富士通、シンクライアントの新グローバルブランド「FUTRO」を発表
国内第1弾としてデスクトップモデルをリリース
執行役員常務 ユビキタスプロダクトビジネスグループ長の大谷信雄氏 |
富士通株式会社は8日、シンクライアントの新グローバルブランドとして「FUTRO(ヒューロー)」を設定すると発表した。なお同シリーズの国内第1弾としては、デスクトップ型シンクライアント「FUTRO S900」を同日より販売開始している。
「FUTRO」シリーズは、同社とドイツに本社を置くFujitsu Technology Solutionsが共同で開発し、グローバルに販売とサポートを行うシンクライアント製品。第1弾のデスクトップモデル「FUTRO S900」を皮切りに、順次ラインアップを拡充していく。新ブランドの名称“FUTRO”は、「FUTURE」と「ROAD」を合わせた造語で、新しい道を切り開く端末として命名され、新たなシーンで利用されるクライアントをイメージしているという。
執行役員常務 ユビキタスプロダクトビジネスグループ長の大谷信雄氏は、シンクライアントの新ブランドを投入する狙いについて、「当社は、1997年にシンクライアントを商品化し、15年前から販売展開しているが、今までは限定的な市場にとどまっていた。しかし、高速モバイルネットワークの普及やサーバーの高性能化、クラウド技術の進展、さらにはセキュリティ対策やBCM(事業継続)対策への取り組み強化など、近年、市場環境は大きく変化しており、シンクライアントの重要性は今後さらに増していくことが見込まれる。そこで今回、シンクライアントの普及が進むヨーロッパ市場で実績をもつ富士通テクノロジー・ソリューションズの技術力を融合し、新グローバルブランド『FUTRO』を立ち上げ、あらためてシンクライアントのビジネスを強化・拡大していく」と述べた。
執行役員 パーソナルビジネス本部長の齋藤邦彰氏 | 「FUTRO」は多彩な個人認証技術に対応 |
「FUTRO」シリーズの大きな特徴は、豊富なセキュリティ連携機能を備えている点だ。執行役員 パーソナルビジネス本部長の齋藤邦彰氏は、「『FUTRO』では、シンクライアントの運用で課題となる“なりすまし”への対策として、多彩な個人認証技術に対応している。手のひら静脈認証や指紋認証、FeliCaカード、スマートカードなどの個人認証技術を使って、Windowsやシステムへのログオン認証を行うことで、不正アクセスをクライアント側でブロックできる」と説明する。さらに、USBやシリアルなどの各ポートの使用を制限することも可能で、情報の持ち出しを管理し、情報漏えいを防止するという。
シリーズ第1弾のデスクトップ型シンクライアント「FUTRO S900」 |
シリーズ第1弾のデスクトップモデル「FUTRO S900」は、ディスプレイインターフェイスを標準で2ポート搭載。2台のディスプレイを同時に使用できるマルチモニタ環境を容易に構築でき、作業効率を向上することが可能。OSには、高い操作性と信頼性を備えたWindows 7をベースとしたWindows Embedded Standard 7を採用し、Windows 7搭載パソコンと同様の使いやすい操作環境を提供する。さらに、無線LANの通信規格IEEE802.11 b/g/nに準拠し、設置の自由度を向上したほか、液晶ディスプレイの背面搭載も可能で、省スペース化のニーズにも対応している。
齋藤氏は、今後のシンクライアントビジネスへの取り組みについて、「シンクライアントの商談は、従来の特定部門での利用から、全社端末の置き換え検討やモバイル環境での利用検討など、着実に大型化しつつある。そうした中で、当社は、デバイスからプラットフォームまでフルスタックのシンクライアントソリューションを用意し、グローバル展開をサポートできることが大きな強みだ。今回の新ブランド『FUTRO』シリーズを加えることで、このソリューションラインアップをさらに拡充し、当社の目指す『人を中心にしたICT』時代に向けて、顧客や市場からのあらゆるシンクライアントニーズに対応していく」との考えを示した。
「FUTRO S900」の価格(税別)は、4万9000円から。2月下旬の出荷開始を予定している。