EMCジャパン、仮想化向けインフラのリファレンス構成「VSPEX」


 EMCジャパン株式会社は5日、検証済みの仮想化向けインフラ構成「VSPEX」を発表した。同社のストレージを中心に、パートナー企業のハイパーバイザー、アプリケーション、サーバー機、ネットワークなどを組み合わせたリファレンスアーキテクチャで、EMCジャパンの販売パートナー経由で提供される。

 VSPEXは、統合ストレージ「VNX/VNXe」、重複排除機能を備えたバックアップシステム「Avamar」「Data Domain」といったEMCジャパンの製品を中心に、パートナー各社の製品を組み合わせて構成される検証済みの仮想化インフラ構成。ユーザー企業はこれを利用することで、仮想化インフラの導入を迅速に行える。

 一方販売パートナーにとっても、すでに検証済みであり、サイジングも済んでいることから、プランニングから構成・検証までの手間と時間を大幅に削減可能な点がメリット。また、完全に構成が固定されているのではなく、必要に応じて変更可能な柔軟さを併せ持つ点も特徴の1つという。

 執行役員 パートナー・コーポレート営業本部長の中山泰宏氏はこの点について、「リファレンスの構成をそのまま販売するのでは、どのパートナーも同じものを販売することになってしまうため、パートナー各社は、自社が得意とするソリューションをいかに組み込むかがキーになるだろう。当社ではさらに、パートナーのブランドで提供するといったマーケティングの支援も提供する」と説明。例えば、基幹アプリケーション、セキュリティ、データベース、メッセージングなどのソリューションが組み込まれて、パートナー企業から販売されるのではないかとした。


執行役員 パートナー・コーポレート営業本部長の中山泰宏氏パートナーにとってのメリット

 VSPEXのコンポーネントとしては、自社製品以外に、シトリックス、ヴイエムウェア、日本マイクロソフト、シスコ、ブロケード、インテルといったベンダーの製品を利用。50/100/125/250台の仮想マシンを収容できるサーバー仮想環境向け「VMwareプライベート・クラウド」「Microsoftプライベート・クラウド」、250/500/1000/2000ユーザーを収容できる仮想デスクトップ環境向けの「Citrix XenDesktop」をラインアップする。仮想デスクトップ環境向けでは、さらに「VMware View」を近日中に提供する予定。


自社だけでなく、さまざまなパートナーの製品を統合して検証しているリファレンスアーキテクチャのラインアップ。仮想デスクトップ向け、仮想サーバー向けの双方が用意される250ユーザーの「Citrix XenDesktop」構成でのコンポーネント例

 なおEMCジャパンがこうしたリファレンスアーキテクチャを提供する背景には、ストレージ市場がハイエンドからローエンド/エントリーモデルにシフトしているという事情がある。従来、ハイエンドストレージを直販中心に販売してきたEMCジャパンも、こうした市場の変化に対応するためパートナー経由での販売に力を入れており、2011年にはVMX/VMXeやData Domain DD160など、パートナー経由での販売に適した製品を提供するようになってきていた。

 今回のVSPEXもこうした流れを受けてのもので、パートナー専用の商材に位置づけられており、「共同マーケティングによる認知度の向上やブランディング支援、検証用のVSPEXラボの提供、ファイナンシャルプログラムの提供などによって、パートナーを積極的に支援する」(中山氏)との姿勢を明確に打ち出している。

 国内でも、ネットワンシステムズとネットワールドがすでにのVSPEXのトレーニングを終了しているほか、多くのパートナーが現在トレーニングを受けているとのことで、さまざまなSIerやディストリビュータからの提供が見込まれている。

 またEMCジャパンでは、シスコやヴイエムウェアと共同でハイエンド向けの仮想化基盤パッケージ「Vblock」を提供しているが、VSPEXはミッドレンジ/エントリーの市場を狙っており、対象は重ならないとのこと。

 テクニカル・コンサルティング本部 プロダクト・ソリューション統括部 ソリューション部 vSpecialistチームリードの細田博氏は「Vblockは大規模な仮想化のお客さまには喜ばれるが、お客さまのターゲットがかなり絞られる。Vblockでは大きいけれど、単一のコンポーネントを組み合わせて一から作るのでは時間がかかりすぎる、というお客さまのために誕生したのがVSPEX。Vblockのように専用管理ツールも特に提供されない」と述べ、両者の立ち位置を説明した。


Vblockはハイエンド向け、VSPEXより小規模向けで立ち位置が違うと説明する
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