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日立、ノウハウを形式知化して設計業務の効率化と品質向上を支援する「設計ナレッジシステム」を提供
2026年9月11日 06:30
株式会社日立製作所(以下、日立)は10日、製造業の顧客向けに設計業務を支援する「設計ナレッジシステム」を開発し、7月に提供を開始したと発表した。
設計業務では、熟練者の経験やノウハウ、技術文書、過去の不具合情報、3次元形状CADデータなど多様な情報を踏まえた判断が求められている。しかし、それらの知見は分散・属人化しており、設計ルールの活用や確認に多くの工数を要するとともに、確認漏れによる手戻りや品質のばらつきが課題となっていた。
日立は課題解決を支援するために、設計者に知恵とひらめきを提供する空間のコンセプト「DIW(Design Insight Workspace)」を推進しており、すでに熟練ノウハウを形式知化して品質保証業務を効率化する品質ナレッジシステムを提供している。さらに、設計業務における効率化と品質向上を支援するDIWの中核ソリューションとして設計ナレッジシステムを開発し、ナレッジの蓄積・活用を通じて設計品質と生産性を高める次世代AIソリューション群「HMAX Industry」の新たなラインアップに追加した。
設計ナレッジシステムは、AIエージェントが熟練者の経験やノウハウ、過去のトラブル・不具合情報などの技術文書をもとに、暗黙知を形式知化するとともに、プロンプト不要でテキストや図表から設計ルールを自動抽出し、設計ナレッジとして一元的に蓄積する。また、蓄積した設計ナレッジをチャットボットから自然言語で検索・参照できる。さらに、蓄積した設計ルールから自動生成したプログラムと日立独自の「形状認識関数データベース」を組み合わせることで、3次元形状CADデータを高精度に自動チェックし、設計ルールに違反する箇所を可視化する。
設計ルールの一元化やCADの自動チェックにより確認工数や目視検図の負担を削減し、不具合の見落としを防止する。さらに違反箇所の可視化は修正作業を迅速化し、手戻りを防止する。加えて、過去のトラブルや後工程の知見を組み合わせて設計ナレッジとして体系化し、設計現場へ継続的にフィードバックすることで、組織の資産として蓄積・活用する。さらに、運用を通じて得られた新たな知見を設計ナレッジへ継続的に反映することで、組織の資産を進化させる。これにより、組織全体の設計品質の平準化と継続的な向上を実現するとともに、熟練者依存からの脱却や技術継承を支援し、設計者が高度な設計検討などの本質的な業務に集中できる環境を創出する。
システムは、日立が長年蓄積してきたOT(制御・運用技術)の知見や、3次元形状CADデータから部品の形状特徴を高精度に理解する独自の形状認識技術、先進のAIエージェントを組み合わせることで、複雑な設計業務を幅広く支援する。日立は、自ら製造業として長年のモノづくりを実践してきたノウハウを生かし、「穴の取得関数」や「曲げの取得関数」、「距離測定関数」などを実行する独自の形状認識関数を、あらかじめデータベース化してシステム内に組み込んでいる。この関数群と生成AIを連携させることで、設計者が入力した自然言語のルールから形状チェック用のプログラムを自動生成し、高精度な自動判定を実現する。
日立は今後、設計や製造、保守、品質保証の業務全般を網羅するサービスを展開する予定。さらに、設計ナレッジシステムを段階的に高度化し、設計から製造・検証までを一貫して支援する基盤へ発展させ、設計者の操作・判断履歴を活用してナレッジを自動蓄積・拡張し、設計プロセス全体の高度化を支援することを目指す。
将来的には、設計データから製造BOM(部品表)やBOP(製造工程表)を自動生成する機能、類似形状の高速検索によるバーチャル試作検証などの開発・実装を進めていく予定。これらを通じて、現実世界の事象をデジタル技術でつなぎ、自律的な判断・制御を実現するフィジカルAIの領域への展開も視野に入れ、設計から製造に至るプロセス全体のイノベーションを目指す。
