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日立ソリューションズ、攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御ソリューション」を提供 KELAと代理店契約を締結
2026年11月5日 09:00
株式会社日立ソリューションズは、「能動的サイバー防御ソリューション」を11月5日から提供開始すると発表した。
ソリューション提供にあたり、日立ソリューションズは、イスラエル発のサイバー脅威インテリジェンスプラットフォーム「KELA」などを提供するKELA株式会社と販売代理店契約を締結した。「KELA」は、ダークウェブのフォーラムや非公開チャネルを含むサイバー犯罪コミュニティから情報を収集し、分析して、自社や外部公開資産、サプライチェーンに関する脅威情報を可視化するプラットフォームである。
今回の「能動的サイバー防御ソリューション」では、KELAのプラットフォームにより、企業への攻撃に先立って、攻撃の兆候や認証情報の漏えい、ブランド侵害のリスクなどを把握する。それを基に、日立ソリューションズのセキュリティ専門家が情報を分析して絞り込み、優先順位を付けて対応策を提示し、顧客企業が適用できるようにする。
なお、このソリューションにおいて「能動的サイバー防御」は、自組織に迫っている脅威をいち早く把握して、攻撃を受ける前に対策することを指す。攻撃者のサーバーなどにアクセスして無害化を行うことは含まない。
11月4日、日立ソリューションズは「能動的サイバー防御ソリューション」の発表とあわせ、能動的サイバー防御についての記者説明会(メディア向け勉強会)を開催した。
自組織の脅威をいち早く把握して攻撃を受ける前に対策
説明会ではまず、背景や能動的サイバー防御(ACD)、企業の対応について、日立ソリューションズの青山桃子氏(セキュリティソリューション事業部 セキュリティサイバーレジリエンス本部 マネージドセキュリティサービス部 チーフセキュリティアナリスト)が解説した。
2026年9月ごろから国際的にサイバー攻撃が多発し、毎日のようにサイバー攻撃に関するニュースが報道されている。PHPの脆弱性など、緊急度の高い脆弱性とパッチの公開も頻発している。
これは、2026年3月~4月ごろに、Anthropic Mythosなど、サイバーセキュリティ分野で高度な能力を持つAIモデルが登場したことに始まると、青山氏は言う。同等の能力を持つオープンなAIモデルも登場し、9月ごろになって実際にAIの悪用と思われるサイバー攻撃が登場したというわけだ。
こうした状況に対して、日本では能動的サイバー防御法(サイバー対処能力強化法)が2025年5月に成立し、2026年10月1日から施行された。重大なサイバー攻撃について、受けてから対処するのではなく、官民連携により早期に把握し被害を未然に防ぐための法制度だ。
能動的サイバー防御法の柱としては、「官民連携」「通信情報の利用」「アクセス・無害化」「政府体制の強化」の4つが掲げられている。つまり、無害化は4つの柱のうち1つであり、それだけでよいというものではない。
青山氏は、企業、特に能動的サイバー防御法の適用対象である重要インフラ事業者やIT関連企業がどのように行動すべきかについて、「インシデント報告や官民の情報共有」と「攻撃される前の対策」を挙げた。
青山氏は、能動的サイバー防御の考え方を、国と企業のそれぞれの立場に分けて説明した。国にとっては、攻撃者のサーバーなどの無害化を行うことになる。一方、企業にとっては、自組織に迫っている脅威をいち早く把握して攻撃を受ける前に対策を行うことになる。なお、情報連携は両者に共通する。
企業における能動的サイバー防御のイメージとしては、まず、認証情報が悪用される場合の例を青山氏は挙げた。パスワードリスト攻撃が流行した場合を例として考えると、脅威インテリジェンスなどで漏えいIDを発見し、先回りしてパスワードを変更するといった対応を取る。
