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日立、AIエージェントの健全なガバナンスと継続的な運用改善を伴走型で支援する「HARC for AI」を提供
2025年10月7日 14:27
株式会社日立製作所(以下、日立)は7日、企業におけるAIエージェントの導入効果を最大化するためにAI特有の運用課題を解決し、健全なガバナンスと継続的な運用改善を伴走型で支援する「Hitachi Application Reliability Centers(HARC) for AI」を提供開始した。
HARC for AIは、クラウドネイティブな運用改善を推進するSRE(Site Reliability Engineering)の手法に基づき、運用変革に伴走するマネージドサービスのHARCに、日立社内で培ったAI運用ノウハウを合わせ、AIを業務に本格適用する顧客向けに、AI特有の運用課題の解決を支援するサービス。2025年4月から海外向けに先行して提供してきたサービスを、国内市場向けに強化して展開する。
具体的には、人とAIが協働する社会の実現に向け、AIの本格適用を目指す顧客が直面する、AIエージェントの判断内容の正当性や回答スピードの低下、コスト増、セキュリティリスクへの対応といった特有の運用課題を継続的に観測し、日立がAI活用で培ったノウハウに基づいて迅速な改善を行う。
これにより、健全なガバナンスを確立して安全かつ効果的にAIを利用できるほか、AIエージェントを含むシステムを業務観点の指標で常に可視化し継続的に改善できるため、AIエージェントの導入効果を最大化し、企業の持続的な成長に貢献する。
日立では、AIの業務活用を拡大する上で、ガバナンスは非常に重要なテーマであり、AI基盤やAIエージェントの判断の正当性、回答スピード、障害時のリカバリー対応は、複雑で技術進化が速いため専門性が求められると説明する。これに対し、サービスはグローバルで活用している評価フレームワークR2O2.aiに基づき、日立社内での実践経験も踏まえて、適切な観測とチューニングを支援し、継続的な改善により業務品質の向上に貢献する。
また、AIにおけるコストの適切な評価についても、FinOpsプラクティスに対するKPIの設定・追跡により、IT部門・財務部門・利用部門でFinOpsチームとして共通の評価基準を策定するためのアセスメントとアドバイスを提供する。実践に向けたKPIの継続的な可視化や定期的な評価と調整のアドバイスにより、FinOpsの成熟度の向上に伴走する。
AIエージェントが連携する環境での複雑なデータアクセスの認証・認可は、MCP(Model Context Protocol)などのオープン標準プロトコルにより統一的に管理・制御できる。日立は、Cloud Native Computing Foundation(CNCF)の関連プロジェクトや国内外コミュニティを通じ、認証・認可技術の標準化と普及に貢献しており、最新の知見やノウハウをもとに、AIのデータガバナンスを強化する。これにより、顧客はAIエージェントの連携で複雑化するデータアクセスの認可を事前に定義して監視できるため、意図しないデータの流出を防止するほか、AIエージェントの認証情報の改ざんによるなりすましなどを防止できる。
セキュリティリスクへの対応も、高度なセキュリティエンジニアが、日立グループ内の専門組織と連携し、セキュリティリスクの可視化と対策、セキュリティ監視とインシデント発生時の対応などの支援を行う。これにより、AI適用に伴う新たなリスクが発生した場合も迅速な対応が可能となる。
AIエージェントやアプリケーションの開発・運用の効率化に向けては、リソースや実装済みの機能を可視化し、その活用ルールを定めることでエンジニアの二重開発などを防ぐために重要となるAPI基盤や開発基盤の整備と継続的な改善を、日立のエンジニアが支援する。これにより、アプリケーション開発のエンジニアは、業務ロジックの開発や改善に集中できるようになる。