イージェネラ、NECブレードサーバーに対応した「PAN Manager」
7月中旬にグローバル出荷開始
イージェネラ株式会社は5月17日、日本電気株式会社(以下、NEC)と米イージェネラの間で昨年10月に締結された契約に基づき開発したNECブレードサーバー向けプラットフォーム管理ソフトウェア「PAN Manager Software for NEC SIGMABLADE System」(以下、PAN Manager for NEC)を7月中旬より世界で出荷すると発表した。
「PAN Manager」は、イージェネラの専用ハードウェア「BladeFrame」の管理ソフトウェアとして、金融機関、通信事業者、官公庁などのミッションクリティカルシステムで多くの導入実績をもつ。IT管理プロセスを簡素化し、物理サーバーと仮想サーバーに対して迅速なプロビジョニング、可用性、災害復旧機能を提供することで、ITサービスレベルの向上と管理コストの削減を実現する。
2008年からは、PAN Managerの提供する機能を他のプラットフォームで実現するために、“PAN Everywhere”という考えを提唱し、各種ハードウェア・プラットフォームに相次いで対応してきた。今回発表した「PAN Manager for NEC」も、その一環となるもので、PAN Managerのシンプルな運用を継承しながら、NECのブレードサーバー「Express5800/SIGMABLADE」のI/O仮想化機構との連携を実現した。
NEC 執行役員の丸山隆男氏 | 「PAN Manager for NEC」のシステム構成 |
NEC 執行役員の丸山隆男氏は、「『Express5800/SIGMABLADE』は、省スペース・軽量、省電力、高い保守メンテナンス性、効率的な運用管理といった特徴をもつ高性能ブレードサーバー。このシステムに、今回の『PAN Manager for NEC』を活用することで、マルチベンダーハードウェア環境の運用管理が容易に行えるようになる。さらに、NEC独自のフェールオーバー機能によって、他サーバーを利用したPAN Manager環境に比べて、サーバー切り替え時間を大幅に短縮している点も大きな特徴。これにより、ミッションクリティカルなクラウド基盤に最適なシステム環境を実現する」と、「PAN Manager for NEC」のメリットを説明している。
マルチベンダーハードウェア環境の運用管理が容易に | サーバーの切り替え時間を大幅に短縮 |
「PAN Manager for NEC」は、NECが総代理店となり、日本を含む全世界で独占的に販売、サポートを行い、システムの構築も含めたSIサービスを一貫して提供する。「これまで培ったミッションクリティカルシステム構築における当社の技術・ノウハウを最大限に活用し、日本だけでなくグローバル市場に向けて、金融・通信分野など高いミッションクリティカル性が求められる企業のIT基盤として拡販展開していく」と、NECの丸山氏は意欲を見せた。
イージェネラ 代表取締役社長の大木稔氏 |
なお、イージェネラでは、「PAN Manager for NEC」の発表にあわせて、「PAN Manager」の今後の製品ロードマップも明らかにした。イージェネラ 代表取締役社長の大木稔氏は、「これまで『PAN Manager』は、物理環境を中心に主要なx86ベースのブレードサーバーをサポートしてきた。次のフェーズでは、統合インフラ技術市場でのリードを拡大し、クラウド管理やセルフサービス・ポータル、プロビジョニング、モニターといったクラウド環境向けの機能を提供していく。さらに、その次のフェーズでは、パブリックとプライベートクラウドを連携したハイブリッドクラウド環境にも機能を拡張する」との考えを示した。
具体的には、「PAN Manager」の機能を強化した「PAN Domain Manager」を今夏をめどにリリースする予定。「PAN Domain Manager」では、シングルインスタンスで256ノードをサポート。また、IO接続(ネットワークとストレージ)されている1つの筐体から別の筐体にハードウェア・フェールオーバーが可能となり、運用の効率化やコスト削減を実現するという。さらに、今年末から来年初めには、シングルインスタンスで異機種プラットフォームをサポートするとともに、異機種プラットフォーム間でのフェールオーバー機能も実現する計画。
「PAN Domain Manager」の機能概要 | テナント単位でのDR機能 |
このほか、DR(災害対策)機能の拡張も予定しており、「現在は複数の本番サイトに対して筐体単位でのDR対応だが、今後、テナント単位でのDRにも対応できるようにする。筐体単位では、災害時に同時に1台しかフェールオーバーできないが、テナント単位によって、複数筐体内にあるテナントを、同時にいくつでもフェールオーバーすることが可能となる」(イージェネラ・大木氏)としている。