ISID、島根県の公営塾と「SNSを活用した教育」を実証実験
株式会社電通国際情報サービス(ISID)のオープンイノベーション研究所は2日、島根県隠岐郡の公営塾「隠岐國学習センター」と共同で、SNSを活用した教育プラットフォームの実証実験を開始した。実験では、同センターに通う生徒の学期末考査に向けた学習計画立案、個々の生徒に応じた教材提供、教育指導、進ちょく管理などをSNS上で行い、生徒の理解度向上や離島の教育環境向上に効果があるかを検証する。
同実験では、ISIDの提供するクラウド型の教育プラットフォームに搭載された教材コンテンツ管理機能、学習管理機能、SNS機能などを活用し、2012年2月下旬に行われる学期末考査に向けた学習管理、個別指導を行う。
対象は同センターに通う高校1、2年生。科目は英語と化学の2教科で、旺文社と数研出版から提供される問題集を使用。SNSは、日本知能情報ファジィ学会の研究者向けSNSを活用し、教育プラットフォームに必要な機能をISIDが開発した。
生徒はタブレット端末を利用して登録された教材に回答したり、ほかのユーザーにコメントや評価を残すなどの双方向コミュニケーションを図りながら学習を進める。講師は生徒の学習進ちょく度を確認しながら、個々の生徒に適した課題や教材を送信するなど、理解度に応じた個別指導を行う。
講師には、同センターからだけでなく、Uターン・Iターンで隠岐郡島前(どうぜん)地区に居住している人や、島外にいる隠岐郡出身の大学生もサポーターとして参加。生徒の学習結果にアドバイスや評価を行う。
これらにより、講師が生徒一人ひとりに適した教材を検索・準備する時間を短縮し、生徒との個別学習の時間を増加。生徒は自分で立案した学習計画の進ちょく実績を確認するだけでなく、ほかの生徒の進ちょく度や解法も閲覧できるようにし、双方向のコミュニケーションによる学習意欲についても向上効果を測る。
実証実験イメージ |
隠岐國学習センターは、離島や過疎地域が抱える都市部との教育格差を解消し、地域の子どもたちの自己実現を地域全体で支援する新しいモデルづくりを目的に、2010年6月に島根県隠岐郡海士町(あまちょう)に公営塾として設立された。一方、ISIDのオープンイノベーション研究所は、さまざまな先端技術の実用化に取り組み、1月に教育分野におけるITプラットフォームの構築を目的とした実証実験プロジェクトチーム「教育ラボ」を立ち上げている。