アシストがフィンランドSkySQLと提携、MySQLの製品サポートを12月より提供

高速分析用データベース「Calpont InfiniDB」も販売へ


 株式会社アシストは8日、データベース製品の取り扱いを強化すると発表した。フィンランドSkySQL Abと国内での独占的業務提携を行い、MySQL/MariaDBのプロダクトサポートを12月より開始するほか、米Calpontと国内総代理店契約を締結し、同社の高速分析用データベース「Calpont InfiniDB」を2012年1月から販売する。

 

MySQL/MariaDBへのプロダクトサポートを提供

SkySQL AbのCEO、ウルフ・サンドベリ氏
SkySQL Abの概要

 今回、アシストがプロダクトサポートを提供するのは、コミュニティ版のMySQLと、MySQLから派生したMariaDBの両データベース。「スウェーデンMySQL ABの共同創設者をはじめ、同社を立ち上げた元従業員がコアメンバーとなっているSkySQLと提携することにより、質の高いサポートを提供できる点が強み」(アシスト データ基盤ソフトウェアの小野明洋氏)という。

 1次サポートについてはアシストが担当し、Oracle Databaseの長年にわたるサポート経験・ノウハウを生かすほか、国内3拠点のサポートセンターを活用するため、災害時もサポートを継続可能な、エンタープライズクラスのサポートを提供。2次サポートをSkySQL Abが担当するのに加え、やはりMySQL AB立ち上げ時の元社員がコアメンバーがとなっているMonty Programとの連携により、パッチなどを提供する。

 SkySQL AbのCEO、ウルフ・サンドベリ氏は同社について、「MySQL ABの共同創設者であるマイケル・ウィデニウス(Monty)とデビッド・アクスマルクの両氏が立ち上げに参画し、1年ほど前に立ち上げられた会社。初年度から26カ国で160社と契約し、ドイツテレコムをはじめとした通信、金融、政府系など、多業種の大手企業で利用されている」と、自社とその実績を紹介。アシストと協力して、不安なく企業が利用できるように支援するとした。

 またアシストでは、SQLの自動生成やオブジェクト生成を行える開発支援ツール、負荷状況を監視するリソース監視ツール、バックアップ/リカバリツールといったGUIのツールを用意しており、これによってユーザーの運用負荷を軽減するとのこと。

 サポート対象は、MySQLが4.0以降、MariaDBが5.1以降。サポートレベルとしては、全GUIツールを利用でき、修正パッチも提供する「スタンダード」と、GUIツールは開発支援ツールのみ利用でき、修正パッチも提供されない「エントリ」が用意された。また課金単位として、サーバー単位の「サーバー契約」と、25サーバーまで利用可能な「サイト契約」(スタンダードのみ)を設けている。

 年間価格は、サーバー契約のエントリが9万8000円(税別)、スタンダードが17万2800円(税別)、サイト契約のスタンダードが216万円(税別)。なお、サポート時間はいずれも平日9時~17時で、24時間365日対応の「エンタープライズ」については、2012年6月の開始を予定している。


アシストが提供するGUIツール提供されるプロダクトサポート

 

InfiniDBでDWHへの取り組みを強化する

InfiniDBの特徴
InfiniDBの構成概要

 一方のInfiniDBは、カラム指向の並列型データベースソフト。カラム指向技術によって必要最小限のデータにのみアクセスする仕組みによって、I/Oの待ち時間を70%から95%削減できる高速性が特徴という。また、一般的なx86サーバーをプラットフォームとして利用するが、「メモリやCPUを増やすスケールアップにも、サーバーを増やすスケールアウトにも対応し、倍にすれば倍のパフォーマンスができる」(アシスト 商品企画開発室長の板木栄樹氏)という柔軟な拡張性も備えている。さらに、インデックスのメンテナンスが必要なく、シンプルに運用していける点もメリットとのこと。

 構成としては、ユーザーの検索実行を受け、必要な命令を出すユーザーモジュールと、実際に結果をデータから取ってくるパフォーマンスモジュールの2層に分かれており、スケールアウトの手法を用いる場合は、パフォーマンスモジュールを複数並べることになる。

 また、Calpontの社長兼CEO、ジェフ・ヴォーゲル氏は、「モジュール追加もオンラインかつリアルタイムに行え、秒単位でモジュールの拡張が可能なアーキテクチャだ。(システムにかかる)負荷は、1日の中でもばらつきがある場合も多いだろうが、実際のユーザー環境にあわせて柔軟にモジュールを組める。また、パフォーマンスモジュールはSQL機能を持っていないので、新たな仕組みが登場しても対応しやすい」とした。

 なお、データウェアハウス(DWH)製品市場では、ハードウェアとソフトウェアを一体化したアプライアンスベースのアプローチが主流になりつつあるが、InfiniDBは汎用x86サーバーを用いながらも、これらと比べて遜色(そんしょく)ない性能を提供できるとのこと。

 ヴォーゲルCEOは「Oracle Exadata、Netezza、Teradataといった製品が競合になるものの、例えばExadataとInfiniDBを比べた場合、InfiniDBの方がはるかに容易にスケールできるし、比較にならないほど安いコストで提供でき、お客さまの負担が違ってくる。既存のお客さまの中にも、Exadataとの比較で当社を選んでいただいたケースがある」と述べ、自社の優位性を強調していた。

 InfiniDBの価格は360万円(税別)から。


Calpontの社長兼CEO、ジェフ・ヴォーゲル氏

 

顧客からのニーズに応える品ぞろえ拡充を進める

アシストのビル・トッテン社長
データベースへのニーズが多様化しているという

 アシストが、こうしたデータベース製品の強化をする背景には、データベースに対する顧客のニーズの多様化がある。もともと同社は、「企業時からずっとデータベースを扱っており、ユーザーの必要に応じて商品を拡充してきた」(アシストのビル・トッテン社長)といった歴史を持ち、現在でも、データベース関連ビジネスが売り上げの35~40%を占めるほど、データベースに注力してきた。

 その中で、景気の悪化によるIT予算削減などのを受けてオープンソースデータベースへのニーズが高まっており、PostgreSQLのプロダクトサポートを2009年から開始。今回はそうしたオープンソースデータベース対応の強化として、MySQL/MariaDBに対してもプロダクトサポートの提供を開始することにした。アシスト 製品事業統括 担当取締役の勝田誠氏は、「汎用のデータベースなら、商用データベースと同じクオリティでお客さまに提供したいし、それでこそアシストの価値がある」と述べ、SkySQL Abとの提携の理由を説明する。

 またSkySQL AbのサンドベリCEOも「データが膨大に成長し、データベースの重要度が増す中で、IT予算は増えても微増。CIOにとって頭が痛い事態になっており、コスト効率の高いソリューションを見つけないといけない」と指摘。「従来のOracleやIBMだけでは解決できず、そこでこそSkySQL Ab(と同社がサポートするMySQL)が活躍できる場だ」と述べ、アシストによる国内展開について期待を示した。

 もちろんアシストでも、何にでもオープンソースデータベースが適用可能と考えているわけではなく、PostgreSQLやMySQL/MariaDBは、あくまでも品ぞろえの1つという位置付け。勝田氏は「従来より扱っているOracle Databaseは(ミッションクリティカルシステムを含む)全方位向けだが、先月取り扱いを開始した、Oracleと互換性を持つPostgres Plusは、それよりややしたのレンジを狙う。MySQLは、もっと標準的なSQLデータベースを中心とした位置付けで、PostgreSQLと同じ層に適用することになる」と話した。

 一方で、“ビッグデータ”活用のためにデータ分析へのニーズも高くなっているなど、用途に合わせてデータベースを使い分けることも多くなってきたため、汎用データベースに加えて、高速分析用のデータベースであるInfiniDBの取り扱いも開始することになったとのこと。

 アシストでは、MySQL/MariaDBのプロダクトサポートについては初年度50社、InfiniDBについては初年度20社への販売を見込んでいる。


アシストのデータベース製品ラインアップデータベース製品の適用レンジを示した図。品ぞろえ拡充により、用途に応じた使い分けに対応していく
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