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日立、フィジカルAIの実装を顧客と協創する「フィジカルAI体験スタジオ」を開設

 株式会社日立製作所(以下、日立)は23日、フィジカルAIで現場の課題解決を加速する「フィジカルAI体験スタジオ」を、同社の協創施設「Lumada Innovation Hub Tokyo」内に4月1日に開設すると発表した。

 フィジカルAI体験スタジオは、顧客やパートナーとの協創を通じてフィジカルAIの社会実装を加速させるための戦略拠点。AIで社会インフラを革新する次世代ソリューション群「HMAX by Hitachi(以下、HMAX)」を核として、生産性・品質・安全といった課題を迅速に解決し、新たな価値を創出する。

 フィジカルAIは、現場のデータから得られたAIの分析・判断を、ロボットの制御や設備の自動操作といった具体的なアクションにまでつなぐ技術で、このサイクルを繰り返すことでAIは継続的に学習し、状況に応じた最適な判断と実行が可能になる。

 日立は、Lumada 3.0として、これまで蓄積してきたデジタルのケイパビリティやドメインナレッジなどを活用し社会インフラのトランスフォーメーションに取り組んでいる。フィジカルAIは、その変革をAIで加速させるHMAXにおいて、ITとOTをつなぎ高度な分析・判断と現場での正確なアクションを一致させる重要な位置付けとなる。

 フィジカルAI体験スタジオは、フィジカルAIがもたらすITとOTを連携させた価値創出のサイクルを、顧客の課題解決へとつなげる協創の場となる。ここでは、日立の研究開発グループが開発した現場作業員を支援するロボティクスAIや、日立の人計測センサー技術とGlobalLogicのソフトウェア開発力を融合したウェアラブルセンサーなど最先端の技術を体験できる。そして、日立のAIアンバサダーなどプロフェッショナル人材が、顧客のビジョンや課題を深く掘り下げ、HMAXなどを活用した具体的な解決アプローチの策定まで一貫して伴走支援する。

 また、スタジオはオープンな協創エコシステムの拠点として、Google CloudやMicrosoftなどアライアンスパートナーと協力していく。パートナー各社の最先端テクノロジーと日立の深いドメインナレッジを掛け合わせ、顧客の複雑な課題に対する最適解を、より迅速に提供する。

 スタジオでは、AIがいかにして現場で働く人々の力となり、日々の業務を変革していくのかを、3つの具体的なアプローチを通じて体感できる。

 「現場で迅速に分析・判断し、熟練者をサポートする(エッジでの推論)」というアプローチでは、スマートフォンなどのエッジデバイスから画像などのデータをAIに読み込ませることで、AIがその場で状況を判断し、経験豊富な熟練者のように業務をサポートする。

 スタジオでは、日立とGoogle Cloudの戦略的アライアンスから生まれたAIエージェントのデモを体験できる。このGemini Enterpriseを活用したAIエージェントの特長は、専門家でなくても、現場のフロントラインワーカー自らがノーコードで業務に合わせたAIを生成・改善できる点にある。例えば、保守作業員が設備の画像をAIに読み込ませるだけで、瞬時に状態を比較・判定する。これにより、ダブルチェックの精度が向上して見落としを防ぐことで、社会インフラ設備の保守・点検作業における品質と効率の向上を実現する。

 「現場の動きを学び、AIが賢く進化し続ける(学習)」というアプローチでは、視覚・力学などのマルチモーダル情報を統合した深層予測学習モデルにより、人間の動作を模倣学習させることで、現場行動から発生するデータを効率的に学習するプロセスを、日立の研究開発グループが開発したフィジカルAI技術を通じて紹介する。

 最新の事例として、日立独自の“自ら学び最適化する”AIを搭載し、従来困難だった複雑作業を、現場適用レベルの速度・品質で自動化するロボットなどを常設展示する。同ロボットは、現場で得られる動作データや作業ノウハウを継続的に学習することで、現場環境や作業内容の変化に合わせて進化を続ける。また、視覚や力触覚などのセンサー情報をもとに、作業対象物と接触する際の力の強さや向きをきめ細かく制御して動作することで、ワイヤーハーネスの組み付けのような柔軟物を繊細に扱う作業の自動化も実現する。

 「現場データをもとに仮想世界でシミュレーションする(デジタルツイン)」というアプローチでは、現場データをもとに仮想世界でシミュレーションするデジタルツイン技術により、現実世界のロボットに指示を出したり、人や設備の状態をリアルタイムに把握し、潜在的な危険を予知して未然に事故を防ぐなど、現場のオペレーションを最適化する。

 スタジオでは、日立のAIエージェントをデジタルツイン環境で連携させた、現場の安全性向上に貢献するデモ動画を視聴できる。例えば、デジタルツイン上に再現された工場で、作業員の動きや機器の配置をAIが分析し、「このエリアは人とロボットが接触する危険性が高い」という危険箇所を事前に特定し、可視化する。また、作業員が安全手順を守っているかをAIが自動で確認するなど、安全な現場環境づくりを支援する。