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JR西日本とNTT西日本、鉄道分野における光ファイバーセンシング技術の活用に向けた共同検証を開始

 西日本旅客鉄道株式会社(以下、JR西日本)とNTT西日本株式会社は12日、通信用光ファイバーを振動センサーとして活用する光ファイバーセンシング技術を鉄道分野に応用するため、共同検証を本格的に開始したと発表した。

 光ファイバーセンシングは、光ファイバーに光を入射し、反射して戻ってくる光の変化を解析することで、変化が発生した場所とその内容を把握できる技術。1台のセンシング装置で、数十kmにわたる線路沿いの振動を連続的に検知できるため、広範囲かつ高精度な状態把握を実現できるという。また、物理接触が不要なセンシングを行うため、保守要員が設備に直接触れることなく振動や異常を検知でき、安全性の向上にも寄与するとのこと。

 NTT西日本では、さまざまな現場において光ファイバーセンシング技術の展開を目指しており、その技術をJR西日本の広範囲に展開している鉄道設備に応用することで、少人数でも高精度に常時モニタリングできる仕組みの検討を進めている。

 こうした活動の一環として、今回、線路状態のモニタリングに関する基礎研究を実施した結果、取得したデータの解析により、列車の走行位置を高精度に検知できることが確認され、光ファイバーセンシング技術の有効性を示す重要な知見が得られたとしている。

検証環境イメージ
光ファイバーセンシング技術による列車走行軌跡の取得結果

 今後は、線路沿いに敷設された通信用光ファイバーを振動センサーとして活用することで、新たな設備投資を抑えつつ、広域かつ高精度な鉄道設備や周辺環境の常時モニタリングが可能な仕組み作りを目指すとのこと。まずは、列車位置検知を深度化するとともに、落石・倒木の検知や設備異常検知などの技術検証を進め、列車運行中の安全確保にも寄与したい考え。将来的には、設備構成の簡素化なども視野に入れて取り組みを進めるとしている。