また、脆弱性・管理不備を突く攻撃の例では、危険な脆弱性が公開されたら、サーバーの脆弱性管理やフロンティアAIによるペネトレーションテストを行い、脆弱性対策や設定修正などで対策することで、先回りして攻撃を防ぐ。
KELAの脅威インテリジェンスと日立ソリューションズによる分析を組み合わせる
続いて日立ソリューションズの「能動的サイバー防御ソリューション」について、日立ソリューションズの熊谷好志朗氏(セキュリティソリューション事業部 セキュリティサイバーレジリエンス本部 マネージドセキュリティサービス部 セキュリティプロフェッショナルグループ グループマネージャ)が解説した。
熊谷氏はまず、能動的サイバー防御の考え方を従来の考え方と比較した。従来の考え方では、サイバー攻撃を受けたら、いかに早く攻撃を検出し、いかに早く封じ込めるか、いかに被害を最小化するかを考える。この考え方は、基本的な対策としてこれからも必要だ。
一方、能動的サイバー防御では、従来の考えに加えて、攻撃を早期に把握し被害を未然に防ぐことを考える。これを熊谷氏は「Shift Left」とも呼んだ。
今回発表された「能動的サイバー防御ソリューション」は、KELAのプラットフォーム群を活用して、フロンティアAIやオープンなAIモデルの悪用、あるいはダークウェブの脅威に先回りで対策するソリューションだと熊谷氏は説明した。
このソリューションのポイントを、熊谷氏は3つ挙げた。
1つめは、KELAのプラットフォーム群を活用して、自社や外部資産、サプライチェーンのリスクを一元的に把握すること。それにより、組織を取り巻くリスクを横断的に可視化して、優先度に応じた対策を検討できる環境を提供する。
2つめは、収集したインテリジェンスを、豊富なセキュリティソリューションと連携し、先回りで対策すること。つまり、KELAで把握した攻撃の兆候や流出した認証情報などに対し、日立ソリューションズが提供するセキュリティソリューションと連携して、アクセス制御や監視強化などの先回りした対策を支援する。
3つめは、ノイズを排除した実用的なインテリジェンス(脅威情報)とエキスパートによるサービス支援を提供すること。KELAで収集したデータをそのまま提示するのではなく、日立ソリューションズのセキュリティ担当者が分析して、より重要なものに絞り込んだ脅威情報として提供する。
また、「能動的サイバー防御ソリューション」による対策は、大きく分けて3ステップからなる。
1ステップ目では、攻撃の予兆を把握する。KELAにより、ダークウェブなどの脅威インテリジェンス情報や、企業の環境のリスクなどを収集する。
2ステップ目の「分析・優先順位付け」では、収集した情報を日立ソリューションズが分析し、優先順位を付ける。
3ステップ目では、対策を実際に顧客環境に実装・運用する。「例えば、日立ソリューションズが提供している製品であれば当社が対策し、それ以外のものに関しては、こういう形で適用するとよいといったアドバイスを提供する」と熊谷氏は説明した。
「この3つをサイクルとしてずっと続けていくのがソリューションのイメージ」(熊谷氏)。
なお、今回日立ソリューションズが契約し、「能動的サイバー防御ソリューション」で用いるKELAの製品は次の3つだ。
「KELA」は、アンダーグラウンドを監視し、攻撃者の動向を事前に把握するCTI製品だ。これを熊谷氏は「敵を知る」と位置づけた。
「ULTRA RED」は、攻撃される前に、自社のインターネット公開資産を攻撃者目線で見つけてつぶすCTEM(Continuous Threat Exposure Management:継続的脅威エクスポージャー管理)製品。これについては、熊谷氏は「己を知る」と位置づけた。
「SLING」は、グループ企業や取引先を含むサプライチェーンのネットワーク構成要素のセキュリティリスクを診断するTPRM(Third-Party Risk Management:サードパーティリスク管理)製品。これを熊谷氏は「仲間を知る」と位置づけた。
最後に熊谷氏は「能動的サイバー防御ソリューション」の提供する価値として、対策方法を提案し、実際に対策を実践し、さらに継続的に監視するという3つを挙げた。












