NEC、PBXやデジタルサイネージも連携可能なホテル総合クラウドサービス


NEC執行役員中江靖之氏

 NECは、宿泊予約システムや顧客管理システムなどのホテルの業務システムとデジタルサイネージ・音声サービスなどをパッケージ化してネットワーク経由で提供する、ホテル総合クラウドサービスを商品化。6月23日より販売開始し、2011年1月よりサービス提供する。

 NEC執行役員中江靖之氏は発表会で、「NECでは全社あげてクラウドを推進していく方針だが、その一環として、これまでオンプレミスで提供してきた特定業種向けのシステムもクラウドサービスとして提供する。今回のホテル総合クラウドサービスはその第一弾」と述べた。

 NECではさまざまなPOS端末をリテール業およびサービス業に提供していることから、これらの端末とクラウドサービスなどを総合ソリューションとして今後提供していく考えだ。

 ホテル総合クラウドサービスは、これまでホテルが個別に導入していた宿泊予約、宴会、顧客管理などの業務システムと、それと連携するデジタルサイネージやIPを利用した音声サービスなどをSaaS型で総合的に提供するもの。

 導入コストは、初期費用が100室規模でベーシックプランの場合に約540万円程度、月額費用が25~26万程度となる見込み。なお、この費用にはデジタルサイネージ用のディスプレイ1台が含まれるが、不要な場合はデジタルサイネージを外して導入費用を抑えることもできる。


NECはPOS端末をはじめ、さまざまな業務用端末を提供リテール&サービス業向けクラウドサービス戦略今回発表されたクラウドサービス戦略
客室での端末利用イメージ。タッチパネルで目覚まし設定や館内案内などが利用できる客室予約システム画面デジタルサイネージ。左のディスプレイにはカメラが装備されており、前に立つ人の性別や年齢などを認識して、閲覧者に最適な案内やサービスを表示する

 NECでは、従来のオンプレミス型のシステム導入時に比べ、トータルで約30%のコストダウンになるとしている。また、インターネット予約システムと宿泊予約システムをリアルタイムで連携させることで、販売機会損失の低減を図る。現在のところはホテルのウェブサイトの予約と基幹業務の連携となっているが、今後の機能追加として、宿泊予約サイトとの連携も視野に入れているとしている。

 また、ホテル業界でもM&Aが進んでいるが、買収や経営権移転などでリブランドを含め、短期にシステムを提供する必要がある際にも迅速に対応できる点も特長として挙げられる。従来のオンプレミス型では、基幹システム導入には最低でも1カ月かかっていたが、今回のクラウド型サービスでは、最低1週間あれば導入可能だという。

 NECは今回のクラウドサービスを5年間で2000社に売る目標を立てている。従来の顧客は国内大手のシティホテルが中心だが、国内では中堅クラスのホテルのシェアを高め、500~900のホテルを獲得していく考え。また、2008年から取り組み始めた中国・台湾などの中華圏をメインとしたグローバル市場での展開に注力する。

 このため、システムは、オペレーターに合わせて日本語・英語・中国語に切り替えられる多言語対応となっている。

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(工藤 ひろえ)
2010/6/23 14:51