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キンドリル、企業全体のAI活用に向けた「キンドリル エージェンティックAIフレームワーク」の機能強化を発表

 米Kyndryl(以下、キンドリル)は現地時間1日、「キンドリル エージェンティックAIフレームワーク」を強化し、さまざまな業界における大規模なAIの導入を加速させる新たな機能を発表した。

 機能強化には、独自の設計プロセスと革新的なエンゲージメント方法論が取り入れられており、これにより、限定的なAIプロジェクトのPoC(概念実証)にとどまらず、効率性を高め、ビジネス成果を生み出す実用的なAIネイティブのソリューションを大規模に展開できるようになるとしている。

 キンドリルは、Kyndryl Vitalによる差別化された方法論を採用し、専門的なエンジニア、能力、知的財産を投入して、強化されたエージェンティックAIフレームワークの迅速な活用を推進する。これにより、設計から導入までの時間を最小限に抑えたカスタマイズプロジェクトを共創し、政府、銀行、保険、製造などの業界における価値創出までの時間を短縮するとしている。

 キンドリル エージェンティックAIフレームワークの中核は、顧客のテクノロジー基盤をエージェンティックAIのワークフローへとオーケストレーションし、安全で大規模に展開する先進的な機能となる。この機能は、顧客のコード、ポリシー、データ相互依存度、ビジネス目標、さらにKyndryl Bridgeからの情報を含むインサイトを抽出、分析するキンドリルのエージェンティックインジェスション機能からの入力によって強化される。また、キンドリル エージェンティックAIフレームワークはセキュアバイデザインであり、ガーディアンコンセプトを備え、自律的かつ透明性が高く、コンプライアンスに準拠した運用を可能にする。

 この中核機能は、将来のワークフォースモデルに基づいたエージェンティックシステムを提供する。このモデルは、AIエージェントが組織内で果たす役割や従業員との連携方法を定義しており、キンドリルの専門家はこのモデルを活用して、人が果たすべき役割やAIエージェントと連携してビジネス成果を生み出すために必要なスキルを特定する。

 このモデルを活用し、キンドリルのエージェントビルダーは、キンドリルの業界・ドメイン別のリファレンスアーキテクチャーや、AIエージェントおよびエージェンティックAIワークフローのカタログを利用して、企業がAIエージェントをより簡単に設計、テスト、導入できるよう支援する。これらのエージェントは、コードの作成、テストの実行、複雑なプロセスの自動化などのタスクを担う。また、キンドリルのエージェントビルダーは、コンプライアンスやセキュリティプロトコルに沿ってAIエージェントを作成、展開し、ミッションクリティカルな用途に対応できるようにする。

 キンドリルはさらに、さまざまな業界にわたってエージェンティックAIフレームワークの導入を進めている。保険業界の顧客と協力し、エージェンティックAIを活用したアクチュアリー(保険数理)ソリューションを構築。AIエージェントを組み込み、エンドツーエンドのインテリジェントで自動化されたワークフローを実現する。AIエージェントは動的に規制報告書を生成するとともにプロアクティブに規制順守チェックを支援し、リアルタイム分析と意思決定を推進するインサイトを提供する。

 政府機関向けには、税務、許認可、移民、社会保障など複数部門にまたがるプロセスを接続、効率化するAIエージェントを開発・導入した。政策や手続きに関する知識を組み込み、公務員と協力しながら、市民・企業・政府職員のニーズに先回りして対応する。

 銀行業界の顧客とは、申請、審査、検証、外部機関との照合などを含む手作業による煩雑な顧客の新規登録手続きを合理化・自動化した。全工程にインテリジェントなAIエージェントを組み込むことで、登録時間を短縮し、顧客体験全体を向上させている。