日本オラクル、迅速な障害対応を支援する高性能Java VMの最新版

アプリサーバーの全挙動を常時記録する新機能


同社 常務執行役員 Fusion Middleware事業統括本部長のヴィヴェック・マハジャン氏

 日本オラクル株式会社は7月1日、JavaEEアプリケーションサーバー「Oracle WebLogic Server」に最適化されたJava Virtual Machine(以下、JVM)の最新版「Oracle JRockit R28」を7月6日より提供開始すると発表した。

 「Oracle JRockit」は、「Oracle WebLogic Server」の信頼性、高速性、および管理容易性をさらに高める高性能JVM。Javaコードやメモリ、スレッド管理の最適化による高いパフォーマンス、GCアルゴリズムの最適化による安定性の向上、専用管理ツール「Oracle JRockit Mission Control」を活用した無停止メンテナンスなどを提供する。特に通信、金融、公共、公益など、システムに高い安定性や信頼性が要求される業界や、オンライン証券、ECサイトなど性能問題や障害が収益に直接影響するシステムに適している。

「JRockit Flight Recorder」の効果

 今回発表した最新版は、開発環境だけでなく本番環境において、「Oracle JRockit」および「Oracle WebLogic Server」の全挙動を常時記録し、万が一の障害対応を支援する「JRockit Flight Recorder」を新機能として搭載しているのが大きな特徴。

 同社 常務執行役員 Fusion Middleware事業統括本部長のヴィヴェック・マハジャン氏は、「JRockit Flight Recorderは、まさに飛行機のフライトレコーダーのように、アプリケーションサーバーのすべての動きを常に記録している。これによって、障害が発生したときに、その原因をすぐに解析できるようになる。当社内での実例によれば、従来の障害対応の場合は、原因判明まで19日、問題解決まで30日かかっていたものが、JRockit Flight Recorderを利用することで、原因判明までわずか1日、問題解決まで12日と、障害対応の大幅な効率化を実現した」と、新機能の導入効果を実例を挙げながら説明した。

 従来の監視製品では、サーバーの全挙動を常時記録しようとした場合、システムに相当の負荷がかかるため、本番環境で常時接続できるレベルの低負荷を実現することができなかった。これに対して、「JRockit Flight Recorder」は、「Oracle JRockit」が元々備えている「Oracle JRockit」自体の挙動を最適化するための自己モニタリング機能を、内部的に利用することで、数%程度の低負荷を実現し、本番環境での常時使用を可能にしたという。

「JRockit Flight Recorder」の概要GUIツール「Oracle JRockit Mission Control」の画面

 また、「JRockit Flight Recorder」では、常時記録しているアプリケーションサーバーの稼働情報を付属のGUIツール「Oracle JRockit Mission Control」に出力し、トラブルの原因を過去にさかのぼって、グラフやチャートを参照しながら解析することが可能となっている。

 同社 Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部長の龍野智幸氏は、「アプリケーションサーバーは企業のパッケージソフトウェアから基幹システム、社会的インフラまでを支える重要な役割を担っており、絶対的な安定性、信頼性、高速性が求められている。そのため、もしサーバーに障害が発生した場合は、すぐに原因を解析して、その障害が二度と起こらないように対策を打たなければならない」と、企業におけるアプリケーションサーバーの重要性を指摘。

 「しかし、現在は、障害の再現環境を作ってから、テストを実施するなど、原因解析のために多大な時間と工数をかけているのが実状。アプリケーションサーバーの安定稼働を望んでいる企業は、Oracle WebLogic Serverとともに、新機能のJRockit Flight Recorderを活用することで、システム障害への対応期間と工数の低減とともに、より確実な再現防止が実現できる」としている。

同社 Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部長の龍野智幸氏同社 Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 マネジャーの新井庸介氏

 さらに、「JRockit Flight Recorder」によって障害対応の迅速化が実現することで、「エンドユーザーにとっては、システム障害にともなう機会損失の最小化や、社会的信用およびブランド価値の維持を図ることができる。また、パートナーやシステムインテグレーターにとっては、障害リスクと対応リスクの最小化とともに、顧客からの信頼度向上を図ることができる」(同社 Fusion Middleware事業統括本部 ビジネス推進本部 マネジャーの新井庸介氏)とそのメリットを強調した。

 なお、「JRockit Flight Recorder」は、「WebLogic Server Enterprise Edition」で利用可能。「WebLogic Server Enterprise Edition」の価格は、285万3270円/Processor、5万7105円/Named User Plusとなる。


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(唐沢 正和)
2010/7/2 06:00