シマンテック、セキュリティスペシャリストの育成やBYODへの取り組みを強化へ


代表取締役社長の河村浩明氏

 株式会社シマンテックは20日、2012年の事業成績と2013年度(2013年3月期)の経営戦略に関する説明会を開催。代表取締役社長の河村浩明氏はその中で、シマンテック・サイバーディフェンスアカデミーの開校、バックアップアプライアンスの製品化、モバイルデバイス活用への取り組みといった3点を重点目標として掲げていくと説明した。

 河村社長によれば、2012年度(2012年3月期)は日本の売上高成長率が前年比17%増と好調に推移したというが、その理由として、1)ディストリビューションチャネルのシェア向上、2)OEMビジネスの伸長、3)中堅・大企業での大型案件の増加、4)クラウド/サービスビジネスの強化、といった4つを挙げる。

 1)では、従業員数250名以下のSMB市場にフォーカスした事業部を編成したほか、同市場向けの特別パッケージや、パートナーとの連携ソリューションを拡充してきたという。また2)では、富士通、NEC、日立といった国産ベンダーへのOEMソリューションが好調に推移したことに加え、従来の中心だったバックアップ分野からセキュリティ分野へも取り組みを拡大。これらの要因によって、前年比3~4割の成長を遂げたとする。


ディストリビューションチャネルのシェア向上OEMビジネスが順調に拡大したという

 次の3)は、エンタープライズ市場での大型案件を前年の3倍獲得したこと、また中堅市場を中心に、これまでアプローチできていなかった630社を新たに獲得できたことが好調の要因。河村社長はこの分野について、「ハイタッチのセールス展開により、ポイントソリューションではなく包括的なソリューションを取りに行く。高レベルのサポートサービスであるビジネスクリティカルサービスを含めて、今年も積極的に大型案件を取りに行く」と話す。

 最後の4)では、旧メッセージラボのサービスを中心とした、シマンテック自身のクラウドサービスであるSymantec.cloudが大きく伸長。「従来は中小が中心だったが、昨年はがらりと状況が変わり、日本の大手リーディングカンパニー6社から受注できたことなどで、対前年300%伸長した。SMBに対しても大手4社と再販契約を締結し、本格的に進出する」(河村社長)という。またクラウドサービスでは、クラウド事業者へ各種セキュリティエンジンを提供するビジネスも順調で、日本の大手キャリア、ISPにも採用されているとのこと。


エンタープライズ分野で大型案件を前年比3倍獲得Symantec.cloudも順調に拡大している

 一方、2013年度については、昨今のセキュリティトレンドを受けた新事業を各種開始する。まず、「企業が一番困っているのは人材。セキュリティ対策をリードできる人材、ログの相関分析をできるエンジニアなどを求めており、シマンテックの知見をユーザー側にも開示してくれという要望が多い」(河村社長)ことを受け、シマンテック・サイバーディフェンスアカデミーを9月より開校する。

 コースは、現場の技術担当者を対象にサイバー攻撃の解析や検知に関するノウハウを伝える「Cyber Threat Detection」、技術部門のマネージャーを対象に、セキュリティインシデントが起こった際の対応などを講ずる「Cyber Incident Response & Recovery」の2つを用意した。各コースとも5日間、合計35時間で、1コース50万円(税別)を予定する。

 また、全社的なバックアップ環境の統合がまだまだ未整備の企業が多いという状況を受け、NetBackupアプライアンスの提供を予定するほか、買収したOdyssey、Nukonaなどのソリューションも含めたモバイル/クラウドサービスを整備し、企業が取り組み始めているBYODへの対応を図る考えを示した。


シマンテック・サイバーディフェンスアカデミー開校の背景NetBackupアプライアンス
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