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PKUTECH、IBM watsonxの活用によりCOBOL資産のJavaへの自動変換を実現するソリューション「Egeria-NextCode」を発表

 株式会社PKUTECHは6日、日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)のwatsonxを活用し、国内の基幹系システムに数多く存在するCOBOL資産の可視化とマイグレーションの精度の向上により、汎用的なプログラミング言語であるJavaへの自動変換を実現するソリューション「Egeria-NextCode」を開発したと発表した。

 PKUTECHは、COBOLをはじめとする既存資産のマイグレーション事業に取り組んでおり、独自に開発した資産分析・可視化ツールや変換ツールを通じて、多様な移行ニーズに対応してきた。また、現在は、AI博士集団が開発を手掛ける自社AIソリューション「Egeriaシリーズ」の提供を行っている。

 一方、日本IBM、ビジネスのためのAIである「watsonx」シリーズの提供を通じ、IT変革やビジネス変革を含む全社的なデジタル変革を支援している。今回、両社は相互の得意領域を生かし、マイグレーション分野での新たなソリューションの共同開発を行った。

 Egeria-NextCodeは、PKUTECHが蓄積してきたマイグレーション技術およびAI、日本IBMのAIエージェントや先進的なAIコーディング支援技術を組み合わせて開発した。PKUTECHが販売元として、特にメインフレーム上で大規模なCOBOL資産を運用している金融、製造業などの国内企業や公共部門を対象に提供する。

 ソリューションの開発に際して、両社は3ステップでの検証を行った。まず、資産の棚卸しや棚卸し一覧の作成・変換対象、方針の策定を分析する資産分析の効率化を目的に、IBMのAIエージェント製品である「watsonx Orchestrate」を用いた検証を行った。次に、PKUTECHのコード変換ツールと、IBMのコーディング支援製品である「watsonx Code Assistant」を組み合わせた変換検証を実施。最後に、単体や複合、総合領域にわたるテスト工程の検証を行った。

Egeria-NextCodeの概要

 Egeria-NextCodeは、watsonx Orchestrateを導入し、ドキュメント作成などに適用することで、マイグレーション業務の資産分析・可視化にかかる時間や移行工数を削減することができ、生産性を大きく向上させられる。

 また、PKUTECHの変換ツールとAIのチューニング技術にIBMのコーディング支援製品である「watsonx Code Assistant」を組み合わせ、両社の技術の融合により変換率は97.4%に上昇し、変換精度が向上した。加えて、可読性の品質も向上したことで、その後の改修や機能追加が容易になったことも確認できたという。

 Egeria-NextCodeは、COBOL資産の可視化から最新のJavaへの移行までを一貫してカバーでき、導入する企業や機関は、従来の生成AIでは難しかった独自COBOLの正確かつ高精度な変換と、ドキュメント作成やコード変換の大幅な効率化を図れる。手作業と比較して、マイグレーション業務にかかる移行工数をおよそ70%削減できる見込みで、結果、保守不能となっていた老朽化システムを、柔軟かつ継続的に活用可能な新しい資産へと再構築できるとしている。

導入メリット

 PKUTECHは今後、日本IBMの技術支援を受けながら、要件定義やテスト自動化など、開発プロセスのあらゆるフェーズでのAIエージェント活用を目指して、システム開発領域に特化したエージェント型AIソリューションの開発も検討を予定する。

 PKUTECHでは、金融、公共、製造業の顧客を中心にEgeria-NextCodeの導入支援、移行コンサルティング、保守サポート体制を整備し、メインフレームのモダナイゼーションを支援していく。また、Egeria-NextCodeを通じて、より柔軟で継続的に利用可能なシステム環境の実現を目指し、ユーザーのDXに貢献していくとしている。