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キンドリル、入澤社長が2026年度の事業方針を発表 事業継続のパートナーとして“企業と社会の価値を創造”

エージェンティックAIを用いたITサービス高度化ソリューションを提供開始

 キンドリルジャパン株式会社は26日、2026年度の事業戦略を発表した。4月1日付でキンドリルジャパンの代表取締役 社長執行役員に就任した入澤由典氏は、「事業継続のパートナーとして、社会と企業の価値を創造するというのが我々のありたい姿。システム運用屋から脱皮し、お客さま、および社会に新たな価値を提供できる存在になっていきたい」と目指す姿をアピールした。

 それを実現するための成長エンジンとして、モダナイゼーション、AI、サイバーセキュリティ&レジリエンシーの3つを挙げ、「サイバー攻撃の影響を含め、システムトラブルの要因は古いシステムであることが多い。モダナイゼーションにより、トラブルにも強いシステムとなることが必要」と企業の変革の必要性を強調した。

キンドリルジャパン株式会社 代表取締役 社長執行役員の入澤 由典氏

設立5年目の歩みと「システム運用屋」からの脱皮

 キンドリルジャパンは、2026年に設立から5年目を迎えた。入澤社長は5年間を振り返り、「ご存じの通り、IBMの運用部門から分離独立して誕生したキンドリルだが、最初の2年間は、独立した企業として運営を行う土台作りの時期だった。しっかりと利益が出せる会社としてのオペレーションを大切にしていく2年間だった。次の2年間は、長期のお客さまとのリレーションをベースに、安定した運用体制を整備する時期となった。このタイミングにデータセンター老朽化に伴う移転など、さまざまなプロジェクトもあったが、やり切って実績を重ねることで、さらなるお客さまの信頼を深めることができた時期だったのではないか。5年目となり、私が社長に就任し、お客さまからは、『これからキンプリどうするの?』、『どういうサービスで、どういう価値を提供してくれるの?』ということが問われていると思っている」と説明した。

5年目を迎えるキンドリル

 入澤社長は2025年にIBMからキンドリルに移籍したが、「お客さまと接する中で、期待は1つではないと感じた」という。

 IBM時代からのメインフレームを利用する顧客は、「これからもIBMと密になってしっかりやってください」という声が多かった。一方、別の顧客からは、「もうIBMの一部門ではないのだから、最新技術を用いて、新しいことを一緒にやっていこう」という声があるという。

 また、「インフラストラクチャが強い会社なのだから、これからも徹底的にその部分を磨いてほしい」という声がある一方、「これからはインフラだけでなく、関連するアプリケーションやAI技術をもっと強化してほしい」という声もあったとのこと。

 こうしたさまざまな声を踏まえて策定した今年度の事業戦略は、「先ほど紹介した、多くのお客さまの異なる声に応えられるよう作り上げた事業戦略が、事業継続のパートナーとして社会と企業の価値を創造するというもの。これは我々のありたい姿だ」と説明した。

 さらに、「やはり、ミッションクリティカルシステムのインフラストラクチャの運用を担当してきたことから、お客さまの事業継続をしっかりと担保する存在になっていきたいと考えている。ただ、それだけではなく、システムの運用屋から脱皮し、新たな価値をお客さま、および社会に提供できる存在にもなっていきたい。キンドリルは、企業の業務プロセス、中核データ、システムの複雑さへの深い理解を持って事業を止めずに変革を実装し、企業と社会の価値創造を実現することを目指す」とも述べている。

 そして、これを実現するためのエンジンとして、モダナイゼーション、AI、サイバーセキュリティ&レジリエンシーの3つを挙げた。

本年度のキンドリルジャパンの方針

 モダナイゼーションについては、AI主導のモダナイゼーションを継続的に支援し、インフラストラクチャのモダナイゼーションと、アプリケーションのモダナイゼーション、ビジネスのトランスフォーメーションの3つがそろうことが重要だとする。

