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NECの安全運転支援クラウド「くるみえ」、映像認識AIと生成AIを組み合わせ安全運転指導アドバイスの自動生成などを可能に
ヒヤリハット動画から注目すべきシーンを抽出する機能も
2025年10月8日 12:16
日本電気株式会社(以下、NEC)は8日、ドライブレコーダーで記録した映像や各種データを活用し、安全運転を支援するクラウドサービス「くるみえ」を強化し、「くるみえ 生成AIバージョン」として10月14日より提供すると発表した。AIを用いて、危険運転の映像データなどから安全運転指導のアドバイスを自動生成する新機能などが提供される。価格は個別見積もり。
「くるみえ」はドライブレコーダーの映像や運行データ・モバイル機器からの入力データなどを利用したクラウドサービス。収集したデータを一元管理し利活用することで、利用企業の運転関連業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を支援する機能を提供している。
今回の「くるみえ 生成AIバージョン」で提供する新機能では、5台以上の車両を使用する際に、拠点ごとに選任が必要となる安全運転管理者の負担軽減とスキル平準化を図るため、AIが対処優先度の高いヒヤリハットシーンの自動抽出やドライバーごとの課題傾向分析などを行い、危険運転に対する具体的な改善ポイントを自動生成するものだ。
具体的には、映像認識AIを活用することで、各車両のドライブレコーダーで記録した多数・長時間の映像から、横断歩道や赤信号など、安全運転上の観点から特に警戒が必要な場面を優先的に抽出し、自動的にタグ付けを行える。これにより、安全運転管理者は重要な映像を短時間で確認でき、従来は目視で行っていた動画抽出にかかる時間の削減とヒューマンエラーの防止を実現するとした。
また、安全運転管理者がドライバーに安全運転指導を行う際のアドバイスを、映像認識AIと生成AIにより、ヒヤリハット動画から自動生成する仕組みを備えた。映像認識AIが映像解析技術を活用し、危険運転が発生した場面を分析するとともに、生成AIがさまざまな運転指導の実例を参照しながら、説明文を自動で作成する。
例えば、赤信号で急停車しているケースでは、「速度は控えめにして、黄色信号を認識したら足をアクセルではなく、ブレーキにのせることが余裕を持った停止につながります」といった、状況に応じた実践的なアドバイスを提案することにより、管理者ごとに異なる指導経験の差を埋められるので、組織全体の安全基準の平準化を支援するとしている。
さらに、記録映像のタグ付けでは、危険運転シーンを横断歩道・赤信号といった種別で分類して検索することが可能。「くるみえ」で検知した映像にはあらかじめドライバーの情報も記録されていることから、特定のドライバーが赤信号時のヒヤリハットを起こしやすいといった傾向を検出できる。こうした仕組みを活用し、管理者はドライバーごとに課題の傾向を分析できるため、個別の指導やトレーニングを効果的に行えるとのことだ。
加えて、類似した事例を集めて事象の背景やリスク要因を多角的に把握し、総合的な安全運転戦略を策定することも可能。事故傾向の分析を通じて運行計画の見直しを行ったり、時間帯ごとの指導を強化したりといった、組織全体の対策にも役立てられる。