富士通研究所、最大データ収集量を2.6倍に向上させるM2M向け技術を開発~センサーが電力を自律制御
株式会社富士通研究所は29日、センサーが自律的に送信電力を制御することで、最大データ収集量を向上させる技術を開発したと発表した。データ送信によるパケット衝突を低減させ、最大データ収集量が従来の無線センサーネットワークの2.6倍にまで高められるという。
無線センサーのネットワークでは、ほかのセンサーがデータ(パケット)を送信していないことを確認してからパケットを送信するが、互いに送信パケットが届かないセンサー同士は同時にパケットを送信するため、パケットの衝突が起こって通信性能が劣化してしまう点が問題とされてきた。
また各センサーは通信距離をできるだけ確保する目的で、最大送信電力でパケットを送信していたが、互いに送信パケットが届かないセンサーの存在する領域が増大することから、パケット衝突が起こりやすくなっていた。特に、各センサーのデータを収集するデータ集約装置の周辺では、パケットが集中して衝突が発生しやすくなっており、通信性能が著しく劣化してしまっていたという。
M2Mネットワークの例 | パケット衝突の例 |
富士通研究所は今回、こうした点に着目し、各センサーが送信電力を最適な値に自律制御することで、データ集約装置周辺のパケット衝突を著しく低減する技術を開発した。
データ集約装置と直接通信しないセンサーなどが、必要以上に電力でパケットを送信すると、パケットの衝突が起こりやすくなってしまうため、各センサーはデータ集約装置からパケットを受信し、受信電力を測定。ここで測定した受信電力から自センサーとデータ集約装置の距離を推定し、センサーがデータ集約装置と直接通信するかどうかを判定する。そして各センサーは、これらの情報をもとに送信電力を計算して、必要なだけでの送信電力でパケットを送り出すとのこと。
この技術を用いると、最大データ収集量が従来の2.6倍に向上したほか、最大データ収集量が増加するため、少ないデータ集約装置数でネットワークを形成可能になる点もメリットで、センサーが高密度に偏在するような環境においても、低コスト・高品質な無線センサーネットワークを提供できるとしている。
データ集約装置と直接通信するセンサーの送信電力 | 性能評価結果 |