クライアント仮想化製品のROIは325.2%、投資を13.3カ月で回収~IDC Japan調査


国内クライアント仮想化製品全体 ROI分析データ(出典:IDC Japan)

 IDC Japan株式会社は11日、クライアント仮想化ソフトのカテゴリ別ROI(投資対効果)の算出・分析を行い、その結果を発表した。それによると、クライアント仮想化製品平均のROIは325.2%、投資の回収期間は13.3カ月となったが、これはクライアント仮想化製品を使用することによって、投資に対して3年間で3倍以上の効果が得られ、およそ1年1カ月で投資コストが回収可能できることを意味するいう。

 今回の調査は、クライアント仮想化導入実績がある企業のIT管理者957人を対象に、2011年にWeb調査を実施したもの。この結果を見ると、クライアント仮想化ソフトのカテゴリ全区分で、総じて投資対効果が高い結果になったという。

 中でも、「プレゼンテーション仮想化」のカテゴリが378.5%と投資対効果が一番高く、次いで「アプリケーション仮想化」が376.3%、以下、「イメージストリーミング」(323.6%)、「ブレードPC」(339.9%)、「その他のクライアント仮想化」(327.8%)の順。「デスクトップ仮想化」(315.2%)は、クライアント仮想化ソフトでは最も低い結果となった。ただしIDC Japanでは、クライアント仮想化の複数カテゴリ製品を併用している企業が多いため、その併用割合を加味した上でユーザー企業ごとに投資対効果を検証する必要があると指摘している。

 1人あたりの初期投資額は25万7837円、効果は67万6870円で、エンドユーザーがクライアント仮想化を使用する時間の割合は、1日8時間勤務と想定した場合で52.0%(約4時間以上)に達する高い結果となった。

 さらに、クライアント仮想化製品の導入による、エンドユーザー、IT管理者/ITスタッフ、企業全体といった各グループでの改善率の平均値は、それぞれ26.8%、28.5%、19.3%を記録。これは例えばエンドユーザーでは、平均して26.8%の投資対効果が得られたことを意味するため、クライアント仮想化が投資対効果の高い戦略的製品といえるとしている。

 なお、IDC JapanのPC、携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの渋谷寛氏は、「クライアント仮想化導入においては、ROIは重要な指標。ユーザー企業におけるクライアント仮想化のオンプレミス型とサービス型に対する適合性を見極め、エンドユーザーの環境をトップダウンで整備していくように進めていくことが求められている。そのためにはIT管理者やCIOに加え、CEO、経営者を動かすことが重要で、ユーザー企業、パートナーとともに、エンドユーザー環境に対する投資対効果を測定し提案すること、それを経営者と共有することでクライアント仮想化の役割と重要度が明らかになると当社では見ている」とコメントした。

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(石井 一志)
2012/4/11 11:37