価値提供」、「お客さま起点で価値提供できるプロ集団」、「新たな市場の広がり」という3つの観点から取り組んでいくことを表明した。

 佐藤社長が打ち出した「7×3」とは、同社が取り扱う商品を、「ドキュメント」、「ITインフラ」、「SI/ソフト」、「通信コミュニケーション」、「イメージング」、「オフィスインフラ」、「NetRICOH」という7の製品群に分類。これを「モノ」として横軸に取る一方、縦軸には、「マシンイニシャル」、「ランニング」、「アウトソース・コンサル」といった「コト」を置き、それらで構成されるマスを、同社の事業領域をターゲットとして展開していく考え方になる。

 佐藤社長によれば、「小学生のときに、図形の面積を出すのに線を一本引くと答えを導きやすいという場合があった。これと同じように、線を引いて、われわれの事業を再定義した」とのことで、「従来の商品分野を新たな領域に再定義し、領域ごとや領域を超えた価値提供を進めるほか、基幹事業である複合機、プリンタ分野に、マネージド・ドキュメント・サービスやプロダクションプリンティングを加え、ドキュメント領域での価値提供を行う」という。

 また、「ネットワークソリューション分野の各成長領域を切り出し、新規事業と組み合わせて、新たな顧客価値を生み出すことや、各領域の商品単体から商品MIX、サービスMIX、新たなサービスモデル構築へと進化させることを狙う。これまでのように、ひとつずつの製品、サービスの提案だと、価格競争に陥ったり、それぞれの領域で多くの企業と競合することになるが、これらを組み合わせることで、リコージャパンならではの包括的なソリューション提案ができる。すでに、MIX提案によって、他社複合機をすべて入れ替えたという実績や、プリンタ300台およびPC1100台の一元管理の受注、モバイル機器を含めた入出力機器の入れ替え需要などの実績があがっている」とも述べた。

 さらに「中小企業に対しては、業種でのアプローチを徹底する一方、中大手企業に対しては、業種+部門でのアプローチを行う。さらに、業種、部門ごとのソリューションシナリオを提案する」などとした。


7×3の価値提供領域の考え方7×3の価値提供領域7×3の価値提供シナリオ
Risonatorの概要

 一方で、リコージャパンの4500人の営業担当者に、iPadを配布。クラウドサービスを活用して、営業プロセスの変革に取り組む考えも明らかにした。

 iPadで利用することができる同社独自開発のソフトウェアによって、営業の効率化と売り上げ拡大を図るのが狙いで、顧客の課題を発掘するためのツールと位置づけられるRisonator(Ricoh Solution Navigator)では、顧客の地域、業種、社員規模などを入力するとともに、課題となるテーマを選択していくだけで、顧客への課題解決の提案が可能になるという。

 この経験を蓄積することで、ユーザーにも仕組みそのものを提案するほか、次のステップとして、全国の販売店を対象に、Risonatorのほか、動画などによって商品を紹介するためのSecured Docsや、カラーMFP製品の電子カタログを展開していく考えを示した。

 佐藤社長は、「販売のリコーと呼ばれるが、販売の基礎体力が衰えていないか、提案力が十分かという点で、常に危機感がある。そうした課題解決に向けては、IT武装も有効な手段になる」と語り、「1000人を対象にiPadを先行導入したが、iPadの導入によって、セールス面談率および案件発生数が増加。平均受注金額は12.8%増、平均粗利金額は46.0%増となっている。iPadを利用することで、コスト提案ではなく、価値提案ができていることがわかる」(リコージャパン 販売力強化センターの杉山大二郎センター長)とした。


販売力強化に向けた取り組み顧客とのコミュニケーションを強化するほか、提案力の向上などを図るリコージャパン 販売力強化センターの杉山大二郎センター長

 一方、佐藤社長は、「2010年7月に、リコーグループの国内販売会社がひとつになり、リコージャパンを発足してからちょうど2年を経過した。当社自身が改革に取り組み、それをベースにして、お客さまに価値提案をしていくのが基本姿勢。中堅中小企業を中心とした約100万を超える顧客基盤、ドキュメントやITサービス、アウトソーシングサービスなどのグループ総力を結集したソリューション提案力、社内実践や導入事例に裏付けられた価値提案力が強みになる」などとアピール。

 全国293拠点約9200人の営業員および販売店による販売ネットワーク、全国381拠点約6900人によるサポート&サービス体制を持っていること、PC、サーバーの販売では、マルチベンダー対応により年間56万台を販売しており、業種業務アプリケーションでは基幹、製造、建設、福祉などを中心に累計12万本の販売実績があること、PCおよびサーバーの運用管理サービスでは、1万3000件の導入実績などがあることを示した。

 また、同社では、東京・有楽町の東京国際フォーラムで「Value Presentation 2012」を開催。リコージャパンが取り扱う製品を一堂に展示するとともに、基調講演やエグゼクティブセミナーなどを実施。佐藤社長は、「CCS(Customer's Customer Success)セミナーが最も人気が高い。課題解決の実践について触れたいという点で来場者の関心が高い」などと話す。

 Value Presentation 2012は、東京での開催を皮切りに、来年1月までに全国7都市で開催。合計で1万1300社、約2万人の来場を見込んでいるという。東京会場では、4000社7000人の来場登録があったという。

 「リコージャパンとして、初めて全国7都市で開催。改善、改革事例、社内実践事例からお客さまの課題を共有。さらに、お客さまの関心事や課題にあわせたフォローアップメニューを用意している。また、7×3の価値提案を、セミナーを通じて提案していくこともできる。東京会場では90の課題解決事例を展示しており、そのうち50以上の展示でお客さまの名前を表示している」(杉山センター長)。


東京・有楽町の東京国際フォーラムで開催した「Value Presentation 2012」
関連情報
(大河原 克行)
2012/7/12 00:00