セールスフォースとNTT Com、データセンターの稼働開始式開催
原口元総務大臣ら招き
稼働開始を記念して行われた鏡割り |
セールスフォース 代表取締役社長の宇陀栄次氏 |
セールスフォース・ドットコム株式会社(以下、セールスフォース)とNTTコミュニケーションズ株式会社(以下、NTT Com)は14日、東京データセンターの稼働開始、記念式典を開催した。
東京データセンターは、NTT Comの保有するデータセンターを利用したもので、米salesforce.comにとっては北米、シンガポールに続く、第三の拠点となる。
稼働開始日がセールスフォースのプライベートショー「Cloudforce2011」の開催日だったこともあって、稼働記念に行われた鏡開きには、米本社のマーク・ベニオフ会長兼CEO、元総務大臣の原口一博衆議院議員などが参加。稼働開始にあたって、鏡開きを行い、東京データセンター開設を祝った。
その前に行われたあいさつで、セールスフォースの宇陀栄次社長は「東京データセンターは私にとっては念願のものであった。今回、日本にデータセンターができたことで、全世界三極体制となり、日本のみならずアジア地域の拠点となるデータセンターとなる。ここに大きな意味があり、日本企業にとっては日本市場だけでなく、アジアにビジネスを拡大していくための拠点として活用してもらいたい」と話した。
すでに日本企業でセールスフォースのサービスを利用している場合、海外のデータセンターを利用していたが、「東京データセンター開設で、日本にデータを起きたいという申し出をすでに受けている。官公庁や自治体など、海外にデータセンターがあることを懸念材料としていた企業に対しては大きな安心材料となるのではないか」という見方を宇陀社長は示した。
salesforce.comのマーク・ベニオフCEOも、「開設にあたっては、原口一博衆議院議員をはじめ、いろいろな方にたくさんの支援を頂いたが、無事に開設することができた。日本企業にとって大きな力となるだろう」と話した。
原口一博衆議院議員も、「東日本大震災の後、福島第一原発の事故が起こった際、ベニオフ氏に連絡し協力を願ったが、ベニオフ氏は真っ先にオバマ大統領に連絡をとってくれた。旧来のエネルギー政策は独占的、集中的で排他的に作られているが、クラウドはその壁を壊す人間の尊厳そのもの。コミュニケーションのあり方を変えていくことでまさに社会に変革を起こすことができる。今回、その拠点となる東京データセンターが開設できたことは、日本人にとっても大変有り難い」とベニオフCEOの言葉に賛同した。
データセンターを運営するNTT Comの牧貞夫代表取締役副社長は、「日本をデータセンター拠点のひとつに選んでいただいたことを、日本人として感謝したい。今回開設した東京データセンターは、高いパフォーマンスとともに、環境に配慮したCO2排出量の少ないデータセンターとなっている。また、われわれは海外の主要拠点での展開、サービスデリバリー能力の向上などを進めており、今後のsalesforce.comのグローバル展開にあたっても少しでもお役に立つことができれば」と述べ、この協業をプラスだと説明した。
原口一博衆議院議員 | NTT Com 代表取締役副社長の牧貞夫氏 |
■日本ではすでに大きな実績を挙げている
この後、ベニオフCEOが記者からの質問を受けつけた。
米salesforce.comのマーク・ベニオフCEO |
日本はユーザーに比べてベンダー側のクラウドに取り組む姿勢が遅れているのではないか?という質問に対しては、「日本は革新的で新しい技術を積極的に取り入れる機運があり、今後もアメリカに次ぐ世界で2番目の市場であることを維持し続けると考える。それは実際に日本郵政、トヨタ、キヤノンマーケティングといった日本の基盤となっている企業がクラウドをすでに使っているという実績からも明らかだ」と回答。
さらに、「最近のニュースなので、インターネットで調べてもらえばわかるが、米Microsoftのスティーブ・バルマー氏(CEO)が中国に行き、『われわれはかなりの額を中国に投資しているが、依然として中国の売り上げはオランダの売り上げにも及ばない』とコメントしていた。同様の感想をOracleも持っているだろうし、われわれも同様に考える。中国は魅力的な市場だが、売り上げでは日本に及ばない」と話し、日本市場では大きな実績を上げているとした。
また「テクノロジーは常に新しいチャンスを生む。トヨタ自動車の豊田章一郎さんとお話し、リコールなど大変な問題もいろいろと伺ったが、『トヨタは必ず再生できますよ』と申し上げた。そして実際にトヨタ自動車は東京モーターショーで『Fun-Vii』という新しいビジョンを作り上げた。これこそ、テクノロジーが新しいビジネスを生む象徴ではないか。日本に投資することを望まない企業もあるが、われわれはそう思わない」と、日本への注力は今後も変わらないことを強調した。
一方でIT業界の新たな注力ワードとなっている「ビッグデータ」については、「われわれもすでに投資を進めている」とビッグデータ活用に向けても準備を進めているとした。
なお同社が進めるChatterなどソーシャルエンタープライズの収益性については、財務会計担当者から「現在の売り上げの8割がCRM関係で、残りがそれ以外の事業からとなっている。ただし、これは既存顧客ベースのもので、新しい売り上げでは6割がCRM関係。ソーシャルエンタープライズについては、すべての売り上げのベースとなるもの」と説明している。