呉医療センター、富士通のシンクライアントシステムで医療情報システムを刷新


 独立行政法人国立病院機構 呉医療センターと富士通株式会社は24日、呉医療センターの医療情報システムをシンクライアント方式のシステムに全面刷新したと発表した。

 呉医療センターの医療情報システムにおいては、個人情報漏えい対策のため、インターネットに接続できる情報系システムと電子カルテシステムが別個のネットワークとして管理されていたため、同一の端末で2つのシステムを利用できなかったという。

 従って、石が電子カルテシステムを使いながらインターネットで文献を検索したり書類を作成したりするためには、複数の端末を利用しなくてはいけなかった。さらに各診療科では、例えば手術の管理情報を、電子カルテシステムと手術台帳管理システムにそれぞれ入力しなくてはならず、業務も煩雑になってしまっていた。

 しかし今回構築されたシステムでは、電子カルテ/情報系の両システムのアプリケーションをすべてクライアント仮想化で実装し、1台の端末から両方のシステムを同時に利用できるようにした。これによって、診療中でも安全にインターネットを利用できる、利便性とセキュリティを両立したシステムを構築できたとのこと。

 具体的には、富士通の電子カルテシステム「HOPE/EGMAIN-GX」を中核に、約35部門のシステムを連携させて構築された。それぞれのシステムへのアクセス時には、端末からICカード認証によってセキュリティを確保するほか、シングルサインオンにより、2つの仮想サーバーへ容易にアクセスできるとしている。

 またこのシステムには、ICカード認証と連携したユーザーローミング機能が搭載されていることから、医師を含めた病院職員は、自分のファイルを院内のどの端末からも呼び出せるようになり、業務の効率化も達成されたとのこと。さらに、仮想化技術によるサーバー統合で、CO2の排出量を従来比で約6割削減。端末側のCO2排出量も、シンクライアント方式によって従来比で約7割削減可能になったとした。

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(石井 一志)
2011/11/24 16:01