iPadとXenAppで外からWindowsアプリが使える「IIJ GIOスマートモバイルソリューション」


IIJ GIOスマートモバイルソリューションの概要
iPadでWindowsアプリを利用している様子。客先でのPowerPointによるプレゼンや、Excelによる見積もりなどの用途を提案している

 株式会社インターネットイニシアティブ(以下、IIJ)は30日、iPadなどのモバイル端末をビジネス分野で活用するためのクラウドソリューション「IIJ GIOスマートモバイルソリューション」を発表した。11月1日より販売する。

 同ソリューションは、iPadなどのモバイル端末とCitrixのアプリ仮想化ソフト「XenApp」で、必要なWindowsアプリを外出先で利用できるようにするもの。法人向けモバイル通信サービス「IIJモバイル」や、「IIJ GIO」のクラウドサービス基盤(IaaS)を組み合わせて実現した。

 同ソリューションの提供にあたり、Appleと販売代理店契約を締結。iPad Wi-Fiモデルの端末手配からモバイル通信環境、端末のセキュリティ管理、業務アプリのゲートウェイまでをワンストップに提供する。

 サービスコンポーネントは、1)通信環境を実現する「IIJモバイル/モバイルWi-Fiルータ/IIJダイレクトアクセス」、2)Windowsアプリのリモート活用を実現する「Mobile Application Gateway」、3)端末のセキュリティなどを管理する「Smart Mobile Manager」の3種類。

 回線・通信環境には法人向けモバイルデータ通信サービス「IIJモバイル」と、IIJモバイル/タイプD(NTTドコモ FOMA網利用)対応の3G通信モジュールを内蔵した「モバイルWiFiルータ」(新型を開発予定)を利用。社内に「IDゲートウェイ」を設置し、「IIJダイレクトアクセス」でリモートアクセスを行う。

 「IIJダイレクトアクセス」は、プライベートIPアドレスで社内LANへ直結する閉域型リモートアクセスサービス。「グローバルIPアドレスを割り振る一般的なVPNよりセキュアな環境が実現する」(マーケティング本部 プロダクトマーケティング部の青山直継氏)。

マーケティング本部 プロダクトマーケティング部の青山直継氏開発予定の新型モバイルWiFiルータ

IIJダイレクトアクセスの概要。プライベートIPアドレスで社内LANへ直結できる構成イメージ。既存のネットワーク上に構築できるのも特長

 「Mobile Application Gateway」でリモートからアプリを使う手段としては、XenAppによるアプリ仮想化を利用。IIJ GIOのIaaS上にXenAppサーバーを構築し、利用者は外出先で必要なアプリのみを登録する。「既存業務で利用中のWindowsサーバーやストレージなどに変更を加えることなく、透過的にスタートできるのが特長」(マーケティング本部 プリンシパル・コンサルタントの蓑田信一郎氏)で、Active Directory連携や、XenAppサーバーのスペック拡張などのオプションサービスも提供する。

マーケティング本部 プリンシパル・コンサルタントの蓑田信一郎氏Mobile Application Gatewayの概要。IIJ GIOのIaaS上にXenAppサーバーを構築する
執行役員 マーケティング本部長の松本光吉氏

 執行役員 マーケティング本部長の松本光吉氏は「画面転送の手段としてデスクトップ仮想化もあり、他社の同様のサービスではそちらを採用しているものもあるが、社内で検証した結果、iPadでデスクトップ全体の操作はしづらかった。そこで特定のアプリだけを仮想化するXenAppが最適と考えて採用した」と述べている。

 XenAppによるアプリ仮想化環境なのでノートPCなどでも利用が可能だ。

 一方、モバイル端末をビジネスに活用する際に必要なセキュリティや端末管理の機能を提供するのが「Smart Mobile Manager」。こちらはiOS/Android/Windows Mobileベースのモバイル端末を対象に、遠隔統合管理を実現するSaaSサービスとして提供する。

 管理の効率化として、遠隔からの端末設定、アプリインストール・設定変更、違法ソフト監視などを提供。機能の有効/無効も遠隔から制御できる。一方、セキュリティの強化として、遠隔からの問題監視・診断、ロック・アンロック、データ消去などに対応する。

 同サービスは現在開発中で、まずはiPad向けのリモートワイプ(遠隔データ消去)機能に限定して、11月より試験サービス(無償)を開始。機能を拡充した正式サービス(有償)は、2011年3月以降の提供を予定する。将来的には、同サービスのみの単体提供も検討するとしている。

Smart Mobile Managerの概要。モバイル端末の管理機能をSaaSで提供する想定利用イメージ

Smart Mobile Manager(開発中)の画面例Xperiaへ遠隔ロックを実行するデモ

 「IIJモバイル/モバイルWi-Fiルータ/IIJダイレクトアクセス」の価格は、IIJモバイル/タイプD 定額プランL(2年契約)が月額5700円(税別)、モバイルWi-Fiルータが月額800円(同)、IIJダイレクトアクセスが月額850円(同)/アカウントなど。「Mobile Application Gateway」の価格は、最大100ユーザー/同時接続25ユーザーの場合で、初期費用が18万5000円(税別)から、月額費用が25万8000円(同)から。「Smart Mobile Manager」の価格は現在調整中だが、参考価格として月額850円(同)/アカウント程度となる見込み。このほか、iPad Wi-Fiモデルの端末費用がかかる。

 同社では「iPadをはじめとした最新端末が、その可搬性と操作性の高さから企業の業務端末としても期待されるようになっている。当社はそのような市場ニーズに応え、企業ごとの利用用途に合わせたセキュリティや通信環境の強化、既存アプリケーションを利用可能にする環境の提供などにより、企業での最新端末導入を支援する。また、業務アプリを開発・提供するSIerやSaaS事業者向けにもクラウド上の運用管理としてサービスを提供していく」考え。

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