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Snowflake、エージェント型AIに対応したエンタープライズレイクハウスの強化を発表

 米Snowflakeは現地時間11月4日、エージェント型AIに対応したエンタープライズレイクハウスの新機能として、新たに強化したSnowflake HorizonカタログとSnowflake Openflowを発表した。これらの機能により、企業は分散したソースやカタログからデータを接続し、全てのデータを一元的にAIエージェントが活用できるとしている。

 新機能は、一貫性のあるセキュリティとガバナンスを組み込んだ状態で提供され、企業がデータから最大限の価値を引き出すことを可能にする。また、インタラクティブテーブルとウェアハウス(近日一般提供開始)により、組織はデータを即時に可視化し、リアルタイムに近いインサイトを得られるようになる。さらに、Snowflake Postgresを活用することで、リアルタイムのトランザクションデータをこれまで以上に迅速かつ効率的に活用できる。

 Snowflake Horizonカタログは、断片化したガバナンスやサイロ化したデータシステムにより、AIの導入が整わないという課題に対応するため、AIに必要なコンテキストを提供し、すべての地域やクラウド環境、フォーマットを横断してデータを安全に接続する統合的なセキュリティおよびガバナンスフレームワークを提供することで相互運用を可能にし、ベンダーロックインを回避する。

 また、あらゆるエンジン、あらゆるデータ形式、あらゆる場所でシームレスに機能するように設計されており、Snowflakeのネイティブオブジェクトをはじめ、Apache Iceberg やDelta Lakeのようなオープンテーブルフォーマット、さらにSQL ServerやPostgresなどのリレーショナルデータベースに保存されたデータにも対応する。

 Apache PolarisおよびApache Iceberg REST CatalogのオープンなAPIをHorizonカタログと直接連携することで、オープンテーブル形式のあらゆるデータのガバナンス、セキュリティ、相互運用可能なアクセス管理を一元化した、事実上のエンタープライズレイクハウスを顧客に提供する。

 こうした機能強化により、外部エンジンからApache Icebergテーブルのデータに安全にアクセスできるようになり、Icebergテーブルを作成、更新し、保存データの管理が可能になる。これにより柔軟性が向上し、各部門で使い慣れたエンジンで単一のデータコピーを安全に利用できるようになり、統合AIカタログのデータの共有、接続、活用が容易になる。

 Snowflakeの最新の統合により、MerkleやRelationalAIなどの顧客やパートナーは、独自のビジネスニーズに最適なエンジンやツールを、一元化されたガバナンスのもとで安心して自由に使用できる。また、SnowflakeはBusiness Continuity and Disaster RecoveryによりIcebergマネージドテーブルのデータレジリエンスを強化し、企業の重要なデータをエンタープライズレイクハウス全体でより強固に保護する。

 さらに、企業ユーザーは、Snowflake Openflowを活用して、事実上あらゆるソースのデータの統合や取り込みを安全に自動化し、エンタープライズレイクハウス全体のデータを簡単に一元化できる。Snowflakeはまた、Oracleとのパートナーシップを通じて統合オプションを拡大しており、顧客がOpenflowを基盤としたほぼリアルタイムの変更データキャプチャを活用し、トランザクション更新を継続的にSnowflake AIデータクラウドにストリーミングできるようにする。

 Snowflakeは、スピード感のあるデータドリブンな体験のニーズに対応するため、インタラクティブテーブルとインタラクティブウェアハウスを導入し、あらゆるデータにおける高性能分析分野でのリーダーシップをさらに拡大した。低レイテンシかつ高い並行処理性能を実現するこの新機能により、分析がほぼ瞬時に完了し、インサイトを数分単位ではなく1秒未満で得られるようになる。これにより企業は、ライブデータを即座にBIツールで活用でき、高速かつインテリジェントなアプリやAIエージェントをSnowflakeの統合ガバナンス環境のもとで安全に稼働させられる。

 また、Snowflakeは、ニアリアルタイムストリーミング分析機能を新たに導入した。これにより、ツールと信頼性の高い安全なプラットフォームを利用しながら、ライブデータをわずか数秒以内で活用できるよう支援する。Kafka、Kinesisなど主要なデータストリームをはじめとする複数のソースへの対応が組み込まれており、ライブデータと履歴データを組み合わせることで、不正検知、パーソナライゼーション、レコメンデーション、オブザーバビリティ(可観測性)、IoTモニタリングといった重要なユースケースを強化できる。

 さらに、SnowflakeはCrunchy Dataを買収し、世界で最も広く利用されているデータベースをSnowflakeのプラットフォーム上に統合するフルマネージドサービスSnowflake Postgresを発表した。トランザクションデータを、分析およびAIと同じ安全な基盤上で扱えることで、Snowflakeは、エンタープライズレイクハウスを、インサイトの獲得からアクションの実行へと進化させ、企業が運用データをAIエージェントやインテリジェントアプリを構築できる環境の実現を支援する。

 Snowflakeはまた、Postgresの一連の拡張機能であるpg_lakeをオープンソース化した。pg_lakeは、開発者やデータエンジニアがPostgresを強力なレイクハウスシステムと統合できるように設計されたPostgres拡張機能で、開発者は使い慣れたPostgres環境から、標準SQLを使ってApache Icebergテーブルのクエリ、管理、書き込みを直接実行できる。

 さらにSnowflakeは、ハイブリッドテーブルを基盤とするSnowflake Unistoreの大幅な機能強化を通じ、トランザクション処理と分析処理の統合を推進している。現在、Hybrid Tablesは、Microsoft Azureで一般提供されており、企業はデータ管理を簡素化し、軽量のトランザクショナルアプリをSnowflake上に構築できる。

 これらの処理を現代の企業の厳格なセキュリティニーズに対応させるため、Snowflakeはハイブリッドテーブル向けのセキュリティ機能を強化している。これには、顧客が管理する暗号キーによる保護レイヤーを追加するTri-Secret Secureや、データ保護を強化し規制要件への対応を支援する定期的なキー再生成などが含まれる。