NRI、被災地の「欲しい」「ありがとう」を支援者につなぐサービス


「被災地の声 分析レポート」の画面(岩手県の例)

 株式会社野村総合研究所(NRI)は8日、ITを活用した無償の復興支援ソリューションを提供すると発表した。

 同社は、3月11日の東日本大震災以後、15日に社長直属の「震災復興支援プロジェクト」を立ち上げ、さまざまな提言や調査結果を発表してきた。これに加えて、被災者や被災地を支援している人たちの一助とするため、ITを活用した復興支援ソリューションも提供を決めた。

 4月中には「被災地の声 分析レポート」と「被災者と支援者をつなぐフィードバックメッセージ活用システム」を提供する。

 「被災地の声 分析レポート」は、自治体やボランティア団体などで支援物資を振り分ける際の判断や、善意の人が支援物資を発送する際の一助とするため、広範囲な被災地に対して、今どこで何の物資が求められているかをインターネット上にまとめたもの。

 具体的には、Twitterのデータを活用し、ほぼリアルタイムで支援要請にかかわる情報を集計・分析・レポート化する。分析レポートでは、被災地から発信される支援要請内容を市町村単位に割り出して提示するため、今、被災地で何が求められているかを瞬時に把握可能。支援物資をどこにどのタイミングで送るべきかの判断に役立つという。

 4月14日提供予定。その後は、各自治体やボランティア団体などの要望などを採り入れ、支援要請の情報以外にも、震災復興にかかわる有用な情報をソーシャルメディアなどから取得し、分析・公表していく予定。

 一方の「被災者と支援者をつなぐフィードバックメッセージ活用システム」は、被災地でどんな生活用品の不足で困っているかというニーズと、被災者を支援したい企業・団体の意向をつなぐことを目的に、支援物資を箱単位で管理して、支援者からのフィードバックメッセージを届けるシステム。

 具体的には、支援物資の箱にその内容や最終行き先を記したフィードバック用ラベルを張り、QRコードなどを活用して、現地から届く反応を「箱」単位で集計・配信するシステムを提供する。

 ラベルは支援物資を提供する企業・団体が、Webサイトに物資内容や提供先を登録する際に作成・ダウンロードし、支援物資に張り付けて配送する。被災地からのフィードバックは、ラベルに記載されたメールアドレスあてにメッセージを送ることで可能。それらはNRIの提供するサーバー上に箱単位で管理され、提供元の企業・団体に通知される。被災地からのメッセージが企業・団体に届くことで、双方に「きずな」が生まれ、支援の継続・被災地の孤立感を和らげられるとしている。

 提供開始は4月中旬を予定。

「被災者と支援者をつなぐフィードバックメッセージ活用システム」の概要「被災者と支援者をつなぐフィードバックメッセージ活用システム」で作成したラベル
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(川島 弘之)
2011/4/8 16:36