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スマートグラスで倉庫仕分けや保守を効率化、SAPジャパンがアプリ提供

ウェアラブル端末の業務利用へ

説明に使われたVuzix製スマートグラス。もちろん、これ以外でも利用できる

 SAPジャパン株式会社は6日、ウェアラブル端末の利活用を実現する拡張現実(AR)モバイルアプリ新製品を発売した。スマートグラスを使って、倉庫でのピッキング作業を効率化する「SAP AR Warehouse Picker」と、保守保全作業を支援する「SAP AR Service Technician」の提供を開始した。

 同社は、スマホ・タブレットアプリをすでに500種類ほどを提供しているが、導入企業では「ハンズフリー化」などを望む現場の声があるため、これらアプリのウェアラブル端末での応用をめざした。独SAPが10社ほどのユーザー企業とのCo-innovation(現場からの協働革新)でアイデアを練り、倉庫でのピッキング作業と保守サービス作業における未来のビジョン(動画参照)を構築。その実現に向けた第一弾として、今回のアプリを開発した。

倉庫でのピッキング作業(コンセプト動画)
保守サービス作業(コンセプト動画)

 SAP AR Warehouse Pickerは、倉庫作業者をターゲットに提供。スマートグラスでピッキングの指示を受けたり、カメラで品物・ロケーションのバーコードを読み取り、仕分けにかかる時間を最適化。音声認識による作業にも対応する。

スマートグラスでバーコードを読み取る

 一方のSAP AR Service Technicianは、スマートグラスの画面に作業手順を表示したり、音声メモの記録機能でリアルタイムに現場の作業員に指示を出したり、現場での保守作業をハンズフリーで行えるようにする。作業手順は、3Dモデルのアニメーションで視覚的に確認することが可能だ。

3Dモデルで作業手順を確認

 昨今多様な種類のウェアラブル端末やセンサー技術が登場し、市場が広がりつつある。コンシューマ市場ではプライバシー問題などもあり、足踏みが続いているが、業務利用では「倉庫」「生産現場」「小売」「メンテナンス」「サービス」などの分野で活用事例が増えつつあるという。

活用事例
井口和弘氏

 こうした状況を受けて、SAPジャパンの初となるウェアラブル端末への取り組みが今回のアプリとなる。すでにソフトウェア的にはハードルはないに等しく、ハードウェアのバッテリの短さや解像度の低さ、視野角の狭さ、あるいは1台およそ10万円という価格がハードルとなっている。「今後、ハードウェアがより成熟し、現在の制約が解消されれば活用は一気に広がるはず。そのときにSAPジャパンが先頭に立てるように、今から積極的に取り組んでいく」(IVE&ソリューション本部 テクノロジー&プラットフォームソリューション モビリティソリューションズ ディレクターの井口和弘氏)考え。

 日本では2015年1月からSAP ERPユーザーに順次提案、実証実験に取り組むほか、特定パートナーとの評価・検証も開始。ハードウェアの成熟に合わせて、2016年から本格的に展開する方針とのことだ。

川島 弘之