シマンテック、仮想環境上のアプリをリカバリする「ApplicationHA」新版

VMware SRMと連携、DR時のVM・アプリ復旧も自動で


仮想マシン上のアプリケーション監視とリカバリを実現。VMware HAを補完する

 株式会社シマンテックは17日、VMware仮想環境向けの高可用性(High Availability:HA)ソフト最新版「Symantec ApplicationHA 5.1 SP2」を発表した。

 ApplicationHAは、VM仮想環境において仮想マシン上のアプリケーションHAを実現するソフト。Veritas Cluster Serverの技術をベースにしている。役割は、VMware標準のHA機能「VMware HA」で仮想マシンをリカバリした後、ApplicationHAで仮想マシン上で稼働しているアプリケーションをリカバリする――というようにVMware HAの機能を補完する関係だ。

 両者が連携することで、仮想マシン上のアプリケーションに不具合が生じた際、仮想マシンとアプリケーションの両方、あるいはいずれか一方のリカバリと再起動を必要に応じて行える。これにより、ビジネスクリティカルなアプリケーションも安心してゲストOS上に移行できるとしている。

 最新版では、「VMware Site Recovery Manager(SRM)」との統合によりディザスタリカバリ(DR)機能を拡張するとともに、「VMware vCenter」の単一画面で数百に上るアプリケーションの監視と管理ができるダッシュボードを新たに提供する。

 SRMとの統合により、SRMが仮想マシンをDRサイトにフェイルオーバーする際に、アプリケーションの健全性まで監視して、VMware HAとの通信を再確立してくれる。米Symantec ストレージ・アベイラビリティ管理 プロダクトマーケティング担当シニアマネージャーのジェニファー・エラード氏によれば、「例えば、仮想マシン上で複数のアプリケーションが稼働している場合、しかるべき順序でアプリケーションをリカバリできる。また、Veritas Operations Managerであらかじめシーケンスを定義しておけば、複数の仮想マシン上にまたがる複雑な順序でアプリケーションを立ち上げていくことも可能」という。

新機能SRMとの共存の価値

 新たなダッシュボードでは、複数のゲストOSにまがって点在する数百にのぼるアプリケーションを一元的に監視できる。仮想化された環境でよく問題となるのが、ハイパーバイザー、OS、アプリケーションを一貫して管理する手段をどうするかという点だが、vCenterと統合されたApplicationHAなら、ゲストOSの種類、ゲストOS上のアプリケーションインベントリ、各アプリケーションの状態まで単一画面で確認できてしまう。

監視対象アプリケーションの自動認識・選択画面ゲストOS停止時の表示例

ツリー構造イメージの構成表示画面アプリケーションのメンテナンス時の表示例
米Symantec ストレージ・アベイラビリティ管理 プロダクトマーケティング担当シニアマネージャーのジェニファー・エラード氏

 エラード氏は「クラウドや仮想化はDRを複雑にする。ある調査では、仮想システム上のデータはわずか56%しか定期バックアップされておらず、レプリケーションやフェイルオーバー技術によって保護されているのは、わずか20%しかない」と指摘。その理由は「仮想環境と物理環境のツールが異なることが大きい。特にアプリケーションの可用性の確保が難しく、そのため、仮想化をきっかけとして84%の企業が2010年にDR計画を見直したと回答している」と説明した。

 シマンテックでは、ミッションクリティカルなデータセンターにおけるDRの実現に向けて、ApplicationHAを訴求していく考え。

 価格は、仮想マシン1台あたり8万2400円(税別)。

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