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ゲットワークス、苫小牧に新たなコンテナ型データセンターの拠点「美沢の杜AIコンテナパーク」を開設

ゲットワークス「美沢の杜AIコンテナパーク」

 株式会社ゲットワークスは3月28日、株式会社GXテクノロジー、山陽建設工業株式会社と連携し、北海道苫小牧市にコンテナ型データセンター「美沢の杜AIコンテナパーク」を新設し、竣工式典を開催した。

 美沢の杜AIコンテナパークは、AIサービス向けの高い計算力をもったGPUサーバーなどの稼働に焦点を当てた設計となっており、次世代のサーバー冷却においては標準となる最新の水冷設備も完備している。苫小牧市内に立地し、新千歳空港から車で約5分と交通アクセスも良く、面積は約1300坪、敷地内に10FT、12FT、20FT、40FT、連結タイプなどのコンテナが設置される。電力は2MW(順次10MWまで増設予定)、冷却方式は空冷、水冷またはハイブリッド。

 ゲットワークスでは、美沢の杜AIコンテナパークは同社がこれまで目指してきたコンテナ型データセンターによるデータセンター地方分散の計画の中でも重要な拠点となると説明。NTTドコモビジネス株式会社との連携のもと、NTTドコモビジネスが全国への展開を進めるIOWN APN(docomo business APN Plus)を用いて、ゲットワークスが運営する新潟県湯沢町や鹿児島の各拠点を結び、ワット・ビット連携におけるコンテナ型データセンターモデルの確立を目指している。

記念式典のテープカットの様子

 式典のあいさつで、ゲットワークス代表取締役の中澤秀則氏は、この場所を選んだ理由として、空港から車で5分ぐらいの至近距離で、なおかつ冷涼な気候で井戸水も使えるため、最近の高出力なデータセンターやAIのGPUを冷やすには最適な場所だと説明。まずはこの苫小牧を中心に発展させていきながら、全国に高速回線とともに広げていき、AIのインフラの基盤を整えていきたいと語った。

 苫小牧市長の金澤俊氏は、苫小牧には今回のゲットワークスの美沢の杜AIコンテナパークのほか、ソフトバンクやAI Tech Tomakomaiのデータセンターも発表されており、データセンターの集積が急激に進んでいることを紹介。さらに、地域には半導体関連産業の進出や、アンモニアや水素をはじめとするGX関連の拠点形成など、広大な工業用地と豊富な再生可能エネルギーのポテンシャルを背景に、未来に向けたさまざまな企業の集積が進んでいるとした。今回の竣工を機に、ゲットワークスのデータセンターがさらに拡大していくのと同時に、苫小牧市だけでなく北海道の発展に向け一緒に歩んでいきたいとして、苫小牧市としても事業の成功に向けて、最大限尽力していくと語った。

 NTTドコモビジネス クラウド&ネットワークサービス部第二サービス部門 部門長の松林修氏は、NTTドコモビジネスは日本全国に70カ所のデータセンターを持ち、2025年6月にはゲットワークスおよびNTTPCコミュニケーションズと、AI時代に最適な次世代ICTプラットフォーム構想の実現に向け、戦略的業務提携を締結していることを紹介。美沢の杜AIコンテナパークには多くの企業が賛同しており、また苫小牧には工業地帯があり、港があり、さらに空港も近いという特色を持つなど、さまざまな条件が整っており、今後はいかにして顧客を集めるか、そして日本のAIを発展させていくのかを考えていくと語った。

ゲットワークス代表取締役の中澤秀則氏
苫小牧市長の金澤俊氏
NTTドコモビジネス株式会社 クラウド&ネットワークサービス部第二サービス部門 部門長の松林修氏

実質3カ月の工期で稼働、再エネ活用で水冷時代の環境配慮型データセンターを目指す

 ゲットワークスは2014年からコンテナ型データセンターを手がけ、これまでに300棟以上を構築している。式典後に行われた説明会で、ゲットワークスの中澤氏は、現在、コンテナ型データセンターが注目を集めている理由として、AI需要の高まりからすぐに稼働させたいといった需要に対応する工期の短さや、GPUサーバーの進化が早く、変化への対応という意味でもコンテナ型が適していること、コスト面でも有利である点などを挙げた。今回の美沢の杜AIコンテナパークも、実質的な工期は3カ月ほどで完成したという。

 GPUサーバーの水冷対応も、多くの機器メーカーやサーバーメーカーと協力して実証を進めるとともに、既に実際の運用も進めていると説明。また、水については基本的に井戸水を使用しており、使用した水は冷やして再利用するなど、環境面にも配慮していると語った。ゲットワークスでは、データセンターの用地選定においても、自然環境との共存を最優先し、森林伐採は行わないといったポリシーで、雪冷熱や太陽光、バイオマスなど多種の再生可能エネルギーの活用によるPUE1.0xの実現にとどまらず、独自開発のソリューションを組み合わせることで、水冷時代におけるトップクラスの環境配慮型データセンターを目指すとした。

 NTTドコモビジネスの松林氏は、AI時代を支える3つの基盤として、高性能なコンピューティング、柔軟なネットワーク、最適化されたマネージドサービスが不可欠になっていると説明。NTTドコモビジネスは、液冷データセンターによる高性能GPU環境の提供、必要な時に必要な分だけ利用できるNaaS(Network as a Service)、そしてAIによる自律的なインフラ管理まで、AI時代に求められる包括的な基盤を提供すると語った。

 また、IOWNによるdocomo business APN Plusは、全国のデータセンターや主要都市間を接続済みで、北海道においては豊富な再エネや冷涼な気候を活用したコンテナ型データセンターが、苫小牧に続き展開が想定されると説明。特に札幌を中心に、石狩、千歳、苫小牧、稚内などに、建屋型データセンターやコンテナ型データセンターが集積する見込みで、NTTドコモビジネスとしてはNTTグループ各社と連携の上、IOWN APNを当該都市に展開していくとした。

 さらに説明会では、シュナイダーエレクトリック、デルテクノロジーズ、NTTPCコミュニケーションズ、菱洋エレクトロ、Supermicro、日本IBMの各社が、AI需要に伴うGPUサーバーの需要の高まりなどへの対応に向けた、ゲットワークスとの取り組みを紹介した。

 美沢の杜AIコンテナパークの今後について中澤氏は、現在は10台のコンテナが稼働しており、最終的には40台を稼働させる予定だとした。

 北海道ということで積雪などは問題ないのかという質問には、苫小牧では数十cm程度の積雪になると思うが、ゲットワークスは新潟県湯沢市でコンテナ型データセンターも運用しており、そちらは数mもの積雪になるが、問題なく運用できていると説明。一方、苫小牧は冬には地面の深い部分まで凍結してしまい、そのための配管対策という課題があり、今回の工事を通じて知見が得られたと述べ、今後の展開に生かすとともに、冷却への活用なども検討していきたいとした。

 また、IOWN APNを活用したデータセンター間の接続について、例えば東京と北海道の距離で問題はないのかという質問に、NTTドコモビジネスの松林氏は、例えば日本と台湾の間は約3000kmあり、その間もAPNで接続しているが、そこでの遅延は16ms程度だと紹介。例えば重機を遠隔操作するといった事例では数百msまでの遅延は許容できるとされているが、一方では遅延がほぼない状況が求められる用途もあり、そのあたりはアプリケーションによって異なることから、実証実験などをゲットワークスなどと進めていくことで、より知見を深めていく必要があると語った。