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ネットアップの2025年IT市場トレンド予測、「AI市場は成熟し、セキュリティ対策は義務になる」
2025年4月4日 11:30
ネットアップ合同会社は3日、2025年のIT市場における最新トレンドについて説明会を開催した。
同社では、毎年IT市場のトレンドを予測しており、グローバルではNetApp チーフテクノロジーエバンジェリストのマット・ワッツ(Matt Watts)氏が、1.標準化の進展、2.セキュリティ・アズ・ア・サービス分野の躍進、3.AIのリアリティに関する認識の変化、4.多くの国でITインフラの重要性が高まる、5.データの無駄に対する重要性が高まる、6.クラウドの持続可能性に関する説明責任が高まる、という6点を予測している。
今回の説明会では、日本のネットアップでチーフテクノロジーエバンジェリストを務める神原豊彦氏が、日本のIT市場についてネットアップの立場から予測、その内容を解説した。同氏によるとこの予測は、経済指標として国内のIT市場が前年比8%成長するとされていることや、「デジタル変革への投資」「セキュリティ対策」「マイグレーション需要の継続」が市場を牽引するとアナリストが分析していることなどがベースになっている。
神原氏が2025年の国内IT市場トレンドとして予測したのは、1.AI市場の成熟、2.標準化と近代化の進展、3.セキュリティの新たな定義、4.Data as a Product、5.クラウドモダナイゼーション、6.サステナビリティ、の6項目だ。
1.AI市場の成熟
まず、AI市場については、「引き続き市場を大きく牽引し、今年のIT市場の中心を担うことが予測される」と神原氏。特に、今後の世代交代を見据え、「若い世代ほどAIに対して将来的な展望を抱いており、現場レベルでAI技術の推進が加速するだろう」と話す。
ただし、クラウドの費用や電力と冷却、人材など、AIを導入するにあたってさまざまなインフラコストが高騰していることから、「AI技術に対するネガティブな感情が高まる可能性があり、過度な期待から冷静さを取り戻しつつある」としている。
その一方で、冷静さを取り戻した企業はAIプロジェクトを再評価し、現実的なロードマップを策定し始めているという。その結果、「長期的な視点ではAI技術の発展につながるターニングポイントになる」とし、これがAI市場の成熟化の過程だと神原氏は述べている。
2.標準化と近代化の進展
神原氏は、IT業界が慢性的な人材不足に直面していること、そして労働人口の減少によってこの課題がさらに深刻化していることを指摘。現場では以前にも増してプレッシャーが高まっており、「かつては中国やインドを中心にリソースを確保していたが、現在ではこれらの国々でも人材不足のため、日本国内で効率性を追求する必要性が高まっている」と話す。
効率よく働き、生産性を向上させるには、技術の選定や標準化の取り組みが必須だと神原氏はいう。また、従来のマンパワー中心の方法から脱却し、「ノーコード・ローコードなどの新しい技術を活用することで近代化を進める必要がある。今年はこうした動きが顕著になるだろう」とした。
3.セキュリティの新たな定義
セキュリティについては、「サイバー攻撃の脅威が高まり続けており、AIの進化によって犯罪者の手口も進化している」と神原氏。社内のトレーニングを受けた神原氏自身も、社長からファイルを開けるようにという疑似攻撃の指示に従ってしまったほど、攻撃が巧妙化していると明かす。
こうした状況を受け、世界各国でサイバー攻撃対策に関する法規制が整備され、適切なセキュリティ対策を採らない企業は信頼できないと考えられるようになってきたという。「セキュリティ対策は、攻撃を受けないための自衛の手段ではなく、事業活動を行ううえでの義務になりつつある」(神原氏)
こうした中、多くの企業がセキュリティのあるべき姿を再定義することになり、それに伴ったシステムへの実装方法も段階的な更新が進むと神原氏は予測する。
「従来のように水際防御を固めるだけでなく、内部侵入を迅速に検出し、被害範囲を局所化し、迅速に復旧し、犯罪の証拠を保全することが求められる。つまり、サイバーレジリエンスの重要性が高まっているということだ。これを限られたリソースで現実的な運用に落とし込むための方法論が必要だ」と神原氏は述べている。
4.Data as a Product
Data as a Productには、2つの意味があるという。ひとつは、データを価値のある製品として扱う考え方のことで、もうひとつは、データをパッケージ商品のように誰でも扱えるようにすることだという。
Data as a Productは、欧米圏では浸透しつつあるコンセプトだというが、神原氏は「2025年は国内でもこの考えが浸透していくのではないか」としている。
5.クラウドモダナイゼーション
AIをはじめとするITの先端技術の多くが、パブリッククラウドによって提供されるなど、この市場は成熟が進んでいるが、「円安の影響もあってコストが上昇する中、成果の評価が難しいプロジェクトにおいては投資判断も難しい」と神原氏はいう。
そのため、クラウド投資の望ましい指標とKPIを設定し、運用監視するための新しいプロセスの整備が進むことになると神原氏は予測。さまざまなクラウド上で展開されるプロジェクトをその範囲に収め、コストや運用効率、投資判断といった課題に対し、AIOpsやFinOpsなどのアプローチが重要性を増すことになるとしている。
6.サステナビリティ
サステナビリティに対する関心は、日本ではこれまであまり高くなかったというが、「昨年後半より、各企業のIT部門でサステナビリティを明文化する動きが始まっている」と神原氏は語る。
AIにシフトすることで、コンピューティングのエネルギーの消費量も高まっているが、世界全体で脱炭素化に向けたタイムリミットが近づいていると神原氏は指摘。「IT部門においても、ITの与える環境リスクを見極め、解決に向けたアプローチを求める時期に差し掛かっている」とした。