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HPE、ハイブリッド・マルチクラウドの管理・運用を包括的に支援する新サービス

 ヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)は20日、ハイブリッド・マルチクラウドの管理・運用を包括的に実現する「HPE Unified Cloud Management統合サービス」の提供開始を発表した。

 ITインフラのコンセプト整理から構築、運用までの8つの“Ops”領域を網羅し、これらをもとにアドバイザリー&プロフェッショナルサービスで企業を支援する。

HPE Unified Cloud Management統合サービス

8つのOpsを網羅してアドバイザリー&プロフェッショナルサービスを提供

 8つのOps領域は次のとおり。

  • DataOps:データのライフサイクル管理によるデータ活用の効率化
  • PlatformOps:一元管理とインテグレーションによる継続的な最適化
  • GreenOps:電力消費の可視化など、サステナビリティ戦略の促進支援
  • SecOps:サイロ化の解消と継続的な最適化によるセキュリティ・ガバナンス強化
  • SSAMOps:ソフトウェア資産の最適化によるコスト削減
  • FinOps:資産とコストの可視化による企業全体の財務管理
  • AIOps:AIを最大限に活用した可観測性向上と自動化
  • NetOps:ネットワーク環境の自動化とプログラム化による効率化

 「中心を担うのがPlatformOpsであり、PlatformOpsから各Opsをコントロールすることで、一元化と自動化を実現可能にしている」と、HPEの魚住広貴氏(アドバイザリー&プロフェッショナルサービス 事業統括本部 ビジネス推進本部 ビジネス開発部 部長)は、同日開催された記者発表会で説明した。

 HPEはこの領域で、ハイブリッドクラウド管理の「HPE Morpheus Enterprise Software」(以下、Morpheus)を持っており、それが差別化要因になる、と魚住氏は語った。なお、各Opsの製品としては、HPE製品とパートナーの製品を組み合わせて最適なエコシステムを導入して支援する。その上で、PlatformOpsにおけるMorpheusも選択肢の1つだと付け加えた。

PlatformOpsを中心とした各“Ops”の構成。右は、日本ヒューレット・パッカード合同会社の魚住広貴氏(アドバイザリー&プロフェッショナルサービス 事業統括本部 ビジネス推進本部 ビジネス開発部 部長)

 これら8つの領域を構成要素として、アドバイザリー&プロフェッショナルサービスで、コンセプト整理、構想・計画・検証、構築・運用のそれぞれの段階をサポートする。

 アドバイザリーサービスでは、コンセプト整理段階の勉強会およびワークショップと、構想・計画・検証段階のロードマップ策定を支援する。

 まず、市場動向や課題などについて学んでから、顧客環境の成熟度のアセスメントや、課題の洗い出しと深掘りを行い、アクションプランに落とし込む。そして、ツールの選定や既存環境とのインテグレーションを考慮しつつ、プロジェクト全体のロードマップを作成する。

 プロフェッショナルサービスでは、構想・計画・検証段階のPoCと、構築・運用段階の設計・実装および展開・運用を支援する。

 PoCでは、環境構築から、Q&A対応、既存環境への影響見極め、効果測定などを実施。グローバルで実績のあるPoCのテンプレートを用いることにより、実施期間の短縮化も可能だ。また、展開・運用においては、HPEのマネージドサービスを通じて、グローバルで統一した品質で運用する。

アドバイザリーサービスとプロフェッショナルサービス
アドバイザリーサービスの内容
プロフェッショナルサービスの内容

 魚住氏は、HPEの次世代ハイブリッドクラウド基盤導入事例も紹介した。この企業では、事業部門へのサービス提供に注力できる体制構築を目標に、既存のVMware vRealize環境とMorpheusを統合して自動化を実現し、財務観点でもFinOpsを導入して企業全体のクラウド利用可視化を実施した。これにより、運用維持コスト削減による費用最適化や、サービス品質向上、インフラのサイロ化解消による統合環境の実現を達成したという。

HPEの次世代ハイブリッドクラウド基盤導入事例

複雑になる企業のハイブリッド・マルチクラウド環境の課題に対応

 記者発表会では、「HPE Unified Cloud Management統合サービス」提供の背景について、HPEの挾間崇氏(執行役員 アドバイザリー&プロフェッショナルサービス 事業統括本部長)が説明した。

 挾間氏は、AI時代においてIT環境が複雑になり俊敏性と柔軟性がますます求められるなか、ハイブリッド・マルチクラウド環境への対応がより重要になっていると語った。

 同氏はグローバル市場での調査結果として、マルチクラウド管理プラットフォーム市場は2032年までに年間16.1%の成長が見込まれるという数字を紹介。その一方で、企業はクラウドの複雑さに関する問題に直面しており、クラウドプロバイダーによる価格上昇も懸念材料になっていると述べた。

AI時代のIT環境の課題とハイブリッド・マルチクラウド環境への対応。右は、日本ヒューレット・パッカード合同会社の挾間崇氏(執行役員 アドバイザリー&プロフェッショナルサービス 事業統括本部長)

 企業におけるハイブリッド・マルチクラウド環境の課題として、挾間氏は、複雑性、サイロ化、可視性、GASC、継続性の5つを挙げる。中でも継続性が「お客さま環境を真のハイブリッド・マルチクラウド環境にデザインする上で、非常に重要だと考えている」と、同氏は語った。

 そして、これらの課題へのアプローチとして、「どこでもクラウドエクスペリエンス」「今以上の柔軟性と拡張性」「企業全体の可視性とコントロール」「シンプル化と自動化」「AIの持つ可能性の最大活用」「サステイナブルなライフサイクル」の6つを挾間氏は挙げた。

企業におけるハイブリッド・マルチクラウド環境の課題
課題に対する企業のアプローチ