日立、NVIDIAのグローバルシステムインテグレータープログラムに参画　産業用AI市場に向け協業を強化

　株式会社日立製作所（以下、日立）は6日、NVIDIAのグローバル システム インテグレーター（GSI）プログラムに参画したと発表した。なお、日系企業のGSIプログラムへの参画は日立グループが初になるとのこと。

　日立は、2024年3月のNVIDIAとの協業開始以降、AI Center of Excellence（AI CoE）を立ち上げ、現実の物理的な環境を認識して自律的に判断できる“フィジカルAI”の実現に向け、さまざまな成果をあげてきたとのことで、例えば、鉄道システム事業を担う日立レールにおいて、NVIDIAのソフトウェアテクノロジーを活用したHMAXソリューションを展開している。

　今回の協業拡大では、そのようなフィジカルAIの実現に向けてテクノロジーやプラットフォームを発展させ、顧客のニーズに適合したソリューションを継続して開発するとした。

　まず、NVIDIAの製品・ソリューションのロードマップをもとに、ターゲット市場であるインダストリアルAI（産業用AI）市場に向けた、共同の事業計画、成長戦略を確立するという。あわせて、ソリューション開発のプラットフォームにNVIDIA AI Enterprise、NVIDIA Omniverseなども活用し、革新的なAIのユースケースを創出するとしている。

　例としては、エレベーターなどのビル設備のメンテナンス作業時に効率的な安全管理を実現するため、生成AIの活用を推進するといった、日立ビルシステムにおける用途を挙げた。この際は、NVIDIA AI Blueprint for Video Search and Summarization（VSS）を活用して、マニュアルや熟練エンジニアの作業手順などを学習させるとともに、現場エンジニアのウェアラブルカメラの映像をリアルタイムに分析し、エンジニアに対してガイドやアラートを出すことで、作業の効率性と安全性を同時に高め、より働きやすい作業環境の実現を図る、といったことが考えられるという。

　さらに、NVIDIAの製品やソリューション、マーケティングプログラム、トレーニング、ウェビナーに関する最新のノウハウを活用しながら、顧客企業に向けた共同Go-to-marketイニシアチブを、NVIDIAとともに開発・実行する。また、NVIDIAのイベントである「NVIDIA GTC」に参加し、顧客企業の成功事例や新しいソリューション・技術を共有・紹介するとした。

　このほか日立では、人材育成にも積極的に取り組む姿勢を示した。同社は、高度な生成AIスキルを持つ「GenAI Professional」を5万人以上確保するための育成を進めているが、その一環として、NVIDIAのDGX Cloud、NVIDIA AI、NVIDIA Omniverseなどの技術における実践的な専門知識を深めるためのトレーニングプログラムを組み込み、OTとAIの専門家を育成することで、人材基盤を強化するとのこと。