さくらインターネット、IaaSのクラウドサービス「さくらのクラウド」発表

12月にもユーザー限定でアルファ版開始


さくらインターネットの田中邦裕社長

 さくらインターネット株式会社は10日、展示会「第2回クラウドコンピューティングEXPO」にて、IaaS型パブリッククラウドサービス「さくらのクラウド」を発表した。同社ブースにおける田中邦裕社長の講演で明らかにされたもの。12月ごろにユーザー限定で、アルファ版サービスを開始する。

 メモリーとCPUに複数のプランを設定し、それにさまざまな容量のディスクを自由に追加して利用できる。サーバーとディスクにのみ課金し、ネットワークの従量課金はない。利用単位は1日。時間単位の課金は当初提供しないが、新規作成や削除が数秒でできる。田中社長は「将来的には時間課金も考えているが、一部のユーザーのための設備投資が全員にかかってしまうよりは低コストに提供したい」と説明する。

 具体的な料金は未定だが、最低料金で稼働し続けた場合に「さくらのVPS」をやや上回る程度、1000円台からを予定している。

 その他の特徴としては、APIが挙げられた。RESTで呼んでJSONで返るもので、公式のコントロールパネルもAPIベースで作られているという。

 また、稼働中のものも含めて既存の仮想サーバーのディスクイメージをコピーできる「サーバコピー」機能も提供する。「さくらのクラウド」ではIPアドレスもDHCPで自動設定されるため、コピーするだけで新しい仮想サーバーを起動できる。

 このほか、Amazon S3のように仮想マシンイメージを保存する「VMイメージバンク」も提供する。セットアップ済みの仮想マシンイメージを保存しておけるほか、仮想マシンイメージをインターネット経由でアップロードしたり、ダウンロードすることもできる。仮想マシンイメージの「さくらのVPS」へのデプロイも可能。そのほか、OSをインストールするCD/DVDイメージをVMイメージバンクにアップロードしておき、「さくらのクラウド」の仮想マシンのインストールで使うことも可能だ。

 VMイメージバンクは無償で提供する予定。そのため、例えばしばらく使わない仮想サーバーをVMイメージバンクにしまっておけば、その間はサーバーやディスクに課金されない。

 「さくらのクラウド」のコンセプトとして、田中社長は「何の変哲もないIaaS型パブリッククラウドを圧倒的なコストパフォーマンスで提供」と説明する。「今のIaaSは付加価値が多すぎて、高くなっているんじゃないかと考えている。本当に性能がよくて、本当にスケールして、本当に安いものを提供する。もちろん、クラウドで必要なものはすべて入っている」。

 講演では、実際に「さくらのクラウド」での管理作業をウェブブラウザーで実演してみせた。


コントロールパネルのホーム画面。左のメニューに、「仮想サーバ」「ディスク」「VMイメージバンク」の3項目がある仮想サーバの一覧
仮想サーバーの作成。ブロック(データセンター)、CPU構成のプラン、仮想ディスクの初期状態、仮想ディスクの容量などを選ぶ。サーバーの名前のほか、一覧するときのためにアイコンやタグも付けられるインストールするOSを選ぶ
CentOSのインストーラーが起動仮想化技術のKVMにより、Windows Serverも動く
ディスクの追加仮想マシンのディスクイメージを複製
プランを動的に変更ディスクの容量を変更。データは失われる
仮想マシンイメージをVMイメージバンクにコピーVMイメージバンクから仮想マシンイメージを仮想ディスクに戻す。「さくらのVPS」への転送もできる

 田中社長は、さくらインターネットの戦略として「データセンター事業内の1サービスにすぎない」として、ハウジングやホスティング、クラウドなどをユーザーが柔軟に選べることを掲げた。

 その一環として、「さくらのVPS」の上位プランを2010年度第4四半期に開始すること、第3四半期に専用サーバーサービス上でXenServerを使った仮想化(プライベートクラウド)のサービスを開始することも明らかにした。

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