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日立システムズ、AIを活用した水道設備の異常検知サービスを提供
2025年5月19日 13:26
株式会社日立システムズは19日、水運用の効率化と安定供給の両立をサポートする「CYDEEN 水インフラ監視サービス」のオプションとして、AIを活用して通常と異なる水道設備の挙動を事前に検知できる「AI異常検知サービス」を提供開始すると発表した。
CYDEEN 水インフラ監視サービスは、水運用の効率化と安定供給の両立を目指す全国の水道事業体の活動を支援するサービス。具体的には、水圧監視、水位監視、流量監視、水質監視の機能を有し、各監視データをクラウド上で一元的に管理できる。
日立システムズは2023年7月に、CYDEEN 水インフラ監視サービスの水圧監視システムを神戸市水道局に導入しており、市内60カ所以上の配水減圧弁付近での水圧データの提供・運用を行っている。
その中で、運用のさらなる高度化に向け、取得した配水管の水流データを二次活用することを検討し、神戸市水道局をはじめとする自治体へヒアリングを行った。その結果、「水の流れについて通常と異なる挙動を事前に検知し、水道設備の故障予知につなげたい」というニーズを多数把握したという。
そこで、2023年12月に水圧データをAIで分析し、配水減圧弁の故障予兆を検知する研究を神戸市水道局と共に実施し、研究結果を2024年10月の「令和6年度日本水道協会全国会議(水道研究発表会)」で神戸市水道局から発表した。今回、この研究結果を、CYDEEN 水インフラ監視サービスにオプションとして反映し、AIを活用して水道設備の故障予兆を早期に検知できるAI異常検知サービスを開発した。
AI異常検知サービスでは、住民の生活圏に近い配水管に設置したセンサーにより取得した、水圧や流量などのリアルタイムなIoTデータと、AIが生成した正常時に取りうる水圧や流量等の基準値を、AIを用いて比較・分析する。リアルタイムなIoTデータが、AIで生成した正常時に取りうる基準値からどの程度逸脱しているかを可視化し、配水状態の微細な変化を捉えることで、異常を検知する。これにより、水道管破裂などの大きな被害が発生する前に、水道設備の早期メンテナンスが可能となる。
地域住民に対しては、水道事故による突発的かつ長時間の断水などの影響を少なくでき、水道局員に対しては復旧作業の負担を軽減することや、メンテナンス作業を効率化できるメリットがある。
日立システムズでは今後も、AI異常検知サービスを通じた水道設備におけるAI分析の高度化、拡大化に取り組むとともに、水道DXの研究開発を進め、高品質な水道事業の実現に貢献していくとしている。