 「複雑化しているシステムの中で、古い機械を使い続け、なおかつ何か新しいことをやろうとしても、なかなか簡単にできない。古い機械がリスクを追加・増大させてしまう結果にもなりかねない。サイバー攻撃については、システムが複雑になればなるほどリスクが高まる。健全なインフラストラクチャとその上で稼働するアプリケーションをモダナイズしていく、最新化していくことが重要になる」という。

お客さまのAI主導のモダナイゼーションを継続的に支援

 サイバーリスクについては、アンソロピックが発表した「Mythos(ミュトス)」が従来にないスピードで脆弱性を発見していることが話題になっているが、「Mythos自体は決して新しいものではない。スピードが従来よりも速くなっているだけ。以前から攻撃者は脆弱性探しを行っている」と手法自体は新しいものではないと指摘した。

 その上で、「キンドリルが発表したレポートでは、過去1年間に重大なIT障害を経験した日本企業の割合は86%で、米国の80%、欧州の83%を上回っている。ところが、このうちサイバー攻撃が原因のケースは3割程度。残りはシステム障害、それも古いシステムを使っていたことが原因。サイバー攻撃による被害の多くも、古いバージョンをそのまま使っていた場合が多い。インフラストラクチャ、およびその上で稼働するアプリケーションをしっかり最新化していくことが必要」と述べ、サイバー攻撃対策の面でもモダナイゼーションと最新版へのアップデートが必須となると強調した。

 こうした現状を踏まえ、キンドリルではインフラ変革に注力すると共に、ユーザー体験とデータ&AI、アプリ変革、セキュリティ&レジリエンシーなど、注力分野をほかの領域にまで拡大していく。

 また、このような変革を実践する部隊として、年々事業が拡大しているコンサルティング部隊を位置付け、企業のシステムを「構想」から「実装」へつなぐ中核的存在として、お客さまの目指すAI前提の企業変革と現実のギャップを起点に、キンドリルの技術領域で解決することを目指す。「コンサルティングビジネスは、おかげさまでグローバルで2桁の成長となっている。日本でもコンサルタントの人数も含めて強化している」とした。

日本独自のエージェンティックAIソリューションを提供

 またAIについては、エージェンティックAIを活用したITサービス高度化ソリューションを、5月26日から日本で提供開始することを発表。「これはグローバルで作ったものではなく、日本独自で、実際にお客さまの声を受けて構築したエージェンティックAIの仕組みだ。すでに実際のお客さま環境で稼働している」と入澤社長が紹介した。

ITサービス高度化ソリューション

 また、このソリューションを提供する背景としては、「これまでは中身がわかっているメンバーが手作業でシステムをチェックし、テストを実施して脆弱性のチェックと対応を行ってきたが、Mythosが出てきたことにより、それに対抗していくためには、システムをモダナイゼーションし、システムの簡素化と高度化が必要。従来の手作業ではなく、AIによって脆弱性チェックと対応を行うことが不可欠となっていくだろう。最終的にはITライフサイクルすべてにエージェンティックAIを使うことでカバーできる世界を作ることを目指していきたい」と述べた。

 なお、こうした変化を実践するために、エージェンティックAI分野におけるパートナーシップをLiNKXと締結した。システムのモダナイゼーションを共同推進するソリューションの共同開発と、AI人材の育成とサービス化を目的とした協業を推進し、AIを活用したモダナイゼーションを加速していく。

エージェンティックAI分野におけるパートナーシップをLiNKXと締結

 また、AIの影響で人員採用を抑制するIT企業が登場しているものの、「我々は現時点ではハードウェアを持っているわけでも、ソフトウェアを持っているわけでもない。我々がお客さまに提供しているものは人になる。それだけに、人の成長なくして会社の成長はない。社員には、新しい学習意欲を持ってもらって、いろいろな資格を取っていただくことを通じ、よりしっかりと、お客さまにお届けする価値を高めてもらう。それが結果的に会社の価値を高めることにつながる」と、人員採用は従来通りに進め、人材を強化していくことで企業価値を高めるといった方針を強調した。