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Red Hat、デジタル主権を実現するソブリンクラウドとプライベートクラウドの新機能を発表

 米Red Hatは現地時間12日、ソブリンクラウドおよびプライベートクラウドの機能拡充を発表した。これにより、世界中の組織は自社が保有するテクノロジーやデータをより強固に制御できるようになるとしている。

 運用上の独立性が規制上の要請であると同時に戦略的な必須事項となる中、Red Hatは「選択肢」「制御」「透明性」を基盤とする未来を形作っており、このような転換により、IT意思決定者やサービスプロバイダーは、市場の変化に反応するのではなく、主導権を握るための自律性がもたらされると説明している。

 主権(ソブリン)に関する議論は、規制要件を中心に展開されがちだが、Red Hatはこの議論を異なる視点で捉えていると説明する。主権とは「制御」に関する概念であり、地政学的な変化、市場の動向、ベンダー契約条件の変更に関わらず、組織が自らの進路に対して監督と指揮を維持できることを意味するとしている。

 現代の組織が必要とする選択肢とスケールを実現するために、Red Hatは次世代のソブリンインフラ向けに標準化されたアーキテクチャを提供する。これには、Red Hat Confirmed Stateside Supportと、EU向けのRed Hat Confirmed Sovereign Supportによる現地サポートが含まれる。

 重要なインフラを管理するIT意思決定者や、地域に特化したクラウドを構築するサービスプロバイダーにとって、今回発表された機能は、この基盤をさらに拡張するものだと説明する。これらは、制御することを犠牲にすることなくイノベーションへの道筋を開き、レジリエントなオープンソース基盤を構築するために必要な透明性と選択肢を提供する。

 Red Hatのプラットフォームは、エアギャップ環境、ソブリンクラウド、プライベートクラウドのソフトウェア基盤を提供する。Red Hat OpenShift、Red Hat Enterprise Linux、Red Hat Ansible Automation Platform、Red Hat AIを含む統合された基盤により、組織は自社の境界内で、自社の条件に基づいて構築および拡張を行うことが可能になる。

 このポートフォリオをさらに拡充するためのソリューションとして、Red Hatは監査準備に伴う手作業の業務を自動化するためのコンプライアンスフレームワークを拡充した。Red Hat OpenShift Compliance Operatorの新しいコンプライアンスプロファイルを、Red Hat Advanced Cluster Security for Kubernetesと組み合わせることで、テクニカルレビューを自動化する。これにより、NIS2、GDPR、DORAなどの地域や業界の規制に対応した適切なエビデンスを迅速に作成できるようになり、規制内容の変更にも対応する。

 また、新しいクロスプラットフォームインストーラーにより、Red Hat Enterprise Linux、Red Hat OpenShift、および Red Hat Ansible Automation Platform 網羅した、事前構成済みの自動化された隔離型コンピューティングプラットフォームを提供する。起動時に運用上のガードレールを適用することで、リファレンスアーキテクチャをそのままデプロイ可能なインフラへと変換する。このアプローチにより、ベースラインの制御を手動で構成する必要がなくなり、堅牢でコンプライアンスに対応したワークロードの価値実現までの時間を短縮できる。

 さらに、新しいサービスプロビジョニングインターフェイスにより、パートナーや顧客はOpenShift上での仮想マシン、クラスター、AIサービスの迅速なデプロイが可能になる。組織はこれらのツールを活用して、スケーラブルなRed Hat基盤上のAI対応プライベートクラウドのコンポーネントとして、GPU-as-a-Service、Models-as-a-Service、Inferencing-as-a-Serviceを提供しつつ、AIモデルのライフサイクル管理を維持できる。

 データ主権のためのオンプレミス型テレメトリーとしては、Red Hat LightspeedがOpenShift向けに、顧客が管理する環境内に完全にとどまった形でコスト管理テレメトリー機能を提供する。この機能により、組織はデータレジデンシーを保持したままクラウド支出を包括的に可視化でき、主権領域を越えて運用データを送信する必要がなくなる。

 地域のレジリエンスを高めるローカライズ済みソフトウェアの提供に向け、Red Hatは地域的な障害に伴うリスクを軽減するため、ソフトウェアサプライチェーンをローカライズする計画としている。EUを皮切りに、地域内でのコンテンツ配信により、顧客やパートナーはRed Hat Enterprise Linuxを現地でダウンロードできるようになる。この取り組みによって、アップデートストリームに対する制御を現地に置くことで、重要なソフトウェア提供のレジリエンスが向上する。Red Hatは、2026年末までに対象製品をさらに拡大する予定としている。

 また、ソブリンクラウドとプライベートクラウド向けのグローバルなエコシステムとして、Red Hatのオープンアーキテクチャは、運用上の独立性を実現するための業界全体の取り組みの中心的な役割を果たしていると説明する。業界のリーダー企業との深い技術的成果を通じて、Red Hatは顧客が必要とする技術的な選択肢、地域固有の専門知識、そして自律的な制御を提供するとしている。

 Red Hatは、ソブリンAIクラウドおよびネオクラウド向けの検証済みプラットフォームを提供している。これにより、NVIDIAのパートナー企業は、オンデマンドでマルチテナント型のAIリソースやサービスの提供が可能となる。組織はAIライフサイクル全体をフルスタックで制御し、ハイブリッドクラウド全体での独立性を高められる。

 Red HatとGoogleの連携を基盤とした OpenShift on Google Cloud Dedicatedは、制御に関する内部要件が最も厳しい組織向けに、分離されたインフラを提供する。これにより、組織は運用上の独立性を追求しつつ、主権に関する指令やエンタープライズグレードの性能要件にも対応できる。

 また、Red Hat OpenShift、Red Hat Enterprise Linux、Red Hat Ansible Automation Platform、およびRed Hat AIは、IBMのソブリンクラウドおよびプライベートクラウドソリューションの基盤となっている。この基盤は、コンプライアンスの自動化、インフラのモダナイゼーション、およびAIイノベーションを支えるクラウドインフラとして機能している。

 これらの取り組みは、Telenor、Core42、DataCom、富士通、NxtGen、Sopra Steriaなど、ソブリンAIクラウドを構築するパートナーやサービスプロバイダーからなる専門的なエコシステムによって、さらに強化されていると説明。これらのパートナーは、現地の規制当局の管理下で、コンプライアンス対応かつ高性能なAIおよびクラウドサービスをデプロイするために必要な、現地に根ざした専門知識を提供するとしている。