キヤノンと米Oracleがオフィス向けソリューション分野で提携
イメージング技術を活用した業務ソリューションなどを提供へ
キヤノン 常務取締役 映像事務器事業本部長の中岡正喜氏 |
日本オラクル 代表執行役社長の遠藤隆雄氏 |
キヤノン株式会社、キヤノンITソリューションズ株式会社(以下、キヤノンITS)、米Oracle、日本オラクル株式会社の4社は26日、各社の強みを生かし、オフィス向けソリューション分野で協業すると発表した。キヤノンが持つイメージング技術とOracleが持つビジネスソフトの融合により、新しい価値創造を目指すという。
以前からキヤノンでは、自社の複合機を初めとするイメージング製品と、顧客の基幹システムとの連携を進めてきた。しかし、「さらにワークフローを展開して自動化を推進するためには、それだけでは足りない」(キヤノン 常務取締役 映像事務器事業本部長の中岡正喜氏)ため、多数の強力なミドルウェア製品を持つOracleとの協業により、イメージング技術と業務プロセスの連携を図ることが狙い。
一方、日本オラクル 代表執行役社長の遠藤隆雄氏は、「当社ではエンジニアードシステムを推進してきたが、今回は企業の枠を越えてそれを提供する取り組みだ」と話す。エンジニアードシステムとは、従来、ユーザー企業の負担になっていた開発や運用のコストを引き下げるために、メーカー自身がハードウェア、ソフトウェアを組み合わせて最適化し、事前設定した形で提供するシステムのこと。すでに、「Exadata」や「Exalogic」といったシステムがリリースされている。
しかし、遠藤氏は、「システムではさまざまなアプリケーションが乗ってくるため、メーカー同士の連携が大事で、横の連携が“エンジニアード”されることにより、投資の圧縮につながってくる」点を指摘。「グローバルでも知的資産、特許をたくさん持つキヤノンと、Oracleのテクノロジーが結びつくことにより、最強のソリューションをお客さまにお届けできる」とアピールした。
ソリューションとしては、キヤノンITSが、キヤノンのイメージング技術と、Oracle Database、Oracle WebLogic Server、Oracle SOA Suite、Oracle WebCenterなどOracleのソフトウェア技術を組み合わせ、SOAベースのイメージングプラットフォーム(名称未定)を製品化。グローバルに展開する。
このプラットフォームの強みは、複合機やプリンタなどのイメージングデバイスと、ERPやCRMなどのアプリケーションとの接続のために、SOA対応の外部アダプターが用意されている点で、柔軟な連携をサポートする。さらには、ノンプログラミングプロセス処理を行うことから、業務アプリケーションを低コスト・短納期で作成可能とした。プラットフォームはオープンなため、Oracle以外のアプリケーションや、キヤノン以外の複合機とも連携できるという。
連携のイメージ | 新製品の構成要素。ユーザーアプリケーションとBPELプロセスの部分はSIの領域になるため、SIerとの連携も進めるという |
なお、具体的な活用例としては、電子カルテと問診票を連携させた医療機関向けのソリューション、会計処理などで証憑(しょうひょう)を電子化して企業内ワークフローと連携させるソリューション、社内に蓄積されている情報を活用し、店舗ごとに特化した販促物を作成するソリューションなどを紹介している。
活用したソリューションの例 | 保守契約更新業務での活用例 |
日本ではキヤノンITSが2012年1月から、北米では米Canon Information and Imaging Solutionsが2012年第2四半期から提供する予定で、欧州などほかの地域にも順次展開する計画。さらに将来的には、SaaS形態での提供も視野に入れているとした。
価格は、最小構成(4CPU)で480万円から。キヤノンでは、関連するビジネスも含めて、2015年にグローバルで200億円の売り上げを見込んでいる。
キヤノンの中岡正喜常務取締役(左)、日本オラクルの遠藤隆雄社長(中)、キヤノンITSの郷慶蔵取締役(右) |