SonicWALL、中小向けUTMアプライアンス2モデル~WAN最適化製品も国内初投入


 米SonicWALLは1日、中小規模環境向けのUTMアプライアンス「NSA 220W」「NSA 250M」、ならびにWAN最適化製品「WXAシリーズ」を発表した。いずれも、同日より提供を開始する。価格はオープン。


NSA 220WNSA 250M
アジア太平洋担当副社長のリチャード・ティン氏

 「NSA 220W」「NSA 250M」は、端末100台程度までの中小規模ネットワークを対象としたUTMアプライアンス。両製品とも、ファイアウォール/VPNの機能はもちろん、オプションの「Gateway Anti-Virus Pack」を購入することにより、ゲートウェイのウイルス対策、スパイウェア対策、IPSなどの機能を追加可能で、1台でさまざまなセキュリティ機能を統合できる。

 また、「Gateway Anti-Virus Pack」パックではアプリケーションの可視化と制御を行えるApplication Intelligence機能も提供されているので、いわゆる次世代ファイアウォールとしても利用可能。今回からは、小規模向け製品「TZシリーズ」と同様に、同パックをバンドルした製品も販売されるので、より手軽にこれらの機能が利用できるようになるという。

 アジア太平洋担当副社長のリチャード・ティン氏は、Application Intelligence機能の強みとして「他社と比べて識別できるアプリケーションの数が多く、また可視化の能力も高い。さらに、ASICベースのファイアウォールを提供している競合製品と比べて、当社製品は高いパフォーマンスを提供できる」とアピールする。実際に、3800以上のシグネチャにより、1600種類あまりのアプリケーションを識別できるとのことで、日本のWebサイトやアプリケーションについても、mixi、ニコニコ動画、サイボウズなど多数の識別が可能という。

 新製品を個別に見ると、「NSA 220W」は1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T×7ポートに加えて、IEEE 802.11n対応の無線LANアクセスポイント機能を備える点が特徴で、スマートフォンやタブレット端末といったスマートデバイスへの保護も1台で提供できる。

 最大スループット性能は、ファイアウォールが最大600Mbps、VPNが最大150Mbps、DPI(ディープパケットインスペクション)が最大110Mbps、IMIX(実運用環境を想定したトラフィック)が180Mbps。

 一方の「NSA 250M」は、1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T×5ポートと、拡張モジュール用スロット×1を搭載。SFP+や1000BASE-Tのポートを拡張することができる。最大スループット性能は、ファイアウォールが最大750Mbps、VPNが最大200Mbps、DPIが最大130Mbps、IMIXが210Mbps。

 なお、両製品ともに中小規模ネットワークを対象としているが、SonicWALLではSMBや中堅企業のみならず、大企業の部門やブランチオフィスなどでの利用も見込む。ティン氏は、「当社はSMB市場で実績があることで知られているが、『Eシリーズ』などの提供により、エンタープライズ市場にもフォーカスを強めている。今回、『NSA 250M』に光ファイバー用のモジュールを提供していることもその1つだ」と述べ、各市場に対して訴求していく考えを示した。

 

WAN最適化製品を日本市場にも投入

ハードウェアアプライアンスのWXA2000

 SonicWALLが発表した「WXAシリーズ」は、「NSA 220W」「NSA 250M」を含めた次世代ファイアウォールと連携し、2拠点以上の間で行われる通信を最適化するための製品だ。もともとは、2010年に同社が買収した英DBAM Systemsの技術がベースになっており、ソフトウェア、ハードウェアアプライアンス、仮想アプライアンスの各形態で提供される。

 後発ベンダーとしての参入になるが、ティン氏は「UTM市場とWAN最適化の市場は似ているし、管理が難しいなど、ユーザーがかかえる問題点も非常に近い」という点を指摘。製品の使いやすさなどでSMBに支持されてきた同社にとって、こうした課題の解決は得意分野であり、「WXAシリーズ」もUTMと統合した管理・設定を行えるため、競合製品に対してのアドバンテージを発揮できるとアピールした。

 用途については、回線品質が優れた日本国内での通信ではなく、国内の本社とアジアの支社の間といった、国際通信での利用を主な用途として見込む。ティン氏は「アジアにはネットワーク品質が良くない地域があるので、国際環境での接続としてご紹介したい。中国、台湾、シンガポール、タイなどには多くの日本企業が進出しており、そういった環境では必要になるのではないか」と話している。

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