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ソフトバンク、AIエージェント間のセキュアな連携を実現する「Agent Firewall」を試作
2026年度ごろの実用化を目指す
2025年7月25日 06:00
ソフトバンク株式会社は24日、AIエージェント間で安全かつ柔軟な連携を可能にする「Agent Firewall(仮称)」のプロトタイプ開発に成功したと発表した。今後、次世代データ流通基盤での展開を視野に、社内での実証や共創パートナーとの連携を進め、2026年度ごろの実用化を目指して開発を継続するとしている。
近年、複数のAIエージェントが相互に連携し、社会全体の最適化を目指す「マルチAIエージェント」の動きが加速する中で、AIエージェント間のプロトコルやデータフォーマット、インターフェイスの仕様といった通信規格の整備が進展している。
しかし、企業や組織の枠を超えたデータ連携においては、データの所在地やアクセス権限管理の水準差、各種独自ルールへの適合など、データの取り扱いルールや管理基準の違いに起因する各種課題が障壁となることが予想されているという。
そこでソフトバンクでは今回、さまざまな企業や組織のルール・管理基準に準拠した上で、AIエージェント間の通信を制御・監視可能にする「Agent Firewall(仮称)」のプロトタイプを開発した。これを利用すると、データ所有者である国や企業が、法や規制に基づいてデータを管理・保護できる「データ主権」を維持したまま、企業間や社内組織間において、AIエージェント間で安全にデータをやりとりできる仕組みが実現するとのこと。
具体的には、通信時のリスクの高さや求められるセキュリティレベルに応じて検査強度を自動調整する「動的ガバナンス制御」、信頼されたAIエージェント間でのみ通信を許可する「AIエージェントの認証・認可」、契約条件および各種ポリシーに応じた違反を自動で検知・制御する「契約、ポリシーによる制御」、通信内容を改ざん困難な台帳に記録してリアルタイムに監視する「監視、監査、ログ管理」といった特徴を持つとのこと。
なお、「Agent Firewall(仮称)」に実装している技術は、A2A(Agent2Agent Protocol)やACP(Agent Communication Protocol)などの各種プロトコルを補完し、プロトコルの種類を問わず一貫したセキュリティ方針の適用を可能にするという。
また、従来のネットワーク境界型の考え方ではなく、すべての通信を常に確認する“ゼロトラスト”の考え方に基づき、必要な際に必要な範囲だけをチェックする仕組みを取り入れることで、安全性を保ちながらシステムの負荷を抑えられたとした。ソフトバンクでは、これらの特長により、大規模かつ分散型のネットワーク環境にも柔軟に対応可能と説明している。