「ビッグデータにはビッグチャンスがある」~EMCジャパンがデータ活用への取り組みを説明


 「今後10年間でデータ量は50倍に増えるといわれているが、この“ビッグデータ”こそ、ビッグチャンスだ」――。EMCジャパン株式会社は5日、記者向けの説明会を開催し、同社が“ビッグデータ”に対してどう取り組んでいるかを、代表取締役社長の山野修氏らが説明した。

 “ビッグデータ”とは、文字通り巨大なデータのことだが、EMCではデータベースのような構造化データではなく、非構造化データを念頭においてこの言葉を使っている。それは例えば、ソーシャルメディア内のテキストデータ、GPSやその他のセンサーから上がってくる膨大なデータなどを指す。

 こうした非構造化データはあまりにも膨大で構造が複雑なため、従来の技術・手法では管理や処理が困難だった。しかし、このような従来は貯めるだけで処理できなかった膨大なデータには、チャンスの種が詰まっているのだという。こうしたデータをいかに分析し経営判断につなげていくかが、企業の勝敗を決する重要な要素になる、というわけだ。


代表取締役社長の山野修氏ビッグデータとは?
データ量は今後10年で50倍に成長するという

 EMCでは、こうしたビッグデータに対応するために、企業買収や製品開発によって対応をすすめてきたが、まず、ビッグデータを管理するためのソリューションとして、日本法人が統合されたばかりのアイシロンを紹介した。

 スケールアウトNASとして紹介されるアイシロンの特徴は、文字通りスケールアウトが可能なこと。スケールアップのアプローチになる従来のNASと異なり、ノードを追加するだけでシームレスに容量や性能を拡張でき、それをシングルボリュームとして扱えることから、管理面でも負荷が少ない。アイシロン事業本部長の江尾浩昌氏はこうした特徴が、ビッグデータの管理に非常に適していると説明する。


ビッグデータ管理における従来NASの課題ビッグデータ管理に最適なアイシロンの特徴
常務執行役員 ストラテジー・アライアンス統括本部長の徳末哲一氏

 一方の処理については、やはり昨年に買収したGreenPlumのソリューションで対応するのだという。常務執行役員 ストラテジー・アライアンス統括本部長の徳末哲一氏は、「1つ1つのデータ、例えばある地点の温度や気圧、天気といった個々のデータにはほとんど意味がなくても、それを統合すると、台風がいて、明日はどちらへ動くのか、といったことが判断できるようになる」との例えで、ビッグデータの分析から得られる価値を紹介した。

 なおGreenPlumの事業は、徳末氏が率いる中のデータコンピューティング事業本部で進められており、現在は10名程度の人員が配置されているとのこと。販売についても、EMCジャパンのパートナー制度に統合されていく予定で、従来、国内での販売を展開していた東京エレクトロンデバイスも、その中の1社として活動することになると話している。

 「これまでは隠れていた膨大なデータこそビッグチャンス。例えばPOSデータは、これまでは履歴だけの管理であって、データはあるけど使い切れていなかった。そこから、行動パターンなどをつかんで、顧客重視の活動に変えていかないといけない。ITで効率化を目指すだけでなく、予想や顧客動向をつかむことにより、新しい経営方針を見つけ出すことが必要ではないか」(山野氏)。


ビッグデータ活用の事例としては、T-Mobileの解約率分析の例が紹介されたビッグデータとGreenPlum
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