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イトーキ、自動物流倉庫の故障の兆候をAI解析で検知する「予知保全システム」を開発

 株式会社イトーキは5日、物流業界における人手不足と需要拡大という課題に対応するため、日本オラクル株式会社の「Oracle Autonomous AI Database」と「Oracle Cloud Infrastructure(OCI) Data Science」を基盤に、自動物流倉庫の稼働データを収集・AI解析して故障の兆候を事前に把握する予知保全システム「スマートメンテナンス」を開発したと発表した。

 スマートメンテナンスは、稼働時間、動作回数、動作距離などの実際の稼働データをもとに、部品交換の最適なタイミングをシステムが通知する。これにより、故障の未然防止につなげつつ、必要以上に早いタイミングでの交換を防ぐ。

 センサーやモーターから収集した稼働データをAIが解析し、データの変化を捉えて故障の兆候を検知する。異常が検出された機器については、システムが自動で入庫制限し、出庫のみを継続稼働させることで、システム全体への影響を局所化し、稼働停止の連鎖を防ぐ。これにより、物流現場における突発的なダウンタイムを最小限に抑え、安定した運用を維持できる。

予知保全システムの全体像

 イトーキではスマートメンテナンスを、現場に行かずに遠隔で状況把握・復旧を支援できる「リモートメンテナンス」と一体の保守サービス「ITOKIアドバンスドメンテナンス」として、2026年1月に発売する。

 ITOKIアドバンスドメンテナンスは、イトーキのシャトル式自動倉庫「システマストリーマー SAS-R」に搭載可能な保守サービスプランとして提供する。各機器に取り付けたセンサーや制御装置から収集した稼働データをAIによる異常検知アルゴリズムが判断し、設備の状態や故障の兆候を把握・検知するスマートメンテナンスと、遠隔で状況把握・復旧を支援できるリモートメンテナンスの機能を搭載する。

 収集する稼働データには、稼働時間、動作回数、動作距離などが含まれ、これらを蓄積・表示することで、設備の状態を継続的に監視できる。直感的なUIにより現場担当者が稼働状況を理解でき、メンテナンス計画の精度向上につながる。

 こうしたデータの可視化を基盤に、異常検知や入庫制限、部品交換時期の最適化といった高度な保全機能を展開することで、従来の時間ベース保守では対応しきれなかった突発故障のリスク軽減、計画的なメンテナンスによる最適化を実現する。

 イトーキと日本オラクルは、深刻化する人手不足や物流需要拡大といった社会課題の解決に貢献し、持続可能で強靱な物流ネットワーク構築に寄与していくとしている。