KDDI、中小企業向けFMC施策「スマートバリュー for Business」
KDDI、沖縄セルラーは、4月1日より、中小企業を対象にauのスマートフォンやクラウドサービスの導入を促進する割引施策「スマートバリュー for Business」を4月1日より提供する。3月1日より受付が開始される。
「スマートバリュー for Business」は、同一法人名義のauスマートフォンや指定の固定通信サービス、そして5つのビジネスアプリをパッケージにしたクラウドサービス「ベーシックパック」(月額390円)を申し込むと、auスマートフォンの毎月の利用料が割引される割引施策。コンシューマー向けの「auスマートバリュー」と同様に、auスマートフォンの毎月の利用料から、最大2年間1480円、2年経過後は永年980円の割引を適用する。
auスマートフォンは、ISフラット、プランF(IS)シンプルF(IS)を契約し、ビジネスアプリパッケージ「ベーシックパック」を申し込む必要がある。固定通信はFTTH回線に限られ、IP電話対応の中小企業向けFTTHサービス「auひかり ビジネス」「auひかり ちゅら ビジネス」のほか、大企業向け「KDDI 光ダイレクト」などを契約する必要がある。
なお、FTTHの固定通信1回線あたり、最大50回線のauスマートフォンが割引を受けられる。同一法人名義の50回線以内であれば、後からauスマートフォンを増やしても割引の対象となる。
■ベーシックパック
「ベーシックパック」は、KDDIが法人向けに提供する5つのクラウドサービスをパッケージ化したサービス。法人導入されたauスマートフォン1回線あたり、月額390円で利用できる。
5つのサービスは以下の通り。()内は単体契約時の利用料で、これら5つのサービスがまとめて月額390円で利用できる。
・セキュリティサービス「KDDI 3LM Security」(月額315円/端末)
・10GBオンラインストレージ「KDDI ファイルストレージ」(月額315円/ID)
・1GBグループウェア「KDDI Knowledge Suite」(月額2100円/契約)
・名刺管理サービス「KDDI 名刺バンク」(月額1万290円/契約)
・3GBWebメールサービス「KDDI ビジネスメール」(月額315円/ID)
「KDDI 3LM Security」は、OSレベルでスマートフォンを管理するセキュリティサービス。端末紛失時の対策やアプリの一斉配信なども用意されている。
「KDDI ファイルストレージ」は、ウイルスチェック機能などを搭載した10GBのオンラインストレージ。プレゼンテーション用データなどを外出先で参照できる。
「KDDI Knowledge Suite」は、スケジューラーや設備予約機能、掲示案機能などが用意されたグループウェア。「KDDI 名刺バンク」は、カメラで撮影した名刺データを登録・管理できるサービス。最大2000枚のデータが登録できる。「KDDI ビジネスメール」は、3GBの法人向けWebメールサービスとなる。
プレゼンは、「KDDI ファイルストレージ」のデータをダウンロードして行われた |
■光通信サービス
中小企業向けの割引施策に合わせ、KDDIと沖縄セルラーは、法人向けFTTHサービスの拡充を図る。「auひかり ビジネス」「auひかり ちゅら ビジネス」は、KDDIとしては初の全国47都道府県で提供する法人向けFTTHサービスとなり、新サービスでトップシェアのNTT東西を切り崩していきたい考え。
FTTHサービスの通信速度は理論値最大で上り下りとも300Mbpsとなり、通信回線からインターネット接続プロバイダーまでの一括提供し、故障受付もオプションで24時間対応となる。
割り当て可能な固定IPアドレスは4~32個。IP電話サービスが利用可能で、1契約1番号で、500番号まで追加できる。チャネル数は1~8チャネル。KDDIでは、同一法人の固定電話および携帯間の通話料が定額となる「ビジネス通話定額」といった通話ソリューションを提供しており、こうしたサービスの適用も可能となる。
利用料は、ネットとIP電話の利用で月額8295円(固定IP4つ、4チャネルの場合)で、ネットのみでは月額6720円(固定IP4つ)、IP電話のみでは月額6090円(4チャネル)となる。このほか機器利用料が別途かかる。
■東海林氏「モバイルワークスタイルは導入せざるを得ない」
KDDIの東海林氏 |
プレゼンテーションを行ったKDDIの執行役員 ソリューション事業本部長の東海林崇氏は、ここ数年のトレンドとして、クラウドやスマートフォンのサービスが急速に立ち上がってきていることを説明し、「スマートデバイスを使ってワークスタイルを変えていこうという動きがある。モバイルワークスタイルを中小企業にも体感いただけないか」と、「スマートバリュー for Business」を提供する意義を語った。
KDDIでは、中小企業を10~300名規模の企業と位置づけており、こうした規模の企業では、スマートフォンやクラウド、ITの専門家がおらず、またそこにリソースが避けないと言った状況があるとしている。東海林氏は、「業務効率を考えていけば、モバイルワークスタイルは導入せざるを得ない」と話しており、「スマートバリュー for Business」で、固定通信も携帯通信も提供するKDDIの強みを生かして、中小企業がソリューションを導入しやすい環境を提供するというわけだ。
これに先駆けKDDIでは、全社7500人に自宅などで作業できるリモートアクセス環境を導入しており、法人営業部隊2000名にはスマートフォンを、さらに営業部門以外を含めた3000名にはタブレット端末も導入、社内で実証実験を開始している。東日本大震災に伴う原発停止などを受け、2011年の夏は節電対策が必要になったが、リモートアクセス環境を導入したことで、顧客との書類のやりとりや稟議(りんぎ)決済なども自宅で行える体制になった。
また、モバイルワークスタイルの導入は、顧客訪問回数や商談回数の増加や、残業時間やコピー量の削減といった面で10~20%の効果が現れたという。東海林氏は「会社に来ないから効率よく営業が回れる。その分だけ商談の件数が増えたほか、直行直帰を可能にしたために残業時間が削減され、さらにコピーの量も減った」と効果を語った。
KDDIでは、1台あたりの割引は2年間毎月1480円となるが、固定1回線あたり50台まで割引対象となるため、50台導入すれば毎月7万4000円の割引が実現するとアピールしている。同社は、代理店の営業力を生かしながら、法人専用のヘルプデスクなども用意し、中小企業への提案を強めていく方針だ。東海林氏は、KDDIのスマートフォン展開が本格化したのは2011年からとし、「大手企業を中心にスマートフォンの引き合いが大きくなった。また、スマートフォンフォンのラインアップをそろえるほど案件が増えてきている」と需要の高まりを説明した。