ニュース
アカマイ、AIエージェント時代の「トークンコスト問題」とガバナンスの課題を解説
肥大化するAIコストとエージェント統制の“壁”を指摘
2026年11月5日 11:08
アカマイ・テクノロジーズ合同会社(以下、アカマイ)は4日、「AI利用急増で直面する『トークンコスト問題』とガバナンスの壁~企業向けAI統合管理の最新動向」に関する記者説明会を開催した。
今回の説明会では、アカマイ Senior Technical Solutions Architectの森祐孝氏が登壇し、AI活用において多くの経営層やITリーダーが直面している「トークンコスト(AI利用料)」と「ガバナンス」の問題について解説した。また、この問題に対して同社が提供するAI・API・MCP統合管理基盤「Akamai AI&API Manager(AAM)」の概要を紹介した。
まず、トークンコスト問題の現状について森氏は、「海外では想定よりも速くAI予算が消費されており、先行する企業ではすで対応に動いている」と指摘。「Uberでは、4カ月で年間AI予算を消化。以降、ツールごとに1人あたり月1500ドルの上限を設定し、社内ダッシュボードで使用料を追跡している。Microsoftでは、1人が1カ月で2万8000ドルを消費した。これを受け、7月までに全部門がトークン予算上限を設定し、デフォルトモデルもより安価なものへ切り替えた。AT&Tでは、1日で450億トークンを消費したため、キャッシュ対応ルーティングと通信特化の小規模モデルを併用し、AIコストを最大90%削減した。アクセンチュアでは、AIコストの大半がエンジニア以外の消費であることが判明し、社内AIアクセスを制限。主因はPDF変換などの事務作業だった」と、海外各社の対応策を説明した。
同様の問題は日本でも起こっており、「特に日本語は英語よりも細かく区切られやすいため、トークン数が増えやすい。また、AI使用料は定額プランが減り、従量課金が主流になっていることから、同じ業務でも海外に比べて日本のほうがコストが膨らみやすい状況にある。この問題に日本企業も対応しつつあるが、多くの企業が管理の方法を試行錯誤しているのが実情である」という。
「LLMのモデル単価自体は、ここ3年で1/1000程度まで下落しているが、単価が下がるほど利用量や自動実行(AIエージェント等)は増加するため、結果的に総コストは膨らみ続けている。もはや、単なる『安価なモデルへの乗り換え』や『ベンダーとの値下げ交渉』だけでは総コストの肥大化は止められない。今後は、呼び出す量そのものを減らす仕組みが求められる」と訴えた。
次に「ガバナンス」の問題について森氏は、「AIを使う主体が人からエージェントに変わったことで、『誰が・どのツールに・何を送ったか』が見えなくなった。また、エージェントの権限が『全部許可』か『全部禁止』の二択になり、どこまで許すのか、権限も絞れなくなった」と指摘。この問題への対応策としてUberの事例を挙げ、「Uberでは自社でAIとAPIのゲートウェイを内製し、呼び出しを1つのレイヤに集約した。しかし、規模が大きくなればなるほどAPIの更新負担が増え続け、その維持に苦労した。そして、Goへの作り直しと移行だけで2年を費やした」と、自社でAI基盤を開発・維持することの難しさを強調した。
こうした問題を解決するソリューションとして、同社ではAI・API・MCP統合管理基盤「Akamai AI&API Manager」を提供している。森氏は、「『Akamai AI&API Manager』は、AIエージェントとアプリからのトラフィックを1つの基盤で統制するマネージドサービス。『AI Gateway』『MCP Gateway』『MCP Server』『API Gateway』の4つの機能が統合されている。また、後付けのゲートウェイではなく、CDN・セキュリティ製品と同じAkamai Cloud上でネイティブに動作する」とサービスの概要を説明した。
各機能の特徴としては、「API Gateway」では、外部・内部APIの入り口を統一し、セキュリティ、トラフィック制御、開発者体験を1つにすることで、APIを安全に公開・運用する。「AI Gateway」は、複数LLMへのアクセスを統合し、コスト・可用性・セキュリティを1つのポリシーで管理する。これによって、チームごとの予算と利用状況を一目で把握できるようになる。また、「MCP Server」は、既存APIをAI対応のMCPとして提供。「MCP Gateway」は、組織が利用するユーザーおよびエージェントのMCPアクセスを統制する役割を担う。
「Akamai AI&API Manager」の導入メリットについて森氏は、「『Akamai AI&API Manager』を利用することで、誰に何を許すかを決め、AIの利用状況すべてを記録することが可能となり、『誰が・どのAIを・どれだけ』に答えられる状態にすることができる。また、API・AI・MCPのどこから始めても、同じ基盤上で拡張していくことができる」とアピールし、「いまトークンコストとガバナンス問題に直面している企業は、まずはLLMの呼び出し先を『Akamai AI&API Manager』に集約し、チーム別の利用量とコストを見える化することから始めてほしい」と提案した。



