ニュース

MetaMojiがリアルタイム授業支援アプリを発売、驚きの機能性!

「MetaMoji Share for ClassRoom」

今西信幸氏

 株式会社MetaMojiは13日、リアルタイム授業支援アプリ「MetaMoji Share for ClassRoom」を発売した。提供開始は2015年1月を予定。MetaMojiとしては初の文教市場への取り組みとなる。

 MetaMoji Share for ClassRoomは、デジタルノートアプリ「MetaMoji Note」の編集機能と、グループコミュニケーションアプリ「MetaMoji Share」のクラウドサーバー技術をベースに、ICTを活用したリアルタイムでフレキシブルな授業を実現する新製品。

 対応プラットフォームはiOSとWindows 8で、クラウドサービス版とオンプレミス版が用意される。

 特徴として、タブレット端末などで紙とペンのような手書きノート機能を実現。「生徒児童の学習では書くことが重要。書くことにとことんこだわり、滑らかさと豊富なペン種・色をそろえた。写真の貼り付け・トリミング・拡大縮小も自由で、編集機能も豊富」(企画責任者の今西信幸氏)。

システム構成。クラウドサービス版とオンプレミス版を用意
紙とペンのように自由自在な手書きノート機能を標準装備
手書きした文字は簡単に範囲選択して色やサイズを変更できる
画像やテキストも張り付けられる
小学3年生の実際の作例
色鮮やかに文字を囲むフレームなども手書きで作成している

 政府は2019年までに教育現場での1人1台のタブレット環境整備をめざしている。ただ、その過渡期では2~3人に1台という状況も想定されるため、生徒児童ごとにQRコードを配布し、タブレットのカメラで読み取ることでログインする仕組みも備えた。

リアルタイム同時編集機能

 そうした中でも一番の特長となるのが「リアルタイム同時編集機能」だ。先生・生徒全員で同じ画面(ワークシート)をリアルタイムに編集し、みんなで1つの作品を作り上げることが可能で、「40人規模の同時編集も問題ない」(同氏)という。

 それを可能にしたのが、サーバーと端末側で処理を分担し、端末側で書き込んだ部分だけをサーバー側に転送する「差分更新技術」という仕組み。これにより、ネットワーク負荷を徹底的に低減しており、10名程度が同時に書き込むデモにおいても遅延はほぼ認識できなかった。

 クラウド版なら校外や家庭からも同時編集が可能。「例えば、学校を休んだり、入院した場合も授業に参加できる」(同氏)。こうした機能により、文部科学省の報告書に掲載されているICT活用実践事例である「一斉学習」「個別学習」「協働学習」のすべてを支援できるのが強みとのこと。

 一斉学習では、たとえばメダカのオスとメスの違いを学ぶ授業で、先生・生徒の画面に同じ教材を表示。先生が画面を拡大したり、ペンツールで強調した内容がすべての端末でリアルタイムに共有される。

一斉学習の機能概要
メダカのオスとメスの違いを学ぶ授業
先生が拡大すると生徒児童の画面でもリアルタイムに拡大される

 算数の応用問題を各自が解くような個別学習では、生徒ごとに解答を書かせながら、先生の画面では全員分を一覧可能。一覧画面ではいま誰が書き込みしているかがリアルタイムに分かるほか、「分からない」とヘルプボタンを押した生徒の画面が赤く表示され、その生徒と先生の画面だけをつないで個別にヒントを出すような機能も備える。

個別学習の機能概要
それぞれ算数の問題を解く
先生の画面にはその様子が一覧表示される。いま誰が書き込みしているかもリアルタイムに分かる
ある生徒のプレビュー画面が赤く表示されている
赤くなっているのは「分からない」とヘルプボタンを押した生徒の画面
その生徒と先生の画面だけつないでヒントなどが出せる。授業がスムーズになるはずだ

 協働学習では、生徒児童を班分けして班単位での同時編集を可能にする。デモでは、動植物の季節感を調査してまとめようという授業を想定し、班ごとに用意されたまとめ用紙に、生徒が書き込んだ内容がリアルタイムに反映される様子が実演された。

 いずれもリアルタイム性は申し分ない。実はこのデモには他県から参加する生徒役も紛れ込んでいた。後からネタばらしされたのだが、他県からの書き込みも遅延と感じるような遅延はなく、いわれるまで気がつかなかった。

グループでの協働学習の機能概要
ツール側で班分けする機能が用意されている
班ごとに動植物の季節感を調査してまとめる

 もう一つ面白い機能に、作業を中断して先生に注目させたいときの「先生に注目モード」がある。生徒児童の端末をロックし、画面に「先生に注目!」と表示するだけだが、その機能の必要性はさまざまなところで指摘されており、各都道府県で実施されているICT授業の実証実験などを参考にしたのだろう。

先生に注目!

 なお、手書きした文字はテキスト変換することも可能。これには学校向けにカスタマイズされた「mazec」が採用されている。カスタマイズとしては、「学年別漢字配当表」に対応した文字認識フィルターを実装。mazecでは、ある漢字を手書きすると変換候補がいくつか表示されるのだが、学年ごとに学習済みの漢字のみを提示するようにできる。さらに「かな漢字変換をしない」モードも搭載。これをオンにすると、手書きで文字を書いても一切の漢字変換や予測変換候補表示を行わない。このあたりの配慮はきめ細かくて、優れた機能性を感じる。

「学年別漢字配当表」に対応した認識
「かな漢字変換をしない」モード

 そのほか先生用には、生徒児童を学年・組・出席番号で管理したり、ログイン用のQRコードを生成する管理系機能を用意。副学級の所属も管理できるので、特別支援学級などと複数クラスに所属している場合にも対応するという。

 提供開始は2015年1月より。クライアントソフトはWindows 8.1とiPadに対応。Androidはニーズを見ながらリリースするか検討するとのこと。価格は、クラウド版(20ID)の初期費用が20万円(税別)、年額ライセンスが2万4000円(同)。追加セットは1IDあたり年額1200円(同)なので、例えば40IDで導入する場合は初年度24万8000円(同)、次年度以降は4万8000円(同)で利用できる。

MetaMoJi Share for ClassRoom

川島 弘之