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日本マイクロソフトの新たな戦略、「1年間でクラウドパートナーを3500社に拡大」

 日本マイクロソフト株式会社は25日、モバイルファースト、クラウドファースト時代のパートナー戦略について会見を開催、同社の取り組みを説明した。また、今回新たに協業を進めるパートナー各社が、日本マイクロソフトとの取り組みについて語った。

 日本マイクロソフト 執行役常務 ゼネラルビジネス担当の高橋明宏氏は、「モバイルファースト、クラウドファーストの時代においては、パートナーとのエコシステムが不可欠だ。まだリーチできていない顧客にアプローチするため新たなパートナーと組むことにもなるだろうし、既存パートナーとは共にトランスフォーメーションしていくべきだと考えている」と述べた。

 高橋氏によると、マイクロソフトクラウドパートナーとして新たに協業を進める分野は、「マネージドサービス」「IPサービス」「クラウドインテグレーション」「クラウドリセラー」の4つ。中でも、ホスティングサービスプロバイダーなどが中心となるマネージドサービス分野については、「クラウドの需要が高まっていることから、日本マイクロソフトの中でも毎年50%強の成長を遂げている」(高橋氏)として、今後もこの分野を強化したい姿勢を見せた。

マイクロソフトのクラウドパートナー
日本マイクロソフト 執行役 常務 ゼネラルビジネス担当 高橋明宏氏

 IPサービスについては、「Windowsの時代から培ってきたISVのエコシステムが存在するが、これまではオンプレミスが中心だった。今後この分野でいかにクラウド化を進めるかが鍵になる」と高橋氏。また、クラウドインテグレーションは、「縮小すると言われている分野だが、クラウドとオンプレミスが完全に入れ替わることはない。ただし、商談の8割はクラウドがかかわることになるため、顧客ニーズにあわせてハイブリッドでインテグレーションする方向に進むべきだ」としている。さらに、クラウドリセラーについては、「WindowsやOfficeの販売に協力してくれたパートナーが中心だが、今後はクラウドのスキルと連携することが不可欠。クラウドにシフトしたいリセラーを支援していきたい」とした。

 マネージドサービスおよびクラウドリセラーとしてパートナーシップを組んでいるのは、クララオンラインだ。同社 代表取締役社長の家本賢太郎氏は、「日本マイクロソフトとの協業により、Microsoft Azureを利用する顧客のアジアでの展開、中でも特に中国での展開を支援したい。また、首都圏および、われわれのビジネスの拠点である中部圏を中心に、IaaSとAzureを活用したハイブリッドクラウドを提案する」としている。同社では、日本とアジアの顧客に対し、2016年6月までに24法人以上での導入を目指すという。

 同じくマネージドサービス分野のパートナーとなっているブロードバンドタワー 執行役員の根本茂氏は、「すでに提供しているAzureの構築と、運用・監視サービスなどに加え、12月に設立する子会社AI2にて、AzureのIaaSを利用した音声認識や画像認識、およびMicrosoft Azure Machine Learningによるデータ解析や自然言語解析などを実施し、機械学習による人工知能サービスを提供する」という。根本氏は、Azure関連サービスで年間50社の顧客獲得を目指すとした。

クララオンライン 代表取締役社長 家本賢太郎氏
ブロードバンドタワー 執行役員 根本茂氏

 クラウドインテグレーション分野のパートナーは、ナレッジコミュニケーションである。同社 代表取締役CEOの奥沢明氏は、自社メディアにてAzure Machine Learningによる機械学習を適用した例を紹介。その後顧客にも、専門家のいらない機械学習サービスを提供開始し、導入コンサルティングで機械学習をビジネスに活用する支援をしているという。「Azure Machine Learningという破壊的イノベーションで、コンシューマー機器メーカーがマーケティングや壊れにくい製品の開発につなげている事例もある」と奥沢氏。2016年6月までに15件の受注を目指すという。

ナレッジコミュニケーション 代表取締役CEO 奥沢明氏

 IPサービス分野のパートナーは、テクノスデータサイエンス・マーケティング、FPTジャパン、ネクストセットの3社だ。テクノスデータサイエンス・マーケティング 執行役員常務の岡本裕之氏は、「Azureの豊富なサービスと、われわれアナリティクス専門企業としての分析ノウハウを組み合わせ、高度な分析を迅速かつ最適にシステム化することが可能だ」と話す。すでにAzure Power BIによってアナリティクスコンサルティングのノウハウを半パッケージ化しており、「Azure関連で8600万円の売上を目指す」としている。

 FPTジャパンでは、NotesやGoogleのマイグレーション、およびOffice 365やAzureといったクラウド製品を中心にソリューションを展開。「2016年はマイクロソフト関連ビジネスを拡大し、(マイクロソフトのパートナーネットワークの一部である)『Cloud Productivity』および『Cloud Platform』コンピテンシーの取得を目指す」(同社 副社長 畠山勉氏)としている。

 ネクストセットは、Google AppsやOffice 365関連のサービスを提供する企業だが、同社 代表取締役社長の別所貴英氏は、「すでに提供しているGoogle AppsとOffice 365のカレンダー共有機能に加え、Google AppsからOffice 365への専用移行ツールを近日中に公開する」として、年間10万ユーザーのアドオン販売を目指すほか、海外販路も拡大したいと述べた。

テクノスデータサイエンス・マーケティング 執行役員常務 岡本裕之氏
FPTジャパン 副社長 畠山勉氏
ネクストセット 代表取締役社長 別所貴英氏

【お詫びと訂正】

  • 初出時、FPTジャパンの社名を誤って記載しておりました。お詫びして訂正いたします。

 日本マイクロソフトの高橋氏は、今回紹介したパートナーも含め、「1年間でクラウドパートナーを3500社にまで拡大したい」としている。そのため同社では、パートナーのクラウドビジネスの立ち上げを支援する「Start Up Microsoft Cloud」を同日公開。期間限定で専門部隊による相談窓口を設けているほか、ビジネスモデルの立案支援やパートナープログラムの案内などを行っている。

会見後には記念撮影も行われた
パートナーのクラウドビジネス立ち上げを支援する「Start Up Microsoft Cloud」

藤本 